太陽のバースデイ 2


情事の余韻醒めやらぬアンジェリークを抱いたまま、オスカーはランチボートに乗り込み、ホテルに戻ってくれるよう、スタッフに依頼した。

ぐったりとオスカーに抱かれているアンジェリークを見て、スタッフはあわててふためいて二人に話し掛けてきた。

「お客様、どうかなさいましたか?どこかお加減でも・・」
オスカーはさりげなくアンジェリークの体にパレオをまきつけ、自分の散らした紅い花びらを隠すと、

スタッフを安心させるために、何でもないと言うように余裕の笑みを浮かべる。

「ああ、ちょっと直射日光を浴びた所為で、日射病にでもなったみたいだ。」

スタッフは、アンジェリークのとろんとした瞳と紅潮した頬を見て納得したようである。

「それでは、ホテルに医務室がございますから、そちらまでおつれいたします」

「いや、それには及ばない。たいしたことはなさそうだから、部屋で休んでいれば大丈夫だろう」

オスカーが答える。

「とりあえず、桟橋まで船をだしてくれないか?」

「ああ、それはもう、すぐに」

スタッフは船のエンジンをかけると、すぐに船を出した。

程なくしてプライベートビーチの桟橋に船が着くと、オスカーはアンジェリークを抱いたまま、下船した。

スタッフが心配そうに、様子をうかがっている。

「お客様、本当に医務室までご案内しなくても、よろしいのですか?」

「ああ、君も他の客の送りがあるから、島に早く戻らなくちゃならんだろう?妻は俺が面倒を見ているから大丈夫だ」

それを聞くと、ホテルスタッフはほっとしたようで、

「では、お言葉に甘えて、私は島に戻らせていただきます。どうぞお大事に」

といって、再度船を島に向けた。

オスカーは鼻歌が出そうなほどご機嫌な様子で、アンジェリークを抱いたまま、メインロビーのほうへ向かって行った。



アンジェリークは船に揺られている間に、ぼんやりとしていた頭がだんだんはっきりしていった。

そして、船が桟橋に着いて、オスカーに抱かれたまま浜辺に降り立ったときには、もう体の火照りもさほどではなくなっていた。

いつまでも抱きかかえられていることにも、羞恥心が芽生えてきたアンジェリークは、オスカーに

『もう、一人で歩けますから、降ろしてください』

と、言おうとして、何気なく自分の体をみおろすと、そこには・・

先ほどの情事でオスカーに散らされた紅い花びらがそこここに咲き乱れていた。乳房の谷間に、なだらかな腹部に、点々と・・・

この分ではきっと、背中にも多数の花が散らされていることだろう。

今は、パレオが体に巻きつけられて隠されているものの、これでは水着でそとに出られない。

この旅行はオスカーの誕生日の記念であることをアンジェリークはちゃんと、認識している。

だから、つい嬉しくてはしゃぎたくなる気持ちは押さえて、とにかくオスカーに喜んでもらおうと、オスカーが喜ぶことをしようと思っていた。

しかし、ここまであからさまに情事の跡のついた肌を人前に晒すことなど、アンジェリークには考えられない。

いけないとおもいつつ、アンジェリークは悲しい気持ちが沸き起こってくるのを押さえることができない。

『オスカー様がなさりたいことを自由にしていただこうと思ってたわ。でも、せっかく、海に来たのに、これじゃ、もう海やプールに入れない・・』

泣いてはいけない、泣けばオスカーが困惑するのはわかっている。

そう思って、必死にこらえようとするが、表情が暗くなっていくことはどうにも止め様がない。

ご機嫌なオスカーと対称的に、どよ―んとしたアンジェリークの様子に気付いたオスカーが心配そうな顔になる。

ほんとに具合が悪くなったのでは?と思いアンジェリークに訊ねた。

「お嬢ちゃん、どうした、暗い顔をして・・まさか本当に気分が悪いのか?」

「オスカーさまぁ・・」

アンジェリークがべそをかく。

「こ・・こんなにいっぱい・・あの跡がついちゃってたら、私もう水着になれません・・これじゃあ恥ずかしくてレストランにも行けないわ」

泣きそうな顔のアンジェリークを見てオスカーはこれはまずいことをしたと、いまさらながらに思った。

『しまった・・ついいつもの癖で、おもいきり跡をつけてしまった・・・考えてみればここにいる間は水着でいる時間のほうが長いかもしれんのに・・』

アンジェリークに泣かれたりしたら、オスカーは自分で自分が許せなくなる。

アンジェリークが泣いていいのは、自分が与える快楽にむせび泣くときだけだ。

そう心に決めているオスカーは何とかアンジェリークを浮上させようと、必死になった。

「大丈夫だ!お嬢ちゃん、パレオを胸の下からまけば、体はほとんど隠れる。食事にはそれでいけばいい。

 で、食事の後に人のいなさそうなところで、肌をちょっと焼けば、そんな跡なんてすぐ目立たなくなるさ!」

自分に言い聞かせるように、オスカーは強く断言する。

