何度思うたことか
この腕に君を抱きとめることが出来ればと
何度悔やんだことか
伝えられぬ想いに身を焦がし
饐えた欲望に濁り ひずんでいく自分を
全てを見据えて 微笑む君
何もかもを赦し 優しくつつみこむ君
なのに・・・・
己の激情をもてあまし
泣き叫ぶ君を組み敷いた
恐怖と苦痛にゆがむ顔
あの微笑みは 自分が殺してしまった
言いたかったことは ひとつだけだったのに
刹那にも満たぬ その一言
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最早君の瞳には
自分の姿は 映らない
だけどこの心は君を求めてやまず
君が漏らす酷い悲鳴でさえもほしくて
哀しみと苦しみに引き裂かれては流れる
君の悲痛な涙をすする
そして君はまた負う必要のない傷を負う
君が血を流すことをわかっていてさえも穢し縛り付け
一時の満足のために君を泣かせ続ける
つかの間の悦楽に溺れるあさましき自分を呪え
君への懺悔と恋慕に この瞳は霞みを増してゆく
傷つけたくない 離したくない
わかっている
欲するのは君のことだけだということも
脂粉と香水の匂いは慰めにすらならないということも
それでも・・・・・・
「・・・・・・・・・っ」
今宵三度目の澱んだ後悔は閃光のように吐き出され
醜いだれかが ひどくわななき
この身はまた蝕まれていく
独占欲 自己嫌悪 後悔 贖罪 狂気
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慕情
音にならない 言葉はひとつ
今はもう閉じてしまった扉の向こうで 本当に伝えたかったのは
たったこれだけ
「アイシテイル」
オスカーの血を吐くような独白です。イメージは暁紅14話頃までの彼ですね。
アンジェにあんなに酷いことしているんだから、アンジェの苦しみはこの比じゃないって怒られてしまいそうです(汗)実際、この当時の彼の苦しみは実は非常に自分勝手なものともいえます。
根本的にアンジェを解放して謝罪することができず、小手先の策を弄するばかりです。で、外界行っちゃぁ無駄だま打って、やっぱりダメだったかと更に荒むという悪循環。
それでも、なぜ小手先の策を弄さずにはいられないかというと、アンジェをこれ以上苦しめたくないという思いが確かにオスカーの中にあるからです。でも、アンジェと完全に断ち切れてしまうことが恐ろしくて苦しくて、どうしてもアンジェを自由にしてやれない自分もいて、この相反する情動にオスカーは常に真っ二つに引き裂かれている、その足掻きともがきが、んどぅ様が詩にしてくださった彼の独白になるんですね。
この当時のオスカーを愚かとなじるのは簡単ですが、この現状をどうにかしなくては、という思いがあるからこそ、彼は足掻きはいずってるんです。つまりは、それは前に進もうとはしてるということです。開き直ったり居直ったりはしていません。諦めていないからこそ、愚行を繰り返してもいるのです。
この当時の彼を単なる「阿呆」と思うと共感はできないと思いますが、意味のない愚行の繰り返しではあっても、それは『このままではいけない、アンジェを手放し楽にしてやらねば』と思っていた故の愚行であったと見てやっていただきたいというのは…オスカーに甘すぎでしょうか(汗)
そして、その闇雲な愚行も、その意図自体は正しいものなので、少しづつですが彼は人間として成熟していってる…筈です。本来の彼は清廉な精神と、アンジェとはまた異なる強さも持っている人だと思うから。
んどぅ様は、この頃の未熟なオスカーをむしろ好きだと言ってくださいました。『バカみたいに無駄なことして、ひとりで渦の中にもぐって行って・・・・・・でも、そういうところが、すごく可愛い。変な意味じゃなくて、そういう姿にどうしようもなく愛おしさを感じる』とまで言っていただけまして、この詩は、そんなオスカーへのラブレターだそうです。お馬鹿な頃のオスカーに、こんな暖かい想いを注いでくださって、うちのオスカーともどもありがたくて涙が出ます(おいおい)
んどぅ様、どうもありがとうございましたー!