アンジェリークの胎内にオスカーとの愛の結晶が宿った。
オスカーに懐妊の事実を告げ、二人でその幸せを噛み締めたあと、
アンジェリークはすぐそのことを、オスカーと一緒に現女王であるロザリアのもとへ報告に出向いた。
産前産後は補佐官職をやすませてもらいたかったので、その相談が必要だったからだ。
ロザリアは、最初びっくりしていたが、すぐに友人の顔になり、心から喜んでくれた。
そして、アンジェリークが休みを欲しい旨を告げると、即座にこう答えた
「それはもちろんよくってよ。あしたから、いえ、今日からでいいから、お休みになさいな、アンジェリーク。」
「え?そんな、産まれる直前でいいのよ、お休みは・・2ヶ月か、いえ、忙しかったら、1ヶ月前くらいでも、いいんだけど、
どっちがいいかしら、ロザリア」
このアンジェリークの言葉に、ロザリアとオスカーの双方が、真っ青になった
「お、お嬢ちゃん!休みをとるっていうのは、今すぐにじゃなかったのか?!まさかそんな体で働くつもりじゃないだろうな!」
「そうよ、あなた、なにを言ってるの!そんな身重の補佐官を働かせるなんて、聖殿はそこまで人材不足じゃなくってよ。
そんなことされたら私のほうが、あの女王は、あんな体の補佐官を働かせないとろくに宇宙を統べられないのかって、いい物笑いになってしまうわ。
それに、万が一あなたの身になにかあったら、私、オスカーに殺されてしまうわ。私のためにもどうか、すぐ休みを取って頂戴」
うんうんと、オスカーが端で頷いている。
アンジェリークへの過保護ぶりにかけては、ロザリアもオスカーといい勝負であった。
「で・・でも、ジュリアス様や、他の守護聖様がたがなんて、おっしゃるか・・そんなに休むなんていったら・・」
二人の勢いにたじたじとしながらも、アンジェリークは一応の抵抗を試みた。
「そんな、なにか異議を唱えるような人は、私が女王の権限で、黙らせます!」
オスカーが横で賛嘆の視線をロザリアに投げている。拍手でもしそうな勢いだ。
「そ、そんな私のために、強権発動なんかしないで、ロザリア。一応ご報告も兼ねて、皆様のご意見を伺わないと・・」
「あなたが、そうまでいうなら、一応、守護聖に召集をかけるけど、あくまで、私は私の主張を通すわよ、よくって?」
といって、ロザリアは守護聖を集めたが、
なんのことはない、アンジェリークの産休は、あれよあれよというまに満場一致で承認された。
二人には守護聖たちから数々の祝福のことばが投げられた。
もっともオスカーに対するそれには若干のやっかみがこめられていたようだったが・・
引継ぎをすませ、アンジェリークが産休に入ってはや数ヶ月がすぎた。
「ほら、お嬢ちゃん、洗うからな」
「あ、はい、オスカー様」
アンジェリークは浴用の椅子にちょこなんと腰掛けた。
オスカーは、アンジェリーク愛用のシャンプーを手にとり、掌で軽く泡だててから、アンジェリークの髪を洗い始めた。
鼻歌混じりに、アンジェリークの金の髪を白い泡で包みこんでいく。
オスカーの長い指がアンジェリークの頭皮を愛撫する様にうごき、アンジェリークはその気持ちよさにうっとりしてしまう。
『ふぁ〜オスカー様に髪をあらってもらうのって、ほんとうにいい気持ち・・・』
アンジェリークの懐妊が判明してからと言うもの、アンジェリークへの溺愛ぶりに拍車がかかったオスカーは、毎日の入浴の際の
シャンプーを自ら買ってでた。
最初アンジェリークは、この申し出に驚き、丁寧に辞退しようとした。
いくらなんでも、オスカーにそこまでしてもらう謂れはないとおもった。
「そ・・そんな、いいです〜、オスカーさま、シャンプーくらい、私、自分でできます。」
だが、オスカーも譲らなかった。
「だが、お嬢ちゃん、座ってシャンプーをしたら、かがまなくちゃならんから、大事なお腹を圧迫することになるだろう?