こういうことは言ってる本人が信じきって強気でいけば、聞いているほうもそういうものかと、納得するものなのだ。

「う〜〜、ほんとに目立たなくなりますか?オスカーさまぁ・・」

「お嬢ちゃん、俺を信じろ!俺が君に嘘をいったことがあるか?」

『ほんとのことを言わなかったことはあるが、それは嘘とは言わないからな』オスカーがひとりごちる。

「とりあえず、食事に行こう、お嬢ちゃん。腹ごしらえすれば、きっと気分もよくなる。な?」

おりしも、時刻はちょうどお昼時であった。

「それじゃ、オスカー様、もう降ろしてください。私もう歩けますから・・」

アンジェリークがオスカーに訴えた。心の中でこんなこともおもいつつ。

『この上、抱かれたままレストランに入ったりしたら、ますます注目を浴びちゃいそうだし・・』

「そうか?じゃ、俺がパレオをボデイにまきなおしてやろうな」

オスカーはアンジェリークを降ろすと、体に軽くかけられたパレオを一旦はずして、

アンジェリークの首にかけてから、胸元にひとまきして、胸乳の上できれいに結んでやった。

「さ、どうだ?これで、お嬢ちゃんの胸元からかわいいお腹まで、ちゃんとパレオでかくれただろ?」

アンジェリークはオスカーにパレオをまきなおしてもらった自分の体を見下ろした。

「あ、ほんと。これなら、外に出歩いても恥ずかしくないです」

アンジェリークが軽く微笑んだ。暗かった表情がちょっと、晴れやかになった。

オスカーはほっとした。そして、

「ほら、お嬢ちゃん、他の客もレストランに行き出したみたいだぜ。あまり混まないうちに食事にいこう」

とアンジェリークを促した。

「はい、オスカー様」

心の荷がちょっと軽くなったアンジェリークは、自分が空腹であることに気がついた。

レストランのほうから、おいしそうなにおいがただよって来る。

二人はつれだって、プールに面したメインレストランに向かって歩いて行った。



このリゾートのメインレストランは敷地の中央にあるプールに面した開放的な作りになっており、

エアコンの効いた室内部分と、潮風を感じながら食事のできるテラス部分に分かれていた。

食事は全てビュッフェ形式で、宿泊客はめいめい好きなものを好きなだけ食べることができる。

夕食時には、ビュッフェでは物足りない宿泊客のために、着席式のコース料理を出すレストランも別途用意されており、

キャンドルの光につつまれ、二人きりのロマンティックなディナーを取ることもできるのだが、

今はランチタイムということで、オープンしているのは、このビュッフェスタイルのメインレストランのみのようである。

それでも、料理はオードブルからメイン、デザートにいたるまで、各国の料理が色とりどりに並べられ、

どれから食べればいいのか、目移りしてしまうほどだ。

二人は、潮風の吹きぬけるテラス席に案内してもらってから、料理を選びにいった。

「オスカー様、いろいろあって、目移りしちゃいますね」

「ほら、お嬢ちゃんの好きなデザートも、ケーキやらアイスクリームやらいろいろあるみたいだぜ」

数々のデザートを見てアンジェリークの目が輝く。アンジェリークの好きなイチゴのタルトもある。

「あっ、じゃあ、ちゃんとデザート用にお腹をあけておかなくちゃ!」

「そんなに慌てなくても、ここには一週間はいるんだ。ゆっくりいろいろ味わえばいいさ」

「ふふ、それもそうですね」

若い二人は旺盛な食欲を示した。

おいしい食事と、なにより食べきれないほどのデザートにアンジェリークのご機嫌はすっかり回復したようだった。

「ああ、もうおなかいっぱいです〜。」

アンジェリークのご満悦な様子にオスカーが目を細める。

「そりゃ、よかったな。さて、お嬢ちゃんも満足したようだし、とりあえず一度部屋にでも、戻るか」

「あ、はい、オスカー様」

オスカーとアンジェリークはレストランを後にして、自分たちの客室にむかった。



部屋について鍵を開けたオスカーは先にアンジェリークを室内に入らせると、外のドアノブに、さっと

“DO NOT DISTURB!”の表示をつけると、自分も室内に入り、部屋の鍵をしめた。

アンジェリークが部屋のベッドにちょこんと腰掛けて、オスカーに話しかけてきた。

「オスカー様、これからプライベートビーチにでもいきませんか?私、ちょっと肌を焼かないといけないし・・」

上目遣いでちょっと恥ずかしそうにオスカーを見上げる仕草が愛らしい。

「いや、それはやめたほうがいいぜ、お嬢ちゃん」オスカーがこう言うと、アンジェリークが意外そうな顔をする。

「え?、だって、オスカー様さっき・・」

「今は日差しが一番きつい時間帯なんだぜ、お嬢ちゃん。お嬢ちゃんみたいな白い肌にいきなり強い日差しをあびせたら
その綺麗な肌が火ぶくれになっちゃうぜ?今日は初日だし、肌を焼くなら日差しが弱くなった頃を見計らって
徐々に慣らしていかないと・・そうだな、最低でも午後三時過ぎくらいからにしておいたほうがいいと思うぜ」

