夜まで待てない                                                

闇の守護聖クラヴィスは一人聖殿の長い廊下を女王の間に向かい歩いていた。

金の曜日の夕刻のことである。

今日の分のサクリアを送り終わり、他にしなければならないこともなかった彼は、アンジェリークの執務の

終わるのを待って一緒に帰ろうと思い、アンジェリークを迎えに行くことにしたのだ。

何を隠そう、クラヴィスとアンジェリークは人目をしのぶ夫婦の関係であった。

女王試験中にお互いの思いを確認しあってはいたものの、ロザリアとアンジェリークの育成は大差をつけて

アンジェリークの勝利に終わることが目に見えていた。

そのアンジェリークが試験を放棄したら、宇宙に悪影響が出まいかと、クラヴィス懸念していた。

光の守護聖には怠惰とか、やる気がないと思われている彼であるが、

彼は彼なりに、宇宙の行く末に心を痛めていたのである。

そこで、率直な意見を聞きに、ジュリアスに相談、と言うよりは脅迫をしに行ったのだ

アンジェリークが試験を放棄しても宇宙の大勢に影響はないのか、

それとも、女王になったほうがいいのか、と尋ねた上で

ただし、女王になるのなら、クラヴィスとの生活を認めて欲しいと、認めてもらえないのなら

絶対女王になる気はないということをジュリアスにはっきりと訴えたのだ。

ジュリアスはしぶしぶ、外部の者には公にしないことと、一緒に生活するのは週末だけにすることを条件に

アンジェリークとクラヴィスの結婚を認めた。

アンジェリークの女王としての資質が、ロザリアを遥かに上回っている事を、ジュリアスも認めざるをえなかったからだ

こうして、週末婚という形ではあったが、彼らは二人の生活を手に入れたのだった。

 

