予兆

なぜ、気付かなかったのか…

なぜ、名前すら尋ねなかったのか…

わかっている。

自分が見た…見たと思ったものに気を取られていたからだ。

あの幻影は何だったのか…

快活に屈託なく笑う目の前の少女が、今しがた見た幻影とどうしても重ならない。

彼女の周りで乱舞していた草の種が、白金色に輝く翼のように見えただけか?

眩い陽の光がハレーションとなって、この少女に、現し世の存在とは思えぬほどの近寄り難い崇高さを与えていただけなのか?

俺は白昼夢を見ていたのだろうか、あれは単なる目の錯覚なのか…

だが、俺の中の何かがあの幻影は、確かにこの少女だ、この少女の本質そのものだと語りかけてくる。

一体、この少女は何者なんだ…?

そう考えた時点で、気付くべきだった。答えは明白だったのに。

なのに、考えが及ばなかった。可能性すら思い付きもしなかった。

わざわざ

「君は聖地の住人には見えないが…」

と、遠まわしにこの少女が何者かを尋ねていながらだ。

年頃から言って聖地の職員ではありえない。外界との時間差がある聖地に学齢期の子供を連れてくる親はまずいないから、職員の家族ということも考えられない。

そこまでわかっていながら、どうして気付かなかったのか…

それとも…俺は内心、気付きたくないと思っていたのだろうか…俺の中の何かが、はっきりと彼女が何者であるか告げていたにも拘らず、俺は敢えてその声に耳を塞いでいたのだろうか?

いや、単にはじけるような笑顔のまぶしさに目がくらんで…そう、有体に言って俺は見惚れていたのかもしれん、あまりに晴れやかにまっすぐに俺に向けられるその笑顔に…こんな年頃の少女を目の当たりにする機会などついぞないから、ものめずらしく、面白くて、つい見つめ続けてしまったんだ。くるくる変わる表情も、どこまでも無邪気な笑顔も。俺の含みをもたせた問いかけにも、額面通りのまっすぐな返答しか返さない…いや、返せないその幼なすぎるほどの反応さえもが、俺には新鮮で見飽きることがなかった。彼女の幼さは、先刻目にした幻影のイメージと全く重ならない。なのに全体の雰囲気は似ていると思わせる。ふとした表情に、はっとさせられる。その全てが俺に彼女から目を離させてくれず、飽く事なく彼女の反応を見入ってしまった。それで俺は思考停止に陥ってしまっていたのだろう。そうに決まっている…

だからこそ、俺はあれほどの衝撃を受けたのではなかったか、彼女の名前を耳にし、彼女の素性に漸く気付いた時に。

俺は彼女の気が逸れた隙に、黙ってその場を立ち去った。

迷子の雛鳥を巣に送り返しただけのことだ。わざわざ名乗りを上げるようなことではない。そう思ってもらいたかった。

できれば、俺の印象も大して残っていないことを望みたいが…そう、この次、出会っても然とはわからぬ程に…しかし、これは望みすぎというものだろう。それを望むには、いささか係わりを持ちすぎた。俺の察しが悪かったせいだ。全く我ながら呆れ返る勘の鈍さだ。

いや、もしかしたら、勘が鈍いという以上に…俺は、自ら望んで進んで彼女と係わりを持ちたい、そんな気持ちがあったのかもしれない…

彼女のどこまでも透き通った煌めくような笑みを間近で見ていたくて…なるべく長く見ていたくて、殊更ゆったりと俺は歩を進めていたのだろうか。

口で指摘すればいいだけなのに、彼女の髪についた草の種をわざわざ手づから取ってやったのも、自分がそうしたかったからだろうか。

その短慮を俺は自分で贖わねばならない、そう心に決めた。

 