だからといって、立ったままシャンプーして、なにかの拍子に滑って転んだりしたら、とり返しがつかないぜ。
ここは、お嬢ちゃんには座ってもらって、俺が髪を洗ってやるのが一番いいと思わないか?」
「・・・う〜〜」
アンジェリークは、いくらなんでもオスカーは心配のし過ぎだと思ったが、妊娠中は腹部の圧迫を避けなければならないのは
事実だし、これが自分とお腹の子供のことを考えた上で申し出であることは明らかだったから、
そんなオスカーの気持ちがアンジェリークには嬉しかった。
それに、オスカーに対していくらなんでも申し訳ないと思って、最初は遠慮するつもりだったアンジェリークも、
この申し出を断ったら、あからさまにオスカーががっかりしそうだったし、自分が意地をはっても双方になんの利もないことも
また、明白だったので、結局のところ、オスカーの申し出を受けたのであった。
そして、その結果、味を占めてしまった。
オスカーの指にしてもらうシャンプーは、とても気持ちがよくて、癖になりそうだった。
いつまでも、このまま髪を弄ってもらいたいような気分でぽぅっとしていたら、大方洗い終わったオスカーが
「お嬢ちゃん、流すから目をつぶってろ」
といって、シャワーでシャンプーを流し始めた。
アンジェリークはなんだか、残念なような気がしてしまう。
オスカーは念入りに髪を濯いでから、リンスを施し、器用な手つきでアンジェリークの髪をまとめてタオルでざっと包んだ。
「さ、これでいい。」
「じゃ、今度は私がオスカー様を洗ってさしあげますね、オスカー様、おすわりになって?ね。」
こういうと、アンジェリークは浴用椅子から退いて、オスカーにもうひとつある椅子に座るよう促した。
そして、自分は膝だちになり、ウォッシュクロスに石鹸を泡立てて、オスカーの広い背中をこしゅこしゅとこすり始めた。
オスカーが示してくれる厚意を、当然の権利と思ってふんぞり返っているようなアンジェリークでは、もちろんない。
いつも、オスカーに対する感謝と愛情を惜しげなく示すのはアンジェリークにとって、呼吸をするように自然なことであった。
だからこそ、オスカーもいつまでたってもアンジェリークがかわいくてたまらず、自分もまた惜しみなく愛情を注いでしまう。
この2人の間には、愛情の良循環とでもいうような関係が確固とできあがっていた。
アンジェリークが前に回って、オスカーの腕や厚い胸板を洗おうとすると、オスカーは
「俺もお嬢ちゃんをきれいにしてやろうな」
と言って、こちらは掌にたっぷりと石鹸を泡立てて、アンジェリークの背中をやさしく撫でる様に石鹸を伸ばし始めた。
「やん、オスカーさま、くすぐったい。私がオスカー様を洗い終わるまで待っててください〜」
アンジェリークが、くすぐったがって身を捩るがオスカーはかまわず、大きな掌でアンジェリークの体を撫でまわし、
「ここは特に念入りにきれいにしないとな」
といいながら、アンジェリークの股間にも手を伸ばして、幾重にも重なった秘唇のあわせめまできれいに石鹸を塗り付けてしまった
「あん・・」
「ほら、俺はもうお嬢ちゃんを全部あらっちゃったぜ?」
「だって、オスカー様の体大きいんですもの〜。」
アンジェリークもせっせとオスカーの肌をこすり、股間にそそり立ちかけてるものはまじまじと凝視しては悪いような気がして
視線を泳がせながらも、なんとか、オスカーの全身を洗い終えた。
互いにシャワーで、石鹸を流してしまうと、オスカーはアンジェリークにこう言った。
「俺も髪を洗うから、お嬢ちゃんはその間、冷えない様にちゃんと温まってるんだぞ。」
「は〜い」
オスカーに言われたとおり、アンジェリークは湯船に浸かった。
湯にはラベンダーの香りのバスオイルがおとされており、甘すぎないすっきりとした香りが鼻腔に心地よい。
湯温は、心臓に負担をかけないよう、ぬるめに設定してあるので、少々長湯してものぼせる心配はない。
アンジェリークは白い腕を浴槽の縁にのせ、オスカーが立ったまま髪を洗う様子をなんとなく見ていた。
オスカーはがしゅがしゅと音がしそうな勢いで、自分の髪を洗っている。アンジェリークの髪を洗うときの柔らかい指使いとは雲泥の差だ。
シャワーを頭から無造作に浴び、ぶるっと頭を振って顔から水滴を払うと、大きな手で顔に掛かった髪をうっとうしそうにざっと後ろに流した。
その仕草が少年の様に若若しい。
全裸のオスカーの体を明るいところで正面からまじまじと見つめることは、未だに羞恥の気持ちが勝ってアンジェリークには躊躇われたが
実のところ、このように無防備なオスカーを見つめることが、アンジェリークはとても好きだった。
しかも、後ろ姿なら、それほど羞恥心もかきたてられないですむ。
とても広くて大きな背中に、そこから続くひきしまった腰のラインも、きゅっとあがった筋肉質の臀部も素敵だなと、アンジェリークは見惚れてしまう。