「アンジェリーク、手が空いたのでな、おまえの顔を見にきた」

クラヴィスが、軽いノックとともに、女王の間に入ってきた。

「クラヴィス様っ!」

アンジェリークが喜色満面の笑顔でたちあがった。

「ふっ、女王陛下が、守護聖を様付けで呼んでは、おかしいだろう?」

「いいんです、私にとって、クラヴィス様は、クラヴィス様なんです!」

子供のように、ムキになって言い募る彼女が、たまらなく愛しい。

女王になっても、クラヴィスの前ではアンジェリークの愛らしさと初々しさは女王候補の時のままだった。

クックッと、軽く笑いながら、クラヴィスはアンジェリークに用件を切り出した。

「私の執務は終わったのでな、お前と一緒に私邸に帰ろうと思い、迎えにきた。おまえの執務はどうだ?」

「う〜んと、ジュリアスにあとでこの書類を取りにくるからサインしておいて欲しいって、言われてるんです。

だから、この書類に目を通しちゃって、署名しちゃったら、今日の仕事は終わりです」

「ならば、早くサインしてしまえ」

「そんな、内容も確かめずに、サインなんてできません!クラヴィス様、一応、私女王なんですよ!」

アンジェリークが信じられない!と言わんばかりの顔つきでクラヴィスをねめつけた。

少々気分を害したようだ。

『アンジェリークに不備が見つけられるような書類をジュリアスがよこすとは思えんがな・・・』

心の中で、そう思ったものの、これ以上アンジェリークの機嫌を損ねるのはクラヴィスの本意ではない。

クラヴィスはあっさりと引き下がった。

「おまえがまじめなのは、よくわかった。では、終わるのを待つとするか・・・」

「じゃ、そちらにお掛けになって待っててくださいね、なるべく早く終わらせますから!」

すぐ、機嫌を直し、クラヴィスに、にこにこ微笑みかける。

子供のように表情がくるくると変わるその様を、クラヴィスはいつ見ても、かわいいと思い、見飽きることがない。

そして、アンジェリークはいすに腰掛け、真剣な面持ちで書類を見なおし始めた。

クラヴィスはアンジェリークの横顔をしばらく眺めていたが、何もせず無為に過ごすというのは退屈なものだ

アンジェリークの生真面目な横顔を見ているうちに、クラヴィスの内に、ちょっとした悪戯心が芽生えた。

そっと、アンジェリークの後ろに忍び寄ると、いきなりそのうなじにキスを落とした。

「きゃっ!」

アンジェリークが驚いて、顔を上げた

「クラヴィス様!何するんですか!びっくりするじゃないですか!」

「ああ、おまえは気にせず、書類に目を通していていいぞ」

「そんなこといっても、こんなことされたら、集中できません!」

「こんなこととは、こういうことか?」

唇の端に笑みを浮かべつつ、クラヴィスは今度は、アンジェリークの耳朶を軽く噛んだ。

「きゃんっ!」

「も、クラヴィス様、やめてください。ジュリアスに書類を渡さなくちゃならないんですよ〜私。

できてなかったらまたジュリアスに怒られちゃう〜」

「だから、おまえは仕事をしていていいと言ってるではないか。私は私で待ち時間を有効にすごそうと思っているだけだ」

アンジェリークがおびえたようにクラヴィスを見上げる。猛禽に狙われた、こうさぎのような気分とでもいおうか。

「ゆ、有効ってどう言う意味ですか〜?」

「こう言うことだ・・・」

クラヴィスは、アンジェリークを後ろから抱きしめると、首筋に唇を這わせ始めた。

アンジェリークは首が弱いことを知って、わざと、首のそこここを、舌で嬲り、強く吸い上げる。

「あっ、あん、だめ、だめですってば〜、こう言うことは、家に帰ってから、夜にしましょ?ね?」