アンジェリークは納得したようだ。

「じゃ、それまで何しましょうか、テニスとか、ミニゴルフとか、あっ、アーチェリーもありますよ。」

アンジェリークが客室に備え付けてある施設案内をぱらぱらと見ている。

オスカーはアンジェリークの隣にすわると、こうささやいた。

「俺は、これからデザートタイムだな・・」

「え、デザートならいま食べて・・んんっ」

アンジェリークの言葉が終わらないうちに、オスカーが自分の唇でアンジェリークの唇をふさいだ。

アンジェリークの指に自分の指を絡ませ、そのままベッドに倒れこむ。

角度を変えて何度も口付けを繰り返し、上唇と下唇を交互に吸い上げる。敢えて、まだ舌は差し入れない。

オスカーは一度唇を離して、形のいい鼻をアンジェリークの鼻先に軽く触れさせると、氷青色の瞳でアンジェリークの瞳をじっと見つめて囁いた。

「俺のデザートは・・わかるだろ?お嬢ちゃん・・」

これだけいうとアンジェリークの返答を待たず、再度唇を重ねた。

今度は薄く開いた唇に強引に自分の舌を侵入させ、口腔を味わいつくさんとせんばかりに貪る。

己の舌がアンジェリークの舌を感じ取ると、逃げる隙を与えず絡めとリ、強く吸い上げた。

「お嬢ちゃんのキスはヴァニラの香りがするな・・」

オスカーが唇を離して耳元で囁く。その唇はそのまま耳朶を挟みこみ、舌は耳の中に差し入れられた。

「あぁんっ」

耳を嬲る舌の感触にアンジェリークが声をあげる。

それでも、アンジェリークはともすれば快楽に押し流されそうになりながら、これだけはオスカーに言わねばと思い必死で顔を上げた。

「あっ、やっ、おすか・・さま・・これ以上、跡はつけないで・・くださ・・あんっ」

「ああ、今度は気をつける・・ほら・・」

そういうと、オスカーは唇を首筋におとし、舌を這わせ始めた。しかし、今回は舌を這わせるだけで、強く吸い上げることはしない。

「これで、いいだろ?お嬢ちゃん」

オスカーがアンジェリークを組み敷いたまま、端正な唇に笑みを浮かべる。

「・・もう・・オスカー様ったら・・」

アンジェリークが困ったような顔で、微笑んだ。だだっこの悪戯を容認する母親のように。

アンジェリークの許しを得て、逆にオスカーの愛撫は性急さをひそめ、じっくりとアンジェリークに与えられていった。



オスカーの舌が、うなじの部分から側面の首筋、そして、首の前面へと何往復もする。

アンジェリークのパレオと水着を取り去り、鎖骨のくぼみから豊かな乳房の輪郭を確かめるように、唇をすべらせる。

オスカーの穏やかな愛撫にアンジェリークの体の中に小さな火が灯る。

その火がやがて、迸る炎の奔流となって自分を高みに連れ去ることを、アンジェリークは知っている。

オスカーの掌がその重みを確かめるように、乳房を包みこむ。

唇は徐々に乳房の中央に向かって滑って行くが、アンジェリークは多分オスカーがすぐには先端に愛撫を加えないだろうことを予測している。

オスカーが穏やかな愛撫を与えるときは、大概そうなのだ。

焦らされて、焦らされて、自分から欲しいというまで何も与えられない。

オスカーは、先ほどの無人島でのように性急に自分を求めるときもあれば、

煽るだけ煽っておいて、アンジェリークが自ら求めるまでは決して自分を与えない、そんなSEXを好むときも多かった。

最初はそれが恥ずかしくて嫌だった。

自分が自分でなくなるまで追い詰められ、羞恥もためらいも全てを捨てて求めるまで欲しいものを与えてくれないオスカーを恨めしく思うこともあった。

