光輝の虜囚 4                                                

アンジェリークの指がクラヴィスの黒髪に埋められる。アンジェリークの唇がクラヴィスの唇を吸う。

アンジェリークが自分を求めるその仕草に、クラヴィスは一瞬、性急な愛撫を与えそうになる。

しかし、クラヴィスははやりそうになる自分を押さえ、アンジェリークをいかに悦ばせるかに集中しようとする。

先ほど関係を無理強いしたときは、アンジェリークを踏みにじりたいような衝動に駆られ、

全てにおいて痛みを覚えるほど激しい愛撫で、彼女を翻弄してしまった。

むごいことをしたと思う。せめて今度は優しく、慈しんでやりたい・・・今夜だけの逢瀬ならなおさら・・・

クラヴィスはアンジェリークの耳朶を軽く噛み、耳たぶから首筋、うなじから肩口へとやさしく舌を這わせて行く。

「ああん・・」 

アンジェリークが素直に悦びをあらわす。

手はやわやわと、アンジェリークの豊かな乳房をもみほぐし、先端に触れる触れないかの微妙な愛撫を加える。

先ほどとは打って変わった慈しむような愛撫に、一度情事を終えた後の体は、響くように反応を返す。

「んふぅ・・・ん」

アンジェリークの先端が色味を増し、固くたちあがって行く。

その様を、クラヴィスは目を細めて見つめ、いとおしむ様に唇で軽く挟み込む。

たちあがった先端の輪郭をなぞるように舌を這わせ、頂点を尖らせた舌先でつつく。軽く甘噛みを繰り返し、音を立てて吸い上げる。

「あっ・・あん・・あぁっ・・ん」

執拗なまでの乳房への愛撫に、もはや、アンジェリークの息は乱れ始める。

アンジェリークの手はクラヴィスの黒髪をやさしく梳く。

クラヴィスの長い髪は流れるようにアンジェリークの体のそこここを覆い、その黒と金と白い肌のコントラストは一幅の絵画のようだ。

クラヴィスの手は、なだらかな曲線を描くアンジェリークの腹部をなでさすりながら、徐々に下に伸びて行く。

アンジェリークの体のラインをその手に刻み付けるかのように。

淡い叢は、クラヴィスの大きな手に覆い隠され、さわさわと柔らかくなであげられる。

クラヴィスは長い指をそのまま秘裂にすべらせていく。

そこは、アンジェリークの愛液と、先ほどクラヴィスの放った精がまじりあい、とろとろに溶けているかのようだ。

クラヴィスは、秘裂にそって軽く指を上下させた。なるべく力は加えず、愛液のぬめりを利用して指を滑らせるようにうごかす。 

「ん・・くぅん・・・」

やわらかな愛撫にアンジェリークはつい、甘えるような声をあげてしまう。

自分から、腰をクラヴィスの手に押しつけてしまいそうになる。

アンジェリークの無言の要求を感じ取ったのか、クラヴィスの指が花芽にのばされる。

中指と薬指で花芽を軽くはさみ、円を描くように指の腹でなでまわす。その感触は羽毛のようにソフトだ。

「あふ・・・んん・・・・」

クラヴィスのどこまでも、やさしい、いや、優しすぎるほどの愛撫に、アンジェリークはもどかしささえ感じる。

もっと、さわってほしい、もっと、愛して欲しい、そんな思いがわきあがり、腰がゆらゆらと揺らめく。

クラヴィスはアンジェリークのそんな様子に、唇を体のラインにそって下腹部へ滑らせて行く

指は、花芽へのまどかな愛撫を続けながら、もう片方の手でアンジェリークの足を開かせる

アンジェリークは自分の一番敏感なところに与えられるであろう愛撫に胸を振るわせ、クラヴィスの来訪を待った。

しかし、クラヴィスの舌は、わざと、アンジェリークの花芽をさけ、アンジェリークの内股の部分に這わされていく。

期待した場所に与えられない愛撫は、アンジェリークを焼けつくような欲望に焦がして行く。

「あん・・やん・・クラヴィス・・そこじゃないの・・・」

「ふ・・・どこを、どうしてほしいのだ?・・・」

クラヴィスは、アンジェリークにわざと言わせようとする。

アンジェリークは泣きそうな顔で訴える。

「いや、クラヴィス・・そんな意地悪しないで・・・」

クラヴィスは唇の端に笑みを浮かべると、アンジェリークの望む場所に舌を這わせた。

「ああああっ!」

アンジェリークは渇望した場所に、待ち望んだ愛撫を与えられ、大きく背中をしならせた。

アンジェリークの花芽は尖らせた舌先でつつかれ、転がすように舐めあげられる。