翌日、避けては通れないその瞬間がやってきた。

謁見の間で、彼女がすぐ俺に気付いたらしいことは、その表情から明らかだった。

私服の俺しか見ていない彼女は、守護聖として佇む俺を見てもそうとはわからないかもしれん…などという考えは甘きに過ぎた。

忘れてくれていてよかったんだが…それは難しいだろうことは予測していた。

せめて、俺に気付いてもあれほどあからさまに態度に表さないでいくれたらよかったんだがな。

俺が君を見て顔色を変えもしなければ、敢えて目線も合わせなかったその意味を考えるなどという思慮深さは今の君にはなさそうだ。

そして感情はストレートに顔に出る。

昨日伴にいた時間も僅かなものでしかなかったが、その時と今の様子からだけでも、君がどこから見てもまだ雛鳥だということは容易に推測された。

俺は、仕方がないなという諦念とともに、改めてあることを心に言い聞かせた。

そう、自分の演じるべき役割というヤツをだ。

それは同僚を煙に巻くのより、恐らくは容易だろう。

彼女は俺のことを…俺という人間をよくは知らない。知らないはずだ。だから行為自体は容易いはずだった。

 

予想通りだった。

彼女は…恐らくは真っ先に俺の元に来た。もちろん、礼を言いにだった。

俺は彼女がどう振舞うかおおよその見当がついていた。

あの僅かな時間でも、数少ないやり取りからでも、彼女の人となりはそれ相応にわかっていたからだ。

ノック音と、それに続く彼女の声を耳にした時、俺の胸中に去来したものは何だろう?

自分の予測が当ったことに喜びを感じてしまったことは否定しない…だが、それ以上に懸念の想いが強かったと思う。

だから、俺は彼女が用件を切り出す前に、実のないギャラントリーを駆使した。

君のためなら喜んで時間を作るさと言っておきながら、彼女が昨日のことを持ち出す前にこちらから別の話題を振ったんだ。

『女王候補ってヤツはどうだい?』

とな…。

俺は、彼女が自分の立場をどう考えているのか、聞いてみたかったんだろう。

その答えは、ある意味俺の予想を全く裏切ってくれた。

彼女は俺の問いには答えず、自分への呼称に拘泥したからだ。

彼女のことを「お嬢ちゃん」と呼びかけた俺を『自分の名前がわからないのだろう』と解して名を告げるのはわかる。だが、その上で愛称で呼んでくれと言ってきた彼女の意図を俺は図りかねた。

「愛称で呼ばせてくれるのは俺だけか」と俺は彼女の出方を探った。

愛称での呼びかけを求める、一応は顔見知りと思っている俺だけに対してなら、まだ、理解の範疇だったろう。だが、これはこれで、その警戒心のなさを危うく思っただろうことも確かだ。一度出会って、たまたま道案内しただけの人間に示すには、この親愛の情はいささか踏み込みすぎだ。一度会っただけの人間を『お友達』と認定する心理は、幼稚園児のそれと同様だ。俺を素性を知って…少なくとも怪しい者ではないと…親近感を抱いてしまったのかもしれないことを差し引いてもだ…

だが、彼女は言い切った。出会う人間全てにこの親愛の情を示し、同じほどの友愛を求めていると。全く何の他意も底意もなしにだ…と、知った時、俺の懸念は一層深まり、ある決意は更に固まったと言っていい。

同時に、俺には彼女の恵まれた生育環境が透けて見えた。

何の恐れも警戒もなしに、他者の懐にまっすぐ飛びこんでいこうとするのは、他者の寛容と愛情を疑うことがないからだ。恐らくは、出会った人間全てと親交を深めたいと心から願い、その願いを拒まれたり、ましてや無防備な自分が傷つけられる可能性があることなど全く思いもよらないのだ…そんな場面に遭遇したことが一度たりともないからだろう。

彼女が、いかに暖かく柔らかな愛情と善意だけに包まれ育まれてきたのかよくわかる。

俺が『守護聖』でなければ、そして彼女が『女王候補』でなければ、俺は、率直に彼女のこの稀有なまでの素直さ健やかさを、単純に無責任に賛嘆できたのかもしれん…愛されるべきいたいけな少女の様相という観点から見れば、恐らく彼女は文句なしの逸品だろうから。