アンジェリークが必死に頼み込むが、クラヴィスはまったく意に介さない。

『夜まで、待てない・・』心の中でつぶやき、腕はさらに大胆に女王の衣装のジッパーを下ろし始めた。

「いやん、やめてください、クラヴィス様〜」

「あまり、大きな声を出すと、人が来るぞ・・」

アンジェリークがぐっと、詰まった。

クラヴィスは、ますます自分に有利な状況をたのしみつつ、

衣装の後ろから手を差し入れアンジェリークの乳房を揉みしだき始めた。

ブラジャーの中に手を差し入れ、先端を軽く摘み上げる。

「あっ、あん、だめ・・・」

クラヴィスの愛撫にならされた体は、恥ずかしいほど簡単に反応してしまう。

クラヴィスはそんなアンジェリークの姿に満足そうに微笑みつつ、さらに手を大胆に動かそうとしたとき

『コン・コン』とノックの音がした。

とたんにアンジェリークが正気に戻る

「大変きっと、、ジュリアスだわ、どうしよう、こんなところを見られたら〜、クラヴィス様、早くどこかに隠れてください!」

アンジェリークがおろおろして、クラヴィスに訴える。

女王候補時代にしょっちゅうお説教されていたことが尾を引いて、

アンジェリークは女王になった今でも、ジュリアスに会うときは緊張してしまうのだ。

何か、失点を見咎められはしないかと・・・

クラヴィスはアンジェリークの乱れた衣装を直しながら、一人ごちた。

「ふむ・・隠れるところか・・・」

突然クラヴィスはアンジェリークのスカートを捲り上げると、その中に入りこんだ。

「きゃあっ!クラヴィス様!どこにはいってるんですか!」

「おまえが隠れろと言ったから、1番手近なところに隠れただけだ。」

いけしゃあしゃあと、クラヴィスが応える。

実際ふんわりと大きく広がったスカートはかがんだクラヴィスの姿をすっぽりと覆い隠していた

もう一度ノックの音が響いた。

「ほら、ジュリアスが待っているぞ」

「う・・」

仕方なくアンジェリークはその場にたったまま、ドアに向かって声をかけた。

「どうぞ、お入りになって」

はたして、入ってきたのは光の守護聖ジュリアスであった

「陛下、先程の書類にサインはしていただけましたか?」

「あっ、はい、はい、サインね、今すぐしますから、ちょっと待っててくださいね」

そういって、机の上に散らばってる書類をかき集めようとした途端、

「きゃんっ!」

アンジェリークのからだがびくりとはねた。

スカートの中のクラヴィスが下着の上からアンジェリークの秘裂を指ですぅっとなで上げたのだ。

「どうなさいました?陛下」

ジュリアスが怪訝そうな顔をする。

「な、なんでもありません・・」

『クラヴィスさまったら、もう〜〜!』

アンジェリークはクラヴィスの悪戯に憤りを覚えたものの、どうすることもできない。

『早く書類を渡して、ジュリアスに出ていってもらって、クラヴィス様に悪戯もいいかげんにしてって言ってやらなくちゃ!』

そう思って、書類にサインしようとした途端、今度はクラヴィスがアンジェリークの下着を脱がしにかかった。

女王陛下はパンティストッキングなどと言う無粋なものはお召しになっていない。

絹の靴下をレースのガーターベルトで留め、その上から小さなショーツをはいている。

クラヴィスは、そのショーツを足下まで一気に引き下ろしたのだ。

アンジェリークは一瞬目を大きく見開き声をあげそうになったが、今度はかろうじて踏みとどまった。

『ジュリアスがさっきから、変な顔で私を見てるし。

早く書類渡さないと、私が抵抗できないのをいいことに、クラヴィス様ったら何をするか、わからないわ』

アンジェリークの懸念は現実となった。 

  