でも、なぜオスカーが自分にそんな恥ずかしいことをさせたがるのか、考えてアンジェリークは気付いたのだ。

オスカーは、アンジェリークが全身全霊でオスカーを求める姿を欲しているのだということを。

オスカーはアンジェリークを求めながら、アンジェリークもオスカーを求めていることをオスカーに知らしめてほしいのだということを。

それ以来アンジェリークは率直にオスカーを求めてきたつもりだった。欲しいものは欲しいと言う様に心掛けてきたつもりだった。

それがオスカーを悦ばせることにもなるのだとわかったから。

しかし、オスカーは相変わらずアンジェリークを追い詰めて、オスカーを求める言葉をその口に紡がせようとしている。

『私がオスカー様を欲していることがオスカー様には伝わってないのかも知れない・・

 体が快楽に染まらなければ、私がオスカー様を求めないとお思いなのかも・・』

そんなのは嫌!アンジェリークは思った。

『私は私の意思でオスカー様が欲しいと思っている。追い詰められて仕方なく求めているわけじゃない。

 私もオスカー様が欲しいと思っている気持ちをどうやって伝えればいいの?どうすればわかってもらえるの?』

与えられた快楽に流された末にオスカーを求めるのではだめなのだ。それでは足りないのだ。

届いていない気持ちは、その人にとっては存在しないのと同じなのだ。

何とかして伝えたい、自分がオスカーをどれほど欲しているか、どれほど求めているか。

『宇宙より大事だと思ってしまったから。何を捨ててもあなたが欲しかったから・・』

オスカーの唇を肌に感じながら、アンジェリークは自分がオスカーにできることを考えていた。



オスカーの唇が乳首をかすめる。やはり口には含まず、乳輪の部分にだけ舌を這わせる。

それでもその刺激だけで、アンジェリークの乳首は乳輪の部分からその存在を主張し始める。オスカーの舌を誘っているかのように。

アンジェリークがオスカーの緋色の髪に指を埋め、自分の胸乳にオスカーの顔を引き寄せる。

「オスカー様・・吸って・・」

オスカーの髪を撫でながら、アンジェリークが囁く。その瞳は物憂げだが、しっかりとオスカーを見つめている。

オスカーは一瞬驚いたように乳房から顔を上げた。が、すぐに、

「今日のお嬢ちゃんは大胆だな・・でも、そういうお嬢ちゃんも悪くない・・」

といって、アンジェリークの望み通り、アンジェリークの乳首を口に含み、舌で転がす。

口の中で乳首が固く立ち上がっていく感触を味わいながら、舌先で先端をつつき、軽く歯をたててその弾力を楽しむ。

大きな掌で乳房を中央に寄せるようにやわやわと揉みしだく。

「んっ・・あぁ・・」

乳首に歯をたてられて、アンジェリークの体がぴくりと震える。

アンジェリークは、オスカーの存在を確かめるかのようにその手をオスカーの背にさまよわせる。

オスカーは唇で乳房へ愛撫を与えながら、手をなだらかな腹部へと伸ばして行く。

あわあわとした叢をオスカーの手がかきわけようとしたとき、アンジェリークの手がオスカーの手を押しとどめた。

「お嬢ちゃん?」

いぶかしげにオスカーが顔をあげる。

アンジェリークは上体をおこすと、自分からオスカーの首にうでを回し、軽く口付けてから、オスカーの耳朶を甘噛みした。

「オスカー様、今日は私が・・・」

こう言うと、アンジェリークは唇をオスカーの首筋におとし、舌を這わせた。

オスカーはいつになく積極的なアンジェリークに戸惑いを隠せないようだ。

「今日のお嬢ちゃんはいつもと違うな・・」

「こんな私はお嫌ですか?」

アンジェリークがうっすらと微笑みながらオスカーをみあげる。その瞳に浮かぶ妖艶さにオスカーの背筋がぞくりする。