だが彼女は『女王候補』で俺は『守護聖』だ。

だからこそ、俺たちは出会ったのだ。

その意味を、その立場の意味する処を、俺は彼女に考えてもらわねばならない。

彼女は俺のいささか野卑に崩した態度に戸惑っていた。

女王陛下の御前と、そうでない時とで、俺はいくつもの顔を持っていることをこれ見よがしに匂わす。

昨日のことに言及する彼女の言葉を俺は故意に取り違え、昨日出会った事実すら、なかったことにする。記憶に残るような重大事ではないから覚えていない風を装って。

彼女は、ショックというよりも、俺に対してあからさまな不審を見せた。俺がとぼけていることを察したのかもしれん。もっともその理由までは、今の彼女には恐らくわからないだろう。

それなら…と俺は、俺がなぜ、わざとらしいまでに素知らぬ振りをしているのか、その理由を考えさせるためのヒントを与えてみようかと考えた。

まず『すると、だ…あの時からずっと俺のことが忘れられずにその胸を焦がしていたのか、お嬢ちゃんは』と愚にもつかない言いがかりをつけた。もちろん、彼女に『自分から』そういう感情を否定させるための牽制だ。この言いがかりに反論する余裕を与えないために、露骨なまでのプレッシャーをかけながら、くどい程に『お嬢ちゃん』という呼称を繰り返した。

その上で、ダメ押しのように、念を押して言い聞かせた。

『お嬢ちゃんはまだ子供だ…』

と。

殊更に、彼女の幼さを強調し、思い知らせた。

なぜ、自分がこんなに子供扱いされてしまうか、その理由を彼女は考えるだろうか、考える切っ掛けにしてくれればいいが…と思いながら。

今の彼女は、聖地に召還された女王候補が、既に守護聖の1人と知己である…その程度如何に拘らずだ…と周囲に思われる意味に気付いていないのだろう。

試験の始まる前に、試験を受ける生徒といわば試験官が顔見知りであるという事実から生まれる憶測の怖さも知らないのだろう。

そう、守護聖は、女王候補の協力者であり指導者であると同時に、その資質を厳しく見極めねばならない試験官でもあるのだ。

なのに、受験生と試験官が顔見知りだと思われたら…俺が、いくら公平な評価を下しても周囲がそう思うとは限らない。

たとえ彼女が実力で試験で成果をあげたとしても、俺の情実だと思われて、正当に評価してもらえなくなる危険に…自分が不利になってしまうことに気付いてもらいたい。

そして、俺に対して、無意識に甘えた気持ちをもたれても困る。

これから実際に試験が始まれば…何せ相手は生きた大陸だ、何が起きるかは実際にやってみなければわからない…何かの困難にぶつかったり、1人で答えを見つけなくてはならない時が必ずある。その時無意識に俺に頼ったり甘えたりする気持ちが生じてはまずい。

彼女は『女王候補』なのだから。自ら考え、決断することを覚えていかなくてはならない。女王は、自らの見識と決然たる意思で判断を下し、この世界を守り導いていかねばならない。守護聖は女王に仕え、支えになり守ることはできる。守護聖からアドバイスを受け、頼りにし、頼みにするのもいい。だが、結局のところ、女王は自分の考えで、自分で決断を下さねばならないのだから。

そのためにも俺は、彼女には己の未熟さ、考えの至らなさをまずは自分自身で悟ってもらわねばならなかった。至らぬ部分を自覚なしに矯めることなど不可能だから、俺は繰り返し、彼女を『お嬢ちゃん』と呼び、彼女を殊更子供扱いした。『子ども扱いされてるみたい』と彼女は言ったが「みたい」じゃない、思い切り子ども扱いしたのだ。

俺は、ここまでやってから、今までの言動を全て「おふざけ」といなしてから、わかりきっている彼女の用件を改めて尋ねた。

彼女がもう何も言えない、言い出せまいと確信したところで、漸く用件を聞いたから彼女が何も言わないで出て行くのは予想済みだった。

彼女は、俺を無礼で失敬な、そして訳のわからない男と認識したようだ。そう、それでいい。俺と個人的に係わりを持ったことなど、これでおくびにも出さなくなるだろうし、昨日の記憶も意識的に抹消するだろう。