『私ったらHかな・・・でも、ほんとうにオスカー様のからだって素敵なんだもの・・なんだか見てるだけでどきどきしてきちゃう・・』
ふと、アンジェリークは見るとも無しに、自分の体を見下ろした。
もうお腹はかなり膨らんできており、あたりまえだがくびれなど、どこにもない。
胸は妊娠前よりさらに大きくなっているが、乳輪もそれにともなって大きく、しかも色が濃くなったようだ。
『オスカーさまはいつまでも変わらず素敵なのに、私の体はこんなに変わっちゃって・・』
オスカーとの間に子供ができたことは、とても嬉しかったし、オスカーは以前にも増して自分を大事にしてくれている。
だが、オスカーが自分を大事にしてくれればくれるほど、アンジェリークは根拠のない不安に
ときたま、ほんのときたまだが、襲われることがあった。
急激にホルモンバランスがかわったためであろうか、アンジェリークは自分でも若干情緒不安定だなと思うことがあった。
その自覚があるにも拘わらず、
時折、我ながら益体ないと思う感情に捕らわれ、無意味かつ根拠のないことでも、気になってしまい、頭からその考えを振り払えない。
多分、通常の状態なら気にもかけないことだと、理性ではわかっているのにである。
オスカーは、自分がオスカーの子を宿しているから、こんなに大事にしてくれる。
それはつまり、大事なのは自分ではなく、お腹の子供のほうが大事だからなどということは、ないだろうか。
もしそうなら、子供が産まれてしまっても、オスカーは自分を変わらず愛してくれるだろうか。
こんなにからだが変わってしまった自分を女として、見つづけてくれるだろうか。
母になることがいやなのではない。だが、オスカーにも子の母としか見られなくなるのは寂しい。
『こんなこと、思うのわがままかな・・それに、オスカー様が、そうなるって決まった訳でもないのに、今からこんなこと心配しても
なんにもならないって、わかっているんだけど・・・こういうのを、マタニティブルーっていうのかな・・・』
そんなことを考えながら、オスカーのことをぽーっとみつめていると、シャンプーを終えたオスカーが湯船に入ってきた。
「どうした、お嬢ちゃん、ぼーっとして・・のぼせたか?それとも、俺に見惚れてたのか?」
オスカーがからかうような口調でアンジェリークに声をかけ、そのからだを抱き寄せた。
水の浮力でアンジェリークの体はたやすく、だが、ゆらゆらと漂うように、オスカーの膝のうえに落ちつく。
オスカーに優しくされるているのに、なんだか、泣きたいような気分にアンジェリークは捕らわれてしまう。
アンジェリークはオスカーの正面に向直って、オスカーの顔を見つめる。
「・・オスカーさま・・・好き・・」
アンジェリークは、オスカーの首に腕をまわし、自分からそっと口付け、すぐ唇を離した。
オスカーに、自分のことを好きか?と問えば、必ず、オスカーは肯定してくれるだろう。
子供が生まれれても、変わらず愛してくれるかと問うたとしても、オスカーは迷わずYESと言ってくれるだろう。
ただ、その答えをいくらオスカーに言わせても、多分自分の不安は根底からは解消しないだろうことを、アンジェリークは感じていた。
この不安は、自分の内部から生じたものだから、自分で折り合いをつけるしかないことも。
だから、好きという言葉を発したとき疑問形に語尾をあげることは、なんとか踏みとどまった。
いくら問うても限がないから。自分の迷いや、不安という負の感情にオスカーを巻きこんではいけないとも思ったから。
かわりに、アンジェリークは自分の気持ちを訴えた。オスカーへの気持ちには、迷いも不安も微塵もないから。それだけは自信があった。
いつものオスカーなら、アンジェリークからのキスに唇がほころぶはずだった。だが、今は怪訝そうな表情を見せた。
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃんの愛の言葉はいつでも大歓迎だが、そんな捨てられた子猫みたいな瞳でされるキスはいただけないな・・」
オスカーは、アンジェリークの体を柔らかく抱きしめながら、アンジェリークの瞳を覗き込んだ。
「どうした?何が不安だ?憂い顔のお嬢ちゃんも悪くはないが・・」
アンジェリークはオスカーに真摯な眼差しでみつめられ、どぎまぎしてしまう。
オスカーには、自分の心の揺れがすべてわかってしまうことが、アンジェリークは恥ずかしくもあったが、嬉しくもあった。
これは、オスカーがいつも自分を見ていてくれるということに他ならなかったから。
だから、ほんの些細な変化も、オスカーにはすぐわかるのだろう。
今のアンジェリークにとって、この事実は「愛している」ということばよりずっと心をおちつけてくれるものだった。