「いつも私ばかり、気持ちよくしていただいているから・・・私もオスカー様を気持ちよくして差し上げたいの・・」

そう言ってアンジェリークは唇を首筋から厚い胸板に滑らせて行く。薄茶色の突起をみつけ口に含んでみた。

いつも自分がされているように、舌で転がし軽く歯を当てて、吸い上げてみた。

オスカーの胸の突起が硬度を増したような気がして、なんだかアンジェリークは嬉しくなる。

「オスカー様が好き。オスカー様が欲しいの。だから、私もオスカー様に悦んでいただきたいの・・」

「アンジェリーク・・」

オスカーは思わずアンジェリークの体をきつく抱きしめていた。

アンジェリークを抱いたまま自分の体を下にして、ベッドに沈みこむ。

アンジェリークは華奢なその体でオスカーに覆い被さると、また唇をオスカーの体のそこここに落として行く。

オスカーの指がアンジェリークの金の髪を愛しげに梳く。

アンジェリークは唇をオスカーのわき腹から下腹部へと移動させていく。

手はそろそろとオスカーの股間に伸ばされて行くが、やはりまだためらいがあるのか、オスカーのものに触れることに逡巡しているようだ

オスカーはアンジェリークの手を取り、自分のものに導いた。

アンジェリークは一瞬びくっとしたようだが、すぐに、オスカーのものをやんわりと握るように手を動かし始めた。

オスカーのものは、天に向かって固く屹立し、熱く脈打っている。

その熱さを確かめるように小さな掌でオスカーのものを撫でさする。

そのぎこちない動きがかえってオスカーを高ぶらせて行く。

アンジェリークは顔をオスカーのものに近づけていくと、手を添えて、オスカーのものに唇でそっと触れた。

そのまま、先端に舌を這わせ、チュっと吸い上げてみる。

いつも自分がオスカーから花芽に与えれらる愛撫を思い出して、さおの部分や横に張り出した部分にも舌を這わせてみる。

上目遣いにオスカーの様子をうかがうと、オスカーの端正な眉が少し苦しげにひそめられている。

オスカーの表情に自分のやり方が間違ってないらしいことをしり、アンジェリークはさらに大胆に舌を動かしてみる。

円を描くように先端に舌を這わせたり、先端の合わせ目に軽く舌を差し入れてみたりする。

「・・・お嬢ちゃん、どこでこんなことを覚えたんだ?・・」

オスカーがアンジェリークの髪を撫でながら、呟いた。その声は心なしかすれている。

「やだ・・オスカー様がいつも私にしてくださってるじゃないですか・・それを思い出してるだけ・・」

アンジェリークがオスカーのものから唇を離して小さな声で答えた。オスカーのものがアンジェリークの唾液で濡れて光っている。

アンジェリークは自分の唾液で滑らかになっている先端を細く白い指で愛しむように撫でる。

「・・なんだか、さっきより大きくなってきたみたい・・」

「・・・お嬢ちゃんが上手だからさ・・そのまま咥えてみな・・」

「んっ・・」

アンジェリークが言われるままにオスカーのものを口に含む。

全体を包みこもうとしてみたが、オスカーのものはアンジェリークの口には大きすぎて、半分くらい入ったところで、もうのどの奥にあたってしまう。

それでも入るところまで、口腔内に収めてから、唇をゆっくりと上下させてみる。

時折軽く歯を立てると、オスカーのものがどくんと脈打ち、さらに大きさを増したようなきがした。

「・・・オスカー様・・気持ちいい?・・」

アンジェリークが一度唇を離して、オスカーに問いかける。

緑の瞳に一瞬宿った妖しさは、自分の目の錯覚か?