これで彼女の試験結果は公平に評価される。俺に無意識に甘えたり頼ろうとする心理が生じる心配もこれでなくなっただろう。

俺は、『俺に1人前だと認めさせてみせる』という彼女の頼もしい宣言を耳に、彼女が聖殿の外に出て行く姿を見送った。

そう、それでいい。『1人前になる』ための具体的な方策など、今の彼女には五里夢中だろうが、まずは自覚を持たないことには何も始まらないからな。

その時、俺の胸に思ってもみなかった一種の寂寥感が沸き起こった。

ふと、ありえない仮定を頭に思い描いてしまったからだろうか。

俺が『守護聖』でなければ、彼女が『女王候補』でなければ、俺は彼女から昨日の礼をきちんと聞き、当然のことをしたまでだが、その気持ちは嬉しいと、彼女の態度を快く感じていることを彼女に示せたことだろう。このよくある単なる偶然の出会いを『運命』として演出し、更なる親交を深めすらしたかもしれん。

僅かでも世話になったと思う人物にきちんと礼を尽くす、それは人として賞賛されるべき資質だし、彼女の精神の健やかさ、素直で綺麗な心を感じさせてくれる。そんな見ているだけで心が洗われるような少女と親交を持つことを躊躇う理由はない。無論、ラブアフェアの相手としては幼すぎるから…かわいいペットや無邪気な子供の仕草を見ていると心が和み安らぐ、そんな気持ちで、この少女を見守っていきたいと俺は考えたかもしれない。

そう、成長を促す必要がなければ、わざわざ彼女に、彼女の幼さを指摘し痛感させる必要などない。ただの少女なら幼いままであればいい。無邪気で純粋で無垢…それに無自覚のまま周囲の大人たちに、その価値を愛でられていればいい。

だが俺は『守護聖』で彼女は『女王候補』なのだ。

俺は情実を交えず彼女の資質をみきわねめばならないし、彼女は顔見知りの存在に甘えたり頼ったりすることなにし、自分の才を周囲に知らしめねばならない。そして、その実力は正当に公平に評価されなければならない。

何の邪心も他意もなく、出会っただけの他者にも恐れ気なく自ら近づこうとするその精神が、宇宙の生命全てにあまねく愛を注ぎ、その翼で包みこむ限りない慈愛の萌芽でないとは言い切れないのだ。

だからこそ、俺はその本質をゆがめることなしに、いわば原石である彼女の資質を研磨せねばならない。至らぬ部分に気付かせ、目を開かせてやり、成長を促さねばならない。それは守護聖として、女王候補になすべき当然のことだ。

そう彼女が自ら宣言したように、彼女には『1人前』に成長してもらわねばならないのだ。

女王候補が扱いを任されるのは、とても危険な力なのだから。

彼女は、恐らくわかっていない。

女王ではない、まだ『女王候補』でしかない存在が世界に影響するサクリアを自在に操る権限を与えられたというその意味を。

俺たち守護聖の力…神のごとく崇められているサクリアは、生命を育むに欠かせないものでありながら、使い方を誤れば恐ろしい破滅の力になり…それは、人に限らず多数の生命を奪う危険があることを。

そんな扱いの難しい力を…現実の生命を左右する力を、いくら女王の資質を持つとはいえ、全くのど素人にいきなり扱わせる意味の重さを。

そして、それは…俺には一つの可能性を指し示しているような気がしてならない。

未熟な女王候補が、生命という取り返しのつかないものをその手で扱う意味は何だ?

一歩間違えれば、多数の命が滅してしまうかもしれない、そんな危うい実験を、女王を選出するためとはいえ現実に生きている命に対して行っていいものなのか?

なぜ、こんな危ういことを試験の段階でせねばならないのか、女王候補の失敗も覚悟の上で…

そうせざるを得ない…他に選択の余地がないからではないのか?