先ほど受けた愛撫のせいで、アンジェリークの秘唇は少々湿り気を帯びていた。

その愛液を秘唇全体に伸ばすように、クラヴィスの手が秘裂を直接さすり始めたのだった。

「ひぁっ」

もう声はあげるまいと思っていたのに、アンジェリークはまたもや、声をあげてしまった。

「ご気分でも優れないのですか?陛下」

ジュリアスが、心配そうにアンジェリークに尋ねた

「ななななんでもないの。書類、書類・・・これにサインすれば良いのよね・・」

なるべく何気ないふうを装うとする。

しかしクラヴィスの手はさらに大胆さをまし、愛液ですべりをよくしたうえで、花芽をそろりとなで上げた。

そのまま、指のはらで花芽を円を書くように愛撫し始めた。

その刺激に愛液が体の奥からじゅんっと溢れ出してきた。

「んくぅっ・・」

思わずアンジェリークが唇をかみ締めた。

ペンを持つ手が震えて、自分の名前すら思うように書けない。

アンジェリークの意思とは裏腹のからだの反応に承諾の意を感じたのか、

クラヴィスは花芽を撫でながら今度は秘裂に指をさし入れてきた。しかも2本いっぺんに・・・

そしてその指を軽くまげて、アンジェリークの内壁を探るように動かし始めた。

「んんっ・・・」

かみ殺した唇から、苦しげな吐息が漏れた。

愛液がますますあふれ出て腿を伝わって行くのが自分でもわかる。

「どこか、お加減でも悪いのですか?陛下・・」

ジュリアスは真剣に心配しているようだ。

「ほほほほんとに、なななんでもないの!」

なんでもないようにはとても見えない今のアンジェリークであった。

クラヴィスに与えられている快感のためほほは紅潮し、声をあげまいと必死で唇をかみ締め

ペンを持つ手はぶるぶると震えている。

「医師でも呼びましょうか?」

そんなことをされたら、大変である、なんとしてもそれだけは避けねば・・

そう決心して、無け無しの克己心を全て奮い立たせ、平常心を保とうと決心した矢先、

クラヴィスが、舌を秘裂にさし入れて、愛液を舐め取り始めた。

「あぁっ」

とつい声をあげてしまった瞬間、最後の書類にアンジェリークはサインをし終えた。

「あ・・はい、ジュリアス、終わったわ。こ、これで、今日の執務は終わりよね」

心なしか、声が震えている。

あげてしまった声をなんとかごまかそうと必死のアンジェリークであった。

ジュリアスに早く出ていってもらわねば、いつ声をあげ、自分から腰をくねらせてしまうかわからない、

そこまでアンジェリークは切羽詰っていた。

「ほんとうに、なんともないのですか?陛下。ご気分がすぐれぬよう、お見受けいたしましたが・・・・」

「ちょ、ちょっと疲れてるだ、だけよ、お願い、もう、いいでしょ、仕事はおわりにしても・・」

すがるような瞳でジュリアスをみつめる。

まだいぶかしげな顔をしたジュリアスであったが、書類も全部もらったことだし、

女王にここまでいわれて引き下がらないわけにも行かない。

「では、これで失礼いたします」

そういって、ドアのそとへ出ていった。

靴音が遠ざかるのを確かめた上で、アンジェリークは自分のスカートをばっと捲り上げた。

「ク〜ラ〜ヴィ〜ス〜さ〜ま〜っ!」

クラヴィスはまったく悪びれた様子もなく、クックッと笑いながらスカートの下から出てきた。

「なかなか、スリルがあって、よかっただろう?」

「ちっとも、よくありません!私が、どんなに辛かったか・・」

「ほう、どう、つらかったと言うのだ?いつもより、余計に感じていたみたいだったがな・・・」

そういうと、指についたアンジェリークの愛液をぺろりと舐めた。

それを見てアンジェリークは真っ赤になった。

「んもうっ、クラヴィス様の意地悪!嫌い!」

「それは困った、私はおまえが大好きなのでな・・・」

「うっ・・・・」

それを聞いてアンジェリークは何も言えなくなり、耳まで真っ赤になってうつむいてしまった。

クラヴィスはそんなアンジェリークに近づくと、いきなり、女王の衣装のジッパーを下げて器用に衣装を脱がし

アンジェリークを下着姿にして、ひょいと、抱き上げた。

「きゃっ、クラヴィス様!何を・・・」

クラヴィスはアンジェリークに軽くキスをすると、

「悪かったな、アンジェリーク、私がきっちり、責任は取ってやろう・・・」

「え、責任て・・・」

「このからだのまま家に帰るのは辛かろう、我慢は体によくないからな・・私が静めてやろう・・」

そう言うと、仮眠用のベッドのある続きの間にアンジェリークを抱えてすたすたと入っていった。

                                        