「オスカー様・・なんでもないの。なんでもないんです・・」
アンジェリークはオスカーの胸に額をそっと押し当てた。
「それならいいが・・なにか、心配事があったら、すぐ俺に言ってくれよ?」
オスカーはアンジェリークの顎を掴んで上向かせ、今度は自分から軽く口付けた。
風呂からあがり、アンジェリークは大判のバスタオルを体にまきつけただけの格好で、
ドレッサーの前のスツールにこしかけ、肌の手入れを始めた。
顔の手入れがおわり、次にアンジェリークは体、とくに、膨らんだお腹に、ボディ用の乳液を塗ろうと、
体にまいたタオルのすそを、すこしだけ絡げた。
妊娠中は急激にお腹が膨らむ為、お腹の皮膚がそれについていけずにひび割れたような線ができてしまうことがある。
これを妊娠線といって、一度できてしまうと、出産後、薄くはなっても完全には消えない。
だから予防が大切なので、あまり急に太り過ぎないように気をつけ、なおかつお腹の皮膚の保湿を心掛けて
アンジェリークはいつも肌の手入れは丹念に行っていた。(気をつけていてもできてしまうときもあるらしいが。)
「お嬢ちゃん、俺が髪をかわかしてやろうか?」
そこに、自分も髪をふきながら、オスカーが近づいてきた。オスカーもまだ腰にタオルを巻いただけである。
オスカーに手入れの様子を見られるのがちょっとはずかしかったので、アンジェリークは
「大丈夫です、オスカー様、よく拭きましたから・・あの、私、お腹のお手入れをオスカー様に見られるのがちょっと恥ずかしいんです・・だから、
あの、少し、横をむいていていただけます?」
「なんだ、そんなことか、どれ」
オスカーは、乳液のボトルを手に取ると、アンジェリークのタオルの前を自分であけてしまった。
「きゃんっ」
「見られるのが恥ずかしいなら、俺がやってやろう」
「や〜ん、それはもっと恥ずかしいです〜」
慌てて前をかくそうとするアンジェリークにかまわず、オスカーは乳液をアンジェリークのお腹に伸ばして行く。
「恥ずかしいことはないだろう?今まで一緒にふろにも入ってたんだし。それにお嬢ちゃんの大事なお腹じゃないか・・」
オスカーが慈しむように、アンジェリークの膨らんだお腹をやさしく撫でさすった。
乳液を塗り終わると、オスカーはアンジェリークのお腹にちゅっと、キスをした。
アンジェリークは、その口付けに、一瞬ぞくりとするような感覚が背筋をはしりぬける。だがそれは、もちろん不快なものではない。
湯上りだということを差し引いても頬が紅潮していくのが、自分でもわかる。
アンジェリークはオスカーが乳液を塗っている間、胸だけでも自分の両手で隠そうとしていたが、
妊娠してから更に豊かになった胸乳はアンジェリークの細い腕では隠せるはずもない。
かえって、腕の間から乳頭が見え隠れするさまは、あからさまに乳房を晒すより扇情的な眺めになってしまう。
頬を染めて、細い腕を胸の前で交差させているアンジェリークの姿に、オスカーの身中に馴染みの衝動が沸き起こる。
オスカーは、恥らった様子で瞳を伏せているアンジェリークの細い手首をとると、自分の腕の中に引き寄せた。
「・・・お嬢ちゃん、お嬢ちゃんがもう、あんな瞳をしなくてすむよう、俺がその憂いを振り払ってやろう・・」
オスカーはアンジェリークを軽々と抱き上げると、ベッドまで運んでいって、そっとその体をベッドの上に降ろした。
そして、自分もアンジェリークの隣に腰を下ろし、頤を摘んで口付けようとしたその唇をアンジェリークが人差し指で押し留めた。
「ん?どうした?お嬢ちゃん?」
「あの・・あの・・オスカーさま・・今夜もするんですか?」
「いやか?」
「・・・嫌じゃ・・・・ありませんけど・・」
頬を紅潮させたまま、アンジェリークは躊躇いがちに俯きながら、消え入りそうな声で答えた。
オスカーはアンジェリークのそんな様子に口元をふっと綻ばせる。
「大丈夫、無理はさせない。それに、今言っただろう?お嬢ちゃんの憂いは俺がはらってやるって・・
悲しいことなんて考える暇もなくしてやる。だから、な?」
そういって、オスカーは先ほどアンジェリークの指で中断されたキスを再開した。
ことさらゆっくりと舌で歯列や上顎部をなぞった上で、アンジェリークの舌に自分の舌を絡めた。
アンジェリークが妊娠したからといって、オスカーはアンジェリークを求めることをやめる気は毛頭なかった。
もちろん、アンジェリークの体調が思わしくないときや、乗り気でないときは控えてはいたが、
愛の交歓自体は妊娠に害為すものではないことを、オスカーは知っていたから。
オスカーはアンジェリークの懐妊が判明してから、自分も少しは勉強せねばとルヴァの書斎をたずね
「初めての妊娠・出産」に関する書籍を探し出してもらったのである。
さすがはルヴァの書庫、そういったことに関する書物もちゃんとあって、オスカーはそれを借り受けた。