そう…誰も何も言わない、公式な発表もない。

だが、女王候補の段階でサクリアの扱い方を実施で覚えさせ、その影響力、もたらす結果を体得させねばならないというこの試験のあり方は、実践しながらサクリアの扱い方を覚えろということだ。これはいわば、新兵が実弾や真剣を持っていきなり実戦配備されるようなものだ。実戦経験がそのまま訓練になるということだ。

この意味するところは…女王候補は即戦力であらねばならない、ということに他ならない。

女王に即位した後、悠長にサクリアの束ね方を体得するような暇はないのだ。2人の女王候補のうち、どちらかが女王に就任してから、サクリアの扱い、サクリアが実世界に及ぼす影響や結果を習得していく余裕はないのだ…恐らく。

今度の女王試験のあり方全てが、一つの隠しようのない現実を俺に示唆するのだ。

時間がないのだと…。

宇宙は、恐らく今すぐにでも、強大なサクリアを一つに束ね、操り、紡いで、あまねく満たす存在を欲しているのだと…

………

俺は昨日の出会いに再び想いを馳せた。

…俺たちは『守護聖』と『女王候補』だからこそ出会えた。

だから、俺は『守護聖』として『女王候補』の彼女に接しなくてはならない。

彼女が現実には17歳の少女であっても、俺は単なる少女に接するようには…先日そうしたようには…もう彼女に接してやれない。接してはいけないのだ。たとえ、そうしたいという気持ちがあったとしても…だ。単なる少女が聖地に来るわけがないのだから、ただの男として単なる少女の彼女と出会い、接する、そんな仮定自体が無意味だ。

だから、あの時の俺の態度は…忘れてもらわねばならないのだ。

あの時だけの気の迷い、気まぐれの優しさだったのだと、そんな風に思ってもらわねばならないのだ。もう、2度と、あんな風に、心の赴くまま望むままに接することはできないのだから…

俺と彼女は、どこまで行こうと『守護聖』と『女王候補』、もしくは将来…『守護聖』と『女王』なのだから。

俺は、今はもう、彼女の白金色に輝いていた美しい翼を単なる目の錯覚だとは思っていない。

あれは…恐らく、彼女の発する未成熟な女王のサクリアの発露か具現化だったのだろう、それに、俺のサクリアが反応して、目に見えぬはずの彼女のサクリア・資質が実体化したように見えた…そうに違いない。

だから、俺は彼女に今まで感じたことのない暖かな想い、目の離せない想いを抱いたのだろう。

俺の『守護聖』の部分が彼女の『女王』の資質に敏感に反応しただけなのだ…恐らく…

そう…守護聖は、自ずと女王のサクリアに惹かれ、崇めるものだから…

そうでなければ、あんなに何度も強調せずにはいられなかった…『君はお嬢ちゃんだ』と噛んで含めるように言い聞かせねばならなかった…それほど幼いと感じた彼女に感じるこの想いの説明がつかない。あの白金色の翼の輝きの予感に…俺の守護聖の部分が焦がれ捉われてしまった…それだけだ。

だから、彼女の女王の資質が磨かれ、輝き出せば、この暖かな気持ちは女王への守護聖としての敬愛と忠節に自然と成り代わることだろう。

それを証明するためにも、1日も早く俺に君の真の輝きを見せてほしい…

単なる少女である彼女と出会っていたら…俺は彼女に優しく接し、思い切り無責任にかわいがり…そして、それだけで終わったかもしれないのだ。

それを思えば、より深く根源的な部分で、恐らくは長い時間、一個の人間として彼女の成長を促し見守れる今の俺の立場は充実していて…幸せなことといえよう。

俺はそんなことを思いながら自室の窓から彼女の背中を見送った。その姿が見えなくなるまで。


このオスカー1人称モノは、創作とはいえません。
単に、アンジェOVA上巻のオスカーの言動を、私なり解釈を施したものです。
オスカーはこんなことを考えて、こういう態度に出ていたのではないかという、OVAのオスカーの行為への解釈を述べただけのものです。
だから「オスカーはこんなこと考えていたとは思えない」という方もいらっしゃると思うのです。そして、それはまったく全然Okなのです。
私が、書いたオスカーの独白は私の目からみた「オスカー」であって、オスカーの解釈の仕方はOVAを見た方の数だけあると思ってます。
なので、この文章は、まったくの私見垂れ流しなのですが、私はOVAオスカーの行動を、こう解してみたのーというのを形にしてみたかったのです。
この文章を読んでくださった方が「私はこんな風に思った」って萌え語りが広がってくれたらいいなーと思ってます

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