「やん、クラヴィス様、おろしてください、もう、家に帰れるんですから、何も、ここでしなくても・・・」

「家に帰れば帰ったで、使用人が、やれ御召し替えだの、夕食だので、うるさいからな・・・

夜にならんと、おまえと2人きりになることもできない・・」

そういうと、ベッドにアンジェリークそっとをおろした。

『夜でもいいのに・・・』

アンジェリークは内心こう思ったが、それを口に出すことはしなかったし、もう抵抗もしなかった。

早く2人きりになりたいという気持ちはクラヴィスと同じだったし、

クラヴィスには過去の辛い恋愛によるトラウマか、常に自分が求められているということを、確認したがる傾向があった。

クラヴィスのそう言う部分も含めて愛しいと思っているアンジェリークは、

クラヴィスがそれで喜ぶなら、安心してくれるなら、いくらでも率直に彼が欲しいと示すつもりだった。

羞恥やためらいは、彼を不安にさせるだけだと、アンジェリークは本能的に感じていた。

クラヴィスがアンジェリークに唇を重ね、そのまま、やさしくベッドにアンジェリークを横たえた。

角度をかえて何度もついばむようなキスを繰り返す。

キスを与えている間に、自分の長衣を脱ぎ、アメジストのサークレットをはずし、サイドテーブルに置く。

アンジェリークもクラヴィスの肩にてをまわし、自分のほうに引き寄せた。

クラヴィスの舌がアンジェリークのそれにからめられ、口を強く吸われる。

手はスリップとブラの紐をはずし、白い胸を露にしようとしていた。

長い口付けがすむと、クラヴィスは唇を耳朶から首筋へとすべらせ、そこここに赤い跡を残していく。

「あぁん・・」

先ほど受けていた愛撫のせいで、体が火照ったままのアンジェリークはすぐに声がでてしまう。

クラヴィスはアンジェリークの背に手を回してブラのホックをはずすと、ふるりと零れ落ちた豊かな乳房をゆっくりともんでから、先端を軽く摘み上げた。

そこはもう、硬くたちあがっている。

「もう、こんなに硬くなっているぞ・・・」

ささやいてから、先端を口に含み、舌で転がして、硬くなった乳首の弾力を楽しんだ。

「ああっ・・あん・・んん・・・・」

アンジェリークがますます切なそうな声をあげた。

白い指をクラヴィスの漆黒の髪に埋め、自分の胸元にさらにクラヴィスを引き寄せる。

「ふふ、気持ちいいのか・・・?」

眼を閉じたまま、こくこくと、一生懸命アンジェリークがうなずく。

その姿に、クラヴィスは喜びとやさしさに満ちたまなざしを投げかけ、

「ふっ・・では、もっと、気持ちよくしてやろう・・・」

というと、唇は先端を含んだまま、手をアンジェリークの股間に伸ばした。

そこは先ほどより、さら愛液があふれ、シーツにしみを作っていた。

自分を求めてくれる率直な表現がたまらなく、愛しい。

クラヴィスは、アンジェリークの花芽を指で探り当てると、羽で触れるかのようなやわらかな愛撫を与えた。

「ああぁっ・・・んふぅ・・んん」

触れるか触れないかの微妙な愛撫は、アンジェリークをさらに燃え立たせる。

勝手に腰が動いてしまい、もっと強い刺激を求めていることが、あからさまにわかる。

「クラヴィス様・・もっと・・・」

「もっと、なんなのだ?」

わざと、わからない振りをする、クラヴィス。

「もっと、ちゃんと、さわって・・・」

消え入りそうな声でアンジェリークがつぶやく。

クラヴィスはその答えに満足そうに微笑むと、

「こうか?・・・」

と言って、花芽を縦横にすりあげはじめた。

「ああああっ!」

突然の激しい刺激に、アンジェリークの背が大きくしなった。

びくびくはねるアンジェリークの体を自分の体で押さえつけ、クラヴィスはさらに、愛撫を激しくする。

秘裂をなでさすりながら、花芽を指で転がし、唇を徐々に下腹部へすべらせていく。

なだらかな曲線を描く腹部を唇でなぞり、淡い叢の中のその部分をしげしげと眺めた。

アンジェリークの恥毛は頭髪より若干濃い色で、金褐色とでも言おうか、そのなかで花芽が自分の愛撫に喜びうち震えるかのように、愛液に濡れてつやつやと光っている。

秘唇は、そこだけ別の生き物のようにぴくぴくと蠢き、クラヴィスを誘っているかのようだ。

クラヴィスは、アンジェリークの秘唇をかきわけ、花芽を舌で転がし、軽く甘噛みした。

「ああああっ・・んん、やっ、も・・だめ・・おかしくなっちゃう・・」

その声を聞き、クラヴィスはさらに執拗に愛撫を続ける。

秘裂に舌をさし入れ抜き差しを繰り返し、愛液を思う存分なめとった。

「も、お願い、クラヴィス様・・我慢できない・・」

アンジェリークがすすり泣きをあげながら、クラヴィスに懇願する。

「何が、欲しいのだ?これか?」

そういって、クラヴィスは己の指を秘唇に飲み込ませ、奥まで突き入れた。

一瞬、アンジェリークの腰がびくりとはねたが、すぐさま、アンジェリークはいやいやをするように首を振った。