とりあえず、妊婦に関する諸注意は知っておかねばと、目次をチェックするオスカーの目に真っ先に飛び込んできた項目
それは、もちろん『妊娠中の性生活』であった。
あわてて、そのページを開いたオスカーは挿入の深度や、体位にさえ気をつければ、妊娠中のSEXはなんの問題もないという
記述を書物にみつけ、おもわず、ガッツポーズをとったくらいである。
いくら、オスカーが百戦錬磨とは言え、さすがに妊婦を相手にしたことはなかったので、目新しさという楽しみもあることだし、
挿入や、体位が制限される中で、いかにアンジェリークを満足させるかという、トライアル精神も刺激され
『こういった、限られた状況でお嬢ちゃんを満足させてこそ、俺の面目躍如ってもんだ』
と、オスカーはやる気満々で、アンジェリークとのマタニティライフに臨んだのである。
幸いアンジェリークの妊娠は安定しており、通常の性生活を営むことはなんの支障もなかった。
それに、アンジェリーク自身も、否応なく姿が変わって行く自分を、以前と変わらない様子で求めてくれるオスカーの態度に安心させられもしたので
特につわりが収まってからは、自分の体調を鑑みて無理のない範囲で求めに応じていた。
「んんっ・・」
深い口付けを交わしながら、オスカーはアンジェリークをベッドに横たえた。
アンジェリークがお腹の重みを支えやすいように、お互い横向きで向かいあい、互いの舌を吸う。
アンジェリークの舌を味わいながら、オスカーは一際豊かになったアンジェリークの乳房に手を伸ばす。
大きなオスカーの掌にも余るほどの豊かな乳房は、オスカーの与える愛撫に自在にその形をかえる。
もう片方の手はアンジェリークの背中に回し、肩甲骨から背筋に指を走らせると、アンジェリークが軽く背を撓らせる。
「んふぅっ・・ん」
妊娠してからというもの、もともと肌目こまやかだった肌はいっそうしっとりと艶を帯びて、オスカーの掌に自ら吸いついてくるようだ。
そのうえ、刺激に対しても敏感になっているようで、オスカーの指の動きひとつひとつに、響く様に反応が返ってくる。
その肌を唇でも味わいたくて、オスカーはアンジェリークを口付けから解放して、首筋に唇を押し当てた。
あえて、舌は這わせず、唇だけを滑らせて、首筋から肩口へと乳白色の肌をなぞっていく。
「あっ・・」
アンジェリークが眉根を寄せて、小さく声をあげる。
オスカーは柔らかな愛撫を続けながら、アンジェリークに囁く。
「お嬢ちゃんは、なんだか、日増しに感度がよくなるみたいだな・・」
「んっ・・だって・・オスカー様の指も唇も・・魔法みたいで・・触れられた所から、熱くなるの・・」
「俺のほうがお嬢ちゃんの肌に吸い寄せられてるんだぜ、お嬢ちゃん・・」
オスカーは背骨にそって指をはしらせながら、唇はこんもりと盛りあがった胸乳の稜線に滑らせて行く。
アンジェリークが愛撫への期待に焦れるように、ことさらゆっくりと、唇は頂点を目指す。
唇が乳輪にたどりつくと、オスカーは漸く乳輪と皮膚の境目に舌を這わせ始めた。だが、先端を口に含もうとはしない。
その刺激に乳首がくっと頭をもたげ始める。それでも、オスカーはその部分には舌を這わせず、周囲だけを舐る。
「あん・・やっ・・オスカー様・・」
「何がいやなんだ?あんまり、強い刺激はいけないんだろう?だから、こんなに優しくしてるじゃないか・・」
「う・・ん、わかってらしゃっるくせに・・いじめないで・・ね?」
潤んだ瞳で見つめられ、オスカーはあっけなく降参する。今のアンジェリークにはいつにも増して、オスカーは強く出られない。
「こうして欲しいのか?・・」
オスカーは立ちあがりかけた乳首をそっと唇で挟んでから、丁寧に輪郭に沿って舐め上げた。
「あぁ・・ん」
望んだ愛撫を与えられて、アンジェリークの零す吐息は艶かしくも満足げだ。
柔らかく舌で転がし、ほんのときたま、軽く吸う。決して強く舌で弾いたり、弱くでも噛んだはりしない。
乳首への強すぎる愛撫は子宮を収縮させるので、妊婦にはご法度だ。
それに、敏感になっている体に、強い刺激は苦痛にしかならないから、物足りないくらいの愛撫が今のアンジェリークには丁度いい。
その当たりの機微や力の加減は、オスカーにはお手のものだった。
アンジェリークの背中をさすっていた手は、今は張りのある双球をなでさすりながら、後方から秘唇にのばされていく。
双球の割れ目から自然に股間に手を差し入れると、伸ばした指先に、とろりと愛液がまつわりついてくる。
秘唇全体を、やはり力はほとんど加えずに、前後にやさしく撫でさすってやる。時折もみほぐすように、少しだけ指を動かして。
「あっ・・はぁ・・くふ・・ん」
アンジェリークの声が一層艶めいていく。
オスカーは唇を乳房から離して体をおこし、お腹にキスをおとしながら、