オスカーはまぶしいものを見るかのように目を細め、アンジェリークに率直に答える。

「ああ、お嬢ちゃんの口の中もお嬢ちゃんのあそこと同じくくらい熱くて、やわらかで、蕩けそうだ・・」

実際、最初ためらいがちにおずおずと動かされていた舌や唇は、
オスカーの表情を見て取りながら、オスカーの弱いところを着実に把握しつつあるようだ。

「ふふ、嬉しい・・」

アンジェリークは再度オスカーのものに手を添え、口に含んだ。今度は唇を動かす速度を少し速めてみる。

アンジェリークはオスカーが自分を快楽のふちに追い詰めたがる気持ちが少しわかるようなきがした。

自分が愛する人を陶酔させ、悦ばせることができる、そのこと自体もまた快楽なのだと。

オスカーへの奉仕に余念の無いアンジェリークにオスカーが話し掛けてきた。

「お嬢ちゃん、かわいいお尻をこっちに向けてみな?」

アンジェリークはオスカーの意図を察知して、オスカーのものを含んだまま、体の位置をずらして、白い双球をオスカーに向ける。

「レディだけに奉仕させるのは俺の趣味じゃない・・」

オスカーはアンジェリークの腰を少し持ち上げさせた。自分の目にアンジェリークの秘唇がよく見えるような位置に腰を固定する

アンジェリークの秘唇は白い双球の真中に咲いた、真っ赤な花のようだ。

自らの行為に高ぶっているのか、止め処も無く愛液を零し、秘唇全体がつやつやと光っている。

幾重にも重なった花びらは妖しく蠢いて、オスカーを誘い掛ける。

『俺はこの花の蜜に誘われ囚われた蜜蜂だ・・』

そんな考えが一瞬オスカーの頭をよぎる。そう、この花を自分の針で刺し貫き、歓喜の蜜で溢れさせたい・・

そう思ったオスカーはアンジェリークを言葉で嬲って、もっと乱れさせようとする。

「どうした、お嬢ちゃん、俺のものを咥えただけで、こんなに溢れさせて・・俺はまだ、なんにもしてないぜ」

アンジェリークがオスカーのものを咥えたまま、いやいやをするように、首を振る。

その動きがまた愛撫になっていることをアンジェリーク自身は気付いているのだろうか・・

「んっ、だって・・オスカー様が悦んでくださると、なんだか嬉しくて・・体が熱くなるの・・」

「ふっ、いやらしいお嬢ちゃんだ・・でもそんなお嬢ちゃんは好きだぜ・・俺も・・・お嬢ちゃんを悦ばせてやりたい・・」

そう言ってオスカーはアンジェリークの秘裂に指を滑らせた。

愛液をたっぷりと指に絡ませ、奥にある花芽を探りあて、指ですりあげた。

その刺激にアンジェリークの背がしなる。

アンジェリークの花芽はもう、固くたちあがってオスカーの来訪を待ちわびていたかのようだった。

片手の指で花芽への愛撫を続け、もう片手で秘唇を押し広げながら徐々に指を差し入れて行く。

アンジェリークの秘裂は自らオスカーの指を飲み込むように蠢き、オスカーの指に襞が幾重にも絡みついてくる。

そのやわやわとした甘い締付けに、オスカーは自分のものを挿入したときを想像して幻惑される。

長い指を収めきり、中で軽くまげて、アンジェリークの乱れる一点を探る。

数え切れないほど体を重ねているから、指はアンジェリークの乱れる場所をしっかり覚えている。もちろん、それは自分のものも同様だが。

その場所を狙って指の抜き指しを繰り返すと、アンジェリークがたまらず声をあげ、オスカーのものを口から離してしまう。

「んっ・・あぁっ・・やっ・・」

「がんばってくれたお嬢ちゃんに俺からもお礼をしないとな・・」

