まえがきーお話を読んでいただく前にー

今回のお話は、合歓さまという方がお書きになった「永遠の意味シリーズ」というジュリアス・リモージュの一連の創作を、バックグラウンドとして、その背景と設定をお借りして、書かせていただいたものです。

そして、私が、ありえたかもしれないもう一つのエンディング、と言う形で書かせていただいたものが今回のお話です。
おおまかな、ほんとうにおおまかなあらすじを申し上げますと

『女王候補アンジェリークは、ジュリアスへの思慕の情断ちがたく思いを打ち明ける。
 自分も同じくアンジェリークを愛していたジュリアスは、女王の裁可を仰いだ上で、アンジェリークを妻として娶る。
 アンジェリークは、女王補佐官として慣れない執務に懸命に勤しみ、
 また、貴族の当主の妻としての、自分のそれとは異なる家庭環境に馴染もうと努力する。
 ジュリアスはジュリアスで、首座の守護聖として、新宇宙への移動に伴っておきた諸々の問題を解決すべく、今まで以上の激務を己に課す。
 しかし、その激務はジュリアスのサクリアを急速に衰えさせてしまった。アンジェリークとの結婚後わずか一年あまりのことである。
 ジュリアスの退任に伴い補佐官職を辞し、ジュリアスに付いて行くことを当然と考えていたアンジェリークにジュリアスが望んだことは聖地への残留であった。
 その言葉に衝撃を受け、愛を確かめ合ったとき、誓ってくれた永遠は嘘だったのかと、泣いてジュリアスを責めるアンジェリーク。 
 しかし、ジュリアスはどんなにアンジェリークが泣いても、その言葉を翻さなかった。もちろん、彼とて葛藤はあった。
 だが、新宇宙はまだまだ安定には程遠く、女王として経験浅いロザリアにはまだ、補佐が必要だ。
 しかも自分たちの結婚は、ロザリアが女王職を引きうけてくれなければ実現しなかった。
 自分たちの幸せのためにこれ以上ロザリアにだけ責務を押し付けることは出来ないと考えるジュリアス。
 そのうえ、やはり宇宙の移動に伴う激務でルヴァのサクリアも急速に衰えを見せ、ジュリアスとほぼ同時期の退任が明らかになる。
 年長の守護聖二人同時の退任に、ますます女王から補佐官を取り上げるわけにはいかなくなったと思うジュリアス。
 ロザリアを一人残して行くことはできないと、アンジェリークもジュリアスの提言を納得して受け入れる。
 しかし、理性では理解しても、ジュリアスとの別れに怯え、日に日にやつれて行くアンジェリーク。
 そんなアンジェリークにジュリアスはせっかく培い身に付けてきた物を一時の感情で無駄にしてはいけないと諭す。
 そして、ジュリアスの送ったサクリアに満ちたエリューシオンで二人は互いを思う気持ちと絆を確かめ合う。
 ロザリアのとりなしで執務のない休日には主星に降りて、たまさかの逢瀬を約束し、ジュリアスは聖地を離れる。
 しかし、やはり二人の間を流れる時間の差はいかんともしがたかった。
 アンジェリークにとっては数週間ぶりの逢瀬でも、下界ではその間に何年もの時が過ぎて行く。
 自分の知らない生活を送っているジュリアスに戸惑いと苛立ちが隠せないアンジェリーク。
 しかも、その間主星でディアと再開したルヴァにより、補佐官となった女性がその身中に女王のサクリアを内在させたまま
 放出するすべを持たないがために、退任後も一人時の流れに取り残されて生きていかねばならない宿命を背負うことが判明する。
 ただ、この事実が判明したことにより次代の補佐官は自分のサクリアを女王に委託して放出させることが出来るようにはなる。
 しかし、アンジェリークに関しては、ジュリアス亡き後も、永い永い時間を生き続けなくてはならない。
 そのことに動揺が隠せないアンジェリーク。いくらジュリアスが愛を誓っても、その肌を重ねても彼女の心は不安定に揺れる。
 そして逢瀬の度に、ジュリアスに流れる時間の早さを思い知り、アンジェリークがある覚悟をした矢先
 ジュリアスの速すぎる死が聖地に伝えられる。
 長かったロザリアの治世が終わり、補佐官の任が解けたアンジェリークは、ジュリアスの墓所のそばに居を構え、
 ジュリアスの菩提を弔う静かな日々を過ごして行く。
 その間多くの守護聖が退任し、相次いで鬼籍に入っていく。アンジェリークはそれをただ静かに見守り続ける。
 ある日、ようやく守護聖を退任したオスカーがアンジェリークの元を訪ねにやってくる。
 彼は生前のジュリアスに言われた言葉が気にかかり、アンジェリークが幸せなのかどうか確かめに来たのだ。
 しかし、アンジェリークは誰にも邪魔されず、ジュリアスのことだけを考えて過ごせる日々を幸せだと言う。
 アンジェリークは心の中でおもう。ジュリアスに永遠を誓ってもいい今は、自分にとって至福なのだと。
 そんなアンジェリークの姿を見てオスカーは一人去って行く。』

というものです。
で、私は最後に訪ねてきたオスカー様の手をとって、アンジェリークに第二の人生を送って欲しかった、と思いまして
原作者の合歓様の許可をいただきまして書かせていただいたのが、この話しです。
作中にある、あからさまに行と文字の色が変わっている部分は、合歓様がお書きになった原作部分の引用です。
ちなみに、合歓様のお作りになったオリジナルキャラクターの名前が、時たま出てまいりますので注を付けさせていただきます

アレクシス  : ジュリアスの家系に連なる新闇の守護聖。
         聖地に召還される前に、アンジェリークは彼に聖地や守護聖のことをいろいろレクチャーした。

ヘンドリック : 前女王から三代の女王に仕え、聖地において公務を実質的に取りしきっていた文官の長。
         いうなれば、官僚のトップ。オスカーとほぼ同時期に退任。ジュリアスの肖像画を宝物庫でみつけ、
         アンジェリークに渡してくれるよう、オスカーに言付ける。

マイヨール画伯: 守護聖の肖像画を執筆を依頼されていた画家。
         アンジェリークとジュリアスは主星で旅行した際この画伯に出会い、各々一枚づつ海の絵を購入する
         ジュリアスとの時間のずれに悩んでいたアンジェリークは、自分の身分を隠したまま
         この画伯から、いろいろとアドヴァイスをうける。

私の拙い紹介文では、この原作のすばらしさは、とてもお伝えできないので、是非、原作をお読みいただきたい処なのですが、合歓さまがアンジェ創作から撤退なさったため、この紹介文のみで申し訳ないのですが、どうぞ、ご寛恕くださいませ。

最後に、オリジナル作品の掲載、および、その世界観と設定を拝借したうえでの創作と、
その創作をこちらにも掲載することを快諾してくださった合歓様に、こころよりお礼申し上げます。       
                                                 
筆者 拝


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