横向きに横たわるアンジェリークの片膝だけを少し立たせ、アンジェリークの下腹部に顔を近づけていく。
最も敏感な花芽には、もう指での愛撫も刺激が強そうなので、指での愛撫は襞の合わせ目までに留めると、
立たせた膝が閉じないように、軽く片手で支えながら、アンジェリークの股間に顔を埋めた。
形のいい鼻先で花芽をすりあげると、
「きゃうっ・・」
アンジェリークの腰がびくりと跳ねた。
「これでも、刺激が強いか?なら、優しく舐めるだけにしておこうな・・」
オスカーが、秘唇を撫でながら、花芽を舌で転がすように舐め上げる。秘裂を指でかきまわす事もしない。
それでなくても、柔らかくなっている肉壁を爪で傷つけたりしたら、大変だからだ。
指のかわりに、尖らせた舌を秘裂に差し入れ、愛液ごと内部の襞を味わおうとする。
花芽と秘裂に交互に、穏やかに舌でのみ愛撫を与えるオスカー。
アンジェリークにも、柔らかな舌の感触は純粋に快感として感じられ、吐息が切なく、せわしげになっていく。
「ああっ・・はぁ・・んくぅ・・オスカーさま・・私も・・」
アンジェリークが、固く屹立しているオスカーのものに手を伸ばしてきた。
募って行く快感を紛らわそうとでもするように、やわやわと小さな指で軽く握ってすりあげようとする。
「ん?もう我慢できないのか?」
「やん・・そうじゃなくって・・でも・・そうなの・・かも・・」
言葉の最後は消え入りそうに小さいものだったが、アンジェリークはすぐ、思いなおしたように、オスカーに訴えた。
「だって、私もオスカー様にしてさしあげたい・・喜んでいただきたいの・・」
「ふっ、自分から俺の事を愛そうとしてくれるのは嬉しいが、無理はしなくていいからな?」
オスカーは嬉しそうに微笑むと、再び、アンジェリークを悦ばせることに集中しだした。
アンジェリークも、快感に流されそうになりながら、オスカーのものを手で撫でるように愛撫する。
自分も口に含んで愛撫してあげたい気持ちはあるのだが、身長差が大きいので、姿勢が限定されてしまう今はそれは難しかった。
だから、出きる限りの範囲ででも、自分が与えてもらっている快楽の幾許かでも、アンジェリークはオスカーに返したくて、
小さな手で懸命に、脈打つようなそれを愛撫し、時折、一生懸命体を伸ばして、すべらかな先端部分に唇を寄せようとする。
でも、優しくはあるが執拗にオスカーがアンジェリークの花芽を舐り、秘裂に舌をさしいれるにつれ、
アンジェリークは、高まる悦楽に抗し切れず、もうオスカーのものを愛撫することができなくなってしまう。
自然に揺らめいてしまう腰は、快楽から逃れ様としているのか、オスカーを誘っているのか、アンジェリーク自身にも判然としない。
「ああっ・・オ・・オスカーさま・・もう・・わたし・・わたし・・」
「欲しいのか?お嬢ちゃん」
頬を桜色に上気させ、こくりと頷くアンジェリークの様子は、あどけないほどいじらしいのに、その表情は驚くほど艶かしい。
オスカーは体を起こすと胡座を組み、アンジェリークの体を抱き起こして、自分の組んだ足を跨らせた。
「さ、おいで、お嬢ちゃん・・」
「んんっ・・」
アンジェリークはオスカーの肩に手をかけて、膝だちの姿勢からゆっくりと腰を落してオスカーのものを収めて行く。
オスカーはアンジェリークに口付けながら、優しく抱きしめるが、律動はアンジェリークにまかせ、自分は突き上げない。
アンジェリークのいいように、挿入の深さを調節させ、アンジェリークの性感が高まるのをまつ。
アンジェリークが、最初はゆっくりと、そして少しづつ腰の動きを早めて行く。
自分の腰を、円を描く様にくねらせている。特に花芽をオスカーの体に自分からこすりつけるようにして、快楽を得ようとする。
「んふっ・・んぅ・・ん」
オスカーとの口付けが苦しくなってきたようで、アンジェリークはいやいやをするように、唇を離してしまう。
オスカーはその外された唇をアンジェリークの首筋に移し、首から肩にかけて舌を這わせる。
「あっ・・ああっ・・オスカー様っ・・もっと抱きしめて・・」
アンジェリークが高まって行く官能に押されて、オスカーの温もりを求める。
だが、向かいあったままでは、互いの顔を見ることはできても、きつい抱擁はお腹を圧迫してしまうのでできない。
オスカーは、アンジェリークに耳元で囁いた。
「お嬢ちゃん、そのまま体をねじってごらん。後ろから思いきり抱きしめてやるから・・」
アンジェリークは霞のかかった瞳で微かにうなずくと、オスカーに背を向けるように、体を回そうとする。
オスカーはアンジェリークの腰を支えて、それを助ける。
「くぁっ・・はっ・・」
つながったまま与えられるねじれるような動きが、オスカーのものにも、アンジェリークの肉壁へも鋭い快楽を与える。
二人が同じ向きになると、オスカーは背後からアンジェリークを固くだきしめて、なるべく肌が密着するようにしてやる。