オスカーはすこし上体を起こしてアンジェリークの秘部に顔を近づける、花芽を舌で捕らえ、転がし始めた。

尖らせた舌先で花芽をつつきながら、もちろん、指の抜き差しの速度も緩めない。

アンジェリークはもう、オスカーへの愛撫を続けるどころではなく、オスカーのものを握っているのがやっとだ。

小さな顔をオスカーの下腹部に擦り付けながら、腰だけはたかだかと持ち上げ、淫靡に揺らめかす。

その様はオスカーを誘っているかのようだ。

秘裂からは愛液が溢れだし、腿まで伝わっている。

「あっ・・だめ・・おすか・・さま・も・・・我慢できない・・」

アンジェリークが快楽にしゃくりあげながら、オスカーに訴える。

「お嬢ちゃん、今日はお嬢ちゃんが俺を愛してくれるんだろう?さ、おいで・・」

オスカーの声はビロードのように優しく、しかし抗いがたい強さでアンジェリークを包みこんで捕らえる。

アンジェリークは体を起こして、オスカーの体をまたぐと、オスカーのものに手を添えて、ゆるゆると自分の中に収めて行った。

濡れそぼった秘裂にオスカーのものが滑るように飲み込まれて行く。

「ああぁ・・」

全てを収めきり、全身を満たす圧倒的な充実感にアンジェリークはうっとりとした表情を見せる。

オスカーはアンジェリークの指に自分の指を絡ませて手を握ると、優しく、しかし、はっきり言った。

「さあ、お嬢ちゃん、自分がよくなるところを探して、動いてみるんだ」

「んんっ・・」

アンジェリークは自分の腰を円を描くように動かし始めた。

徐々に腰を上下させていき、自分の秘唇をオスカーに擦り付けるようにする。

アンジェリークが腰を上げ下げするたびに、じゅぷじゅぷと水音が響く。

アンジェリークの腰の動きが徐々に早まってくる。

どうやら、自分の乱れる部分にオスカーのものをこすり付けるこつがわかってきたらしい。

「んっ・・ああっ・・あっ・・おすか・・さまっ・・」

アンジェリークの全身が欲情に薄紅に染まって行く。

腰の動きにあわせ、乳房が重たげに揺れる。

自分で自分を高め、情欲に身を委ねるアンジェリークの姿は、喩え様もなく淫らで美しいとオスカーは思う。

しかし、自分で自分を頂上に押し上げるにはまだためらいがあるのか、アンジェリークはもどかしげに、首を振っている。

その様子を見ていたオスカーは、自らの筋力で上体を起こすと、アンジェリークを抱きしめた。

「上出来だ、お嬢ちゃん、あとは俺がイかせてやるからな・・」

そしてアンジェリークを抱いたまま、下から激しく突き上げはじめた。唇は乳首を強く吸い上げる。

自分で動くのとは段違いの力強い突き上げに、高みにたどりつけずにたゆたっていた体は、即座に反応して駆け上っていく。

「くっ・・・あぁっ・・」

アンジェリークはオスカーの体をきつく抱きしめ、感極まって叫ぶ。

「オスカーさまっ・・好きなのっ・・大好き・・愛してるの・・」

あとの言葉は歓喜のすすり泣きに飲みこまれてしまう。

アンジェリークの言葉にオスカーは目のくらむような陶酔を覚える。

「ああ、俺も・・愛している・・誰よりも何よりも・・・」

オスカーの声も快楽にかすれている。

アンジェリークが小さな舌を差出て口付けを求めてきた。突き上げは緩めず、そのかわいい舌を貪る。

「んんっ・・ん・・んあっ」

突き上げに耐えきれず、アンジェリークは自ら求めた唇を離してしまう。

オスカーが耳元で囁く。

「イク・・か?」

アンジェリークが眦に涙をためながら首を振る。