「いや、いや、クラヴィス様のがいいの、クラヴィス様のが欲しいの」

「ふっ・・・では、おまえの望むものをやろう・・・」

やさしく微笑み軽い口付けを唇に落とすと、クラヴィスはゆっくりと、アンジェリークの中に己を埋めていった。

「ん、ふぅ・・・ん」

欲しかったものを与えられた喜びに、アンジェリークが安堵したような吐息をついた。

しかしクラヴィスが動き始めるや、その吐息は切なく苦しげなものに変わった。

「あん・・あっ・・ああっ・・・・んんっ・・」

クラヴィスのものがアンジェリークの内壁をえぐるようにこすりながら、徐々に奥深くを突き上げて行く。

アンジェリークの内部は熱くたぎり、クラヴィスのものにやわやわと襞がまとわりつくかのようだ。

「・・おまえの中は・・熱い・な・・」

クラヴィスの眉が切なげに顰められる。

苦しい息遣いの下で、アンジェリークがクラヴィスに懸命に話しかける。

「んんっ・・クラ・ヴィス様・・クラヴィス様も・・気持ち・・いい?」

なんと、かわいいことを言うのか・・・クラヴィスは、正直に答えてやらねばと思う。

「ああ、おまえの中は・・・あつく・・きつく・・まるで溶けてしまいそうだ・・・」

「ああっ・・んんぅ・・うれ・・しい」

アンジェリークが腕を伸ばし、クラヴィスを抱きしめようとする。

腰を激しくくゆらせ、クラヴィスのものをさらに自分の奥に誘おうとする。

この愛しいものをもっと悦ばせてやりたい、自分の腕の中で、乱しに乱してやりたい。、

クラヴィスはアンジェリークの細い足を自分の肩にかけ、さらにアンジェリークの奥深くを突きあげた。

「ああああっっ!!」

最奥を容赦無く責められ、アンジェリークはおもわず、高い声をあげた。

クラヴィスはますます、己を抜き差しする速度を早め、アンジェリークを追い詰めて行く。

「あんん・・・あん・・クラヴィス様・・すご・・い・・すごい気持ちいいの・・」

「もっともっとよくしてやろう・・・アンジェリーク・・・愛しているのだ・・・おまえを・・・」

アンジェリークはクラヴィスへの愛をがからだ中いっぱいになって、出口を求めているかのような錯覚に襲われた。

満たされて、幸せで、この気持ちをどうやってクラヴィスに伝えたらいいのだろう。

「クラヴィスさま!好き・・好きなの・・大好き!」

あとはもう、感極まってしまい、口からはすすり泣きの声しか出てこない。

クラヴィスは、いとおしそうにアンジェリークを見つめると、アンジェリークの腰を持ち上げるように引き寄せさらに激しく己を打ちこんだ。

「ああああっっ・・んん・・・んくぅ・・も、・・だめ・・クラヴィスさま・・わたし・・わたし・・」

「ああ、わたしも・・おまえとともに・・・」

「んん・・、うれ・・しい・・来て・・クラ・・ヴィスさ・・・あ・・ああああっ!」

アンジェリークが高みに達したのを察し、クラヴィスも己を解き放った。

クラヴィスの欲望に体の中心を熱く叩かれ、アンジェリークの意識は白い闇に覆われた。

 

「すっかり遅くなっちゃいましたね」

「ああ、館に帰って食事にしよう。」

身支度を終え、たちあがったとき、アンジェリークが少しよろけた。先ほどの情事の余韻に足下がおぼつかない。

その様子を見たクラヴィスが、ひょいとアンジェリークを抱き上げた。

「歩くのが辛そうだな・・・私が馬車までつれていってやろう・・・」

アンジェリークは真っ赤になった。

「そんな・・大丈夫です、私・・歩けます。それに、誰かに見られたら・・」

「ふっ・・こんな時間まで聖殿に残っているのは、私たちくらいのものだ・・・」

「でも、クラヴィス様・・重くありませんか?わたし・・・」

「おまえは羽のように軽いぞ、アンジェリーク。手を離したら、どこかに飛んでいってしまいそうなほどだ・・・」

アンジェリークを抱いている手に我知らず、ちからが入る。

アンジェリークはクラヴィスの首に腕を回し、自分のほほをクラヴィスのほほに、摺り寄せた。

「クラヴィス様、私はどこにも行かないわ。クラヴィス様がわたしの帰る場所そのものなんですもの。」

「アンジェリ―ク・・・・」

2人はまたどちらからともなく唇を重ねた。

恋人たちの夜はまだ始まったばかりだ。                                                       

                                                                               FIN


私の創作の中では、あまりといえば、あまりな役回りが多い闇様に対する、罪滅ぼし創作です。
信じてもらえないかもしれませんが、私、闇様好きなので、ひとつくらいは闇様が
幸せな話を書いておきたかったのです。今となっては、本当に書いておいてよかったと思いました。


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