「ほら、これでいいだろう?これなら、寂しくないか?」
「あぁ・・オスカー様・・」
「今度は俺が動いてやろうな、お嬢ちゃん・・」
オスカーは、肌をなるべく接したまま、突き上げると言うよりは、自分のものでアンジェリークの中を掻き回すように腰を動かした。
抱く前、アンジェリークがうら寂しい瞳で自分をみつめたことが気になったオスカーは、アンジェリークを安心させるように
一体感を感じられるような律動を心掛けようとする。
「くふっ・・ふぁっ・・あぁん・・」
アンジェリークが背をのけぞらせる様にして体をオスカーに預けてくる。
オスカーはアンジェリークのうなじに舌を這わせながら、手を股間に伸ばして行き、花芽にそっと指で触れた。
「ん・・くぅっ・・ん」
オスカーが花芽に触れたその瞬間、アンジェリークの中がきゅっと窄まる様に、オスカーのものを締付ける。
アンジェリークの肉襞はとろけるように柔らかく、オスカーのものを自ら包み込む様に襞が妖しく蠢いている。
「痛くはないか?」
オスカーが優しく花芽を指の腹ですりながら、アンジェリークに尋ねた。
「あっ・・いい・・気持ち・・いいです・・」
敏感過ぎるほど敏感になっていた花芽も、高まった情感でもう快楽を得られるようになっていた。
「・・なら、もう、大丈夫だな・・」
オスカーはアンジェリークを背後から抱きしめたまま、そっとベッドに倒れこんだ。
「動くぞ・・」
横向きに横たわり、背後からアンジェリークの体をぴったりと抱きすくめたまま、オスカーは律動を開始した。
奥までは突き入れずに、肉壁を自分のもので縦横に擦りあげる様にする。
不規則に上下左右の肉壁を自分の張り出した部分で擦る様にしながら、指で花芽を、優しく円をかくようになでさすった。
同時に、うなじのそこここに舌を這わせる。
「はぁああっ・・・あっ・・ああぁっ・・」
敏感な部分全てに同時に与えられた刺激に、アンジェリークが激しく乱れる。
オスカーが片手をアンジェリークの口元にもっていくと、アンジェリークは夢中になって、オスカーの指に吸いついてくる。
「・・・いいか?お嬢ちゃん・・」
オスカーの声も快楽にうわずり始めている。
アンジェリークの官能が深まるにつれ、肉襞はオスカーのものを絞りあげるかのように蠢く。
「あっ・・あぁっ・・だめ・・も・・イク・・イッちゃう・・」
アンジェリークが感極まったあまり、しゃくりあげる様に訴える。
「ああ・・何もかも忘れろ・・」
オスカーはうなじをきつくすいあげると同時に、さらに速度をまして肉壁をすりあげた。もちろん柔らかく花芽も嬲りながら。
「やぁっ・・あっ・・はぁあああっ」
そのほんの少し強めの刺激にアンジェリークは悦楽の高みにかけあがった。
アンジェリークが達すると同時に、秘裂が痙攣しながらオスカーのものを生き物の様に締付けた。
「くっ・・」
その締付けに自身が蕩けていくような恍惚のうちに、オスカーも精を放った。
アンジェリークの胎内にまだ自分のものを納めたまま、オスカーは背後からきつくアンジェリークを抱きしめた。
そして、快楽の余韻に瞳が虚ろなままのアンジェリークの顎を摘んで自分の方を向かせ、口付ける。
唇を軽く吸ってから、自分のものを引きぬき、アンジェリークの体を反転させて向かい合うと、その体を引き寄せ、自分の腕のなかに
すっぽりと包み込む様に抱きしめた。
そして、アンジェリークの瞳を覗き込んでから、オスカーはこう尋ねた。
「今は、もう大丈夫みたいだが・・お嬢ちゃん、いったいなんで、あんな寂しそうな瞳をしてたのか、よかったら話してくれないか?
悩み事は、お腹の子供にもよくないんじゃないか?」
アンジェリークは一瞬瞳を見開いたが、それでも、こう答えた。
「ほんとうに、なんでもないんです。」
「なんでもないふうには、見えなかったが・・」
納得しかねる様子のオスカーに、アンジェリークは覚悟をしたように、だが、おずおずと、答えた。
「あの、ほんとは・・オスカー様はいつまでも素敵なのに、自分の体はみっともなく変わっちゃったなって思ったら、なんだかちょっと
悲しくなっちゃったんです。それだけなんです・・」
オスカーは心底意外そうに尋ね返してきた。
「なんだって?お嬢ちゃんの体は、そりゃ、変わったが・・俺はみっともないなんて思ったことは一度もないぜ?
むしろ、肌なんかしっとり艶が増して、きれいになったとおもってるくらいだ。」
「・・・うそ・・こんな体でも?・・」
今度はアンジェリークのほうが半信半疑といった様子で問い返してきた。
「いまのお嬢ちゃんは、精気に溢れてて輝かんばかりにきれいだぜ。それに、見くびってもらっちゃ困る。
俺は、お嬢ちゃんが、お嬢ちゃんだから愛したんだ。お嬢ちゃんの括れたウエストに惚れた訳じゃないんだぜ?