「やっ・・オスカー様といっしょがい・・の・・オスカーさまが・・ほし・・い」

いきも絶え絶えに、しかしきっぱりアンジェリークは言い張った。

「・・わかった・・いっしょにいこうな、お嬢ちゃん」

オスカーはアンジェリークを抱いたまま一度ベッドに倒れこむと、体をくるりと反転させ、今度はアンジェリークを組み敷いた。

アンジェリークの細い足首を掴み、自分の肩に担ぐと、アンジェリークの最奥めがけて一気に刺し貫き、そのまま激しく腰を打ちつけた。

「あああっ」

体の中を大きな波がうねり、はじける。そのうねりがどんどん大きくなって、体から迸ろうとしている。

「あぁっ・・もう・・もう・・来て・・おすか・・さまっ・・あっ・・ああああぁっ」

アンジェリークがこらえきれずに上り詰め、秘裂が激しく収縮した。

オスカーもその締付けを感じて、アンジェリークの最奥に己の欲望を解き放った。

体の中心に染み渡っていくオスカーの命の発露を感じて、アンジェリークは体の奥がぽぉっと暖かくなっていくように感じていた。



オスカーはアンジェリークの肩を抱いてベッドに横たわり、アンジェリークが積極的に自分を求めたさまを反芻していた。

アンジェリークは情事の疲れからか、うつらうつらしているようだ。

オスカーは、いつもは恥ずかしがり屋の彼女が自分を率直に求めてくれたことに、今までになく満たされた思いを感じていた。

でも、なぜ、彼女が今日はあんなに積極的だったのだろうと考えて、ふと、思いあたるふしに気付いた。

自分は本来宇宙の女王になるべき彼女を手折ったのだと、我知らず罪悪感のようなものを覚えていたのか。

彼女がいるべきは、自分の隣などではなかったのではないかという不安に無意識に苛まれていたのか。

いつも彼女を快楽の海に投げこみ、無理やりにでも自分を求める声をあげさせずにはいられなかった。

快楽の果てに自分を求める声でも、それは自分の思いが一方通行でないと思わせてくれるものだったから。

そして、そうするだけの力が自分にはあった。

だから、気付かなかった。

自分もまた、彼女に選ばれた身なのだと。

宇宙も、自分が属していた世界も捨てて、彼女もまた自分を選んでくれていたのだと。

今日、アンジェリークが全身で、自分を欲しいと言ってくれなかったら、まだ気付いていなかったかもしれない。

「俺はとんでもなく傲慢な男だったな・・」

心のどこかで、自分が彼女を選んだのだと思っていた。

だから、彼女を繋ぎ止めるために、自分の体を楔に彼女を快楽で縛りつけようとしていたのかもしれない。

「ん・・おすか・・さま・・」

アンジェリークがぬくもりを求めて、無意識に自分にしがみついてきた。

心のそこから愛しさが溢れてくる。

オスカーはアンジェリークの体を柔らかく、しかししっかりと抱くと、その金の髪に自分の顔を埋めた。

『ありがとう、こんな俺を選んでくれて、俺を愛してくれて・・』

これからも君は俺が予想もしなかったような、しなやかな強さを俺に見せてくれるのだろう。

そして、今まで生きてきた中で、今年は最高の誕生日だったと、オスカーは心から思った。




オスアンなら誰でも一度は書くのではないかと思う、オスカー様お誕生日創作。当然、初出はオスカー様の誕生日にあわせてUPしていただきました(笑)
この話から、オスアンあまあまがシリーズ化していった記念碑的作品です。


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