それは、魅力のひとつであったことは否定しないが・・
だが、お嬢ちゃんだって、俺の体だけに惚れた訳じゃないだろ?俺がいい体をしてるっていうのは、確かだけどな?」
オスカーが悪戯っぽくにやりと笑った。
「それにお嬢ちゃん、もし俺がサクリアを失って、年をとって体が衰えたら、お嬢ちゃんは俺をきらいになるか?」
「そ、そんなこと、あるわけないじゃないですか!オスカー様はオスカー様なんですから!」
自分でこう叫んで、アンジェリークははっとした様にオスカーを見上げた。
「わかっただろう?同じ事だって・・まして、お嬢ちゃんの体が変わったのは、俺にとってはこの上なく幸せな理由なんだからな。」
「オスカー様・・ごめんなさい・・」
「謝ることなんてないさ。初めてのことだ。不安なこともあって当たり前だろう。ただ、一人で抱えこまないでくれよ?
俺がいるんだから。な?」
「はい・・オスカー様」
心底嬉しそうに、アンジェリークが微笑んだ。
オスカーはアンジェリークの花が綻んだような笑顔に、心浮き立ったようで、アンジェリークの肩を抱き寄せて、さらにこう言った。
「それに・・せっかく俺が胎教にもいいようにと思って、お嬢ちゃんを気持ちよくさせてるんだから、
くよくよしちゃ、胎教の効果がなくなっちゃうぜ?もっとも胎教にいいからって理由で、俺はお嬢ちゃんを抱いてるわけじゃないぜ。
有体にいっちまえば、お嬢ちゃんがかわいくて仕方ないからなんだが、ま、図らずも一挙両得になるからな」
「?え?胎教?」
アンジェリークは突然オスカーの口からでた「胎教」ということばに面食らった。
オスカーはアンジェリークの戸惑いに気付かぬ様に言葉を続ける。
「本に書いてあったぜ。お母さんの気持ちのいいことが、一番の胎教ですって。お母さんが気持ちよければ、お腹の子供も気持ちいいんだろう?」
「え?え?」
訳のわからないアンジェリーク。
「俺は、胎教っていったら、静かな音楽でも聴かせる事かと思ってたんで、(いやいや、かつ、しぶしぶ)
リュミエール当たりに、ハープの演奏でも頼むかと最初は思ったんだが、ルヴァから借りた本に、そう書いてあったんでな。
俺のやりかたでお嬢ちゃんを気持ちよくさせてやれば、それがお腹の子供にもいいってわかって、俺は嬉しかったぜ。
お嬢ちゃんが気持ちいいと、俺も気持ちいいばかりか、お腹の子供まで気持ちいいなんてな。眼から鱗が落ちたぜ。
だが、同じ本に『何度もエクスタシーを感じるような激しいSEXはいけない』とも書いてあって、ちょっと混乱したんだが、
詰まるところ、お嬢ちゃんにはちょっと可哀想だが、イク回数を制限すればいいってことだと気付いてな。
そのへんのさじ加減が難しいところだが、ま、俺にかかれば、それくらいなんともないからな?」
オスカーが何を言わんとしているか理解して、アンジェリークは一瞬あっけにとられ、
『・・・・それ絶対、ちょっと意味が違うと思う・・・』
と、心の中で思ったが、得意満面なオスカーの顔に、もうなにも言うまいと思った。
オスカーが、自分のことも子供の事もとても大事に思ってくれてる事はしみじみと感じられたので。
アンジェリークはオスカーの首にすがりつくように腕を回して、抱きついた。
「オスカー様って、ほんとに優しいんですね。大好きです。」
オスカーはアンジェリークの言葉に嬉しそうに笑うと
「俺も愛してるぜ。だから、俺は、俺にできることはなんでもお嬢ちゃんにしてやりたいんだ・・」
といって、アンジェリークに再び口付けた。
オスカーに舌を吸われながら、アンジェリークは、オスカーの勘違いは自分たち二人とも幸せになれる勘違いなんだから
このままでいいわ、と思っていた。
アンジェリークだってオスカーに抱かれることは大好きだったから。
そして、
『私がオスカー様を大切に思うように、オスカー様は私を大事に思ってくださってる。大丈夫。多分もう、私、不安に捕まったりしない』
とも思った。それは確信に近い思いだった。
アンジェリークはオスカーの腕の中でこの上なく満ち足り安らいでいた。
アンジェリークの気持ちが伝わったのかのように、お腹の赤ん坊が胎内でぽこぽこと動くのを、アンジェリークは感じ、
アンジェリークの胸中はさらに暖かな幸福感でいっぱいになった。
本当は「始まりの日」のほうが初出は先なのですが、妊娠出産ネタとしては時間的にこちらのほうが早いので掲載順を変えてみました。でも妊娠中は激しいHはご法度だから、ちょっとヌルかった・・(爆)
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