「あっ・・・んくぅ・・んんっ」

ぬめぬめとした舌の感触がアンジェリークを狂わせて行く。

アンジェリークが自分の舌に翻弄されているさまを見て、クラヴィスはさらにアンジェリークを乱したいと思う。

花芽を舌で舐めあげ、ときおり、軽く甘噛みを加えながら、秘裂に指をゆっくりとさし入れる

アンジェリークの秘裂はぴくぴくと蠢きクラヴィスの指を自ら飲み込んでいくかのようだ。

クラヴィスはアンジェリークの内部を探るように指を動かして行く。

指を根元まで飲み込ませてから、秘裂の中で指をくっとまげて、アンジェリークが乱れる一点を探す。

奥の一点に指が触れたとき、アンジェリークの体がびくりと跳ね、秘裂がクラヴィスの指をきゅっと締めつけた。

「ここか・・・」

そのまま、その一点を狙うように、指の抜きさしを繰り返す。

アンジェリークの腰がびくびくとはね、秘裂がクラヴィスの指をさらにしめつける。

クラヴィスの舌は、相変わらず花芽にやわらかな、しかし執拗な愛撫を与えつづけている。

「あああっ・・んん・・・だめ・・そんな・・・クラ・・ヴィス・・・ああぁっ」

「ああ・・我慢しなくていい・・自分をなくしてしまえ・・・」

「いや・・私だけじゃ・・・・・クラヴィス・・・・・・お願い・・・」

「アンジェリーク・・・・」

「来て・・・クラヴィス・・・」

愛しいものが、自分の愛撫に我を忘れ、自分の名を呼び、自分を求める・・・

このことが、こんなにも激しい陶酔をもたらすものなのか・・・

クラヴィスは求められる喜びに幻惑された。そして、求められるまま、アンジェリークの中に猛りきった己を沈めていく。

己を完全に収めきり、無理やり奪ったときとは比べものにならない一体感に陶然とする。

「ああ・・アンジェリーク・・おまえの中はなんと・・なんと甘美なのだ・・・」

クラヴィスはこのまま命が終わっても悔いはないとさえ思った。

このまま溶けて一つに交じり合ってしまいたい・・・・・それほどの喜び、それほどの充実感だった。

「あ・・ふ・・」

アンジェリークが安堵したような吐息を漏らす。

アンジェリークがクラヴィスの背に腕をまわし、クラヴィスを抱く。

クラヴィスもアンジェリークの背に腕を回し、隙間もなく胸と胸を合わせんとばかりに抱きしめる。

アンジェリークの豊かな乳房がクラヴィスの胸の下で形を変える。

そのままクラヴィスはゆっくりと腰を動かし始めた。アンジェリークの腕に力がこもり、クラヴィスの頭を抱えるように抱いた。

「あ・・ん・・んん・・んふ・・」

クラヴィスはアンジェリークの首筋に唇を滑らせながら、腰の動きを徐々に早めて行く。

クラヴィスの腰の動きが速くなるにつれ、アンジェリークの吐息も切なげに苦しげになっていく。

「あっ・・あっ・・・あん・・・・あっ・・・ああぁっ・・」

「ああ・・アンジェリーク、愛している・・・」

思いを込めて、唇を重ねる。指し入れた舌にアンジェリークが応える。思う様、舌を絡めあう

クラヴィスは唇を離すと、アンジェリークの足首を自分の肩に担ぎ上げ、さらに深い結合を目論み、己を最奥に突き入れた。

そのまま、最奥をえぐるように突き上げる。

突然の激しい突き上げに、アンジェリークの性感が一気に高まる。

「くああぁっ・・んん・・・クラヴィス・・クラヴィス・・」

アンジェリークがうわごとのように、クラヴィスの名前を繰り返す。

『私の名を呼んでくれるのか・・アンジェリーク・・・』

自分の名を呼ばれ、クラヴィスは身の内が熱くなるような幸福感を覚える

アンジェリークに応えてやろうと、アンジェリークの乱れる一点を狙い、さらに激しく腰をうちつける。

「んくぅっ・・・あっ・・あっ・・・クラヴィス・・・もう・・あっ・・・やっ・・・」

「アンジェリーク・・おまえの悦びの顔を見せてくれ・・・」

「あ・・・あ・・ああああぁっ!!」

アンジェリークが絶頂に達し、切なげで苦しげで、それでいて安堵したような表情を見せる

秘裂が痙攣をするように、きつく収縮する。

「くっ・・・アンジェリーク・・・」

クラヴィスは目がくらむような至福を感じながら、アンジェリークの最奥に己の欲望を解き放った。

 

『このような満たされた気持ちがあったのだな・・・・』

情事のあとの甘い余韻に浸りながら、クラヴィスはアンジェリークの肩を抱いてベッドに横たわっていた。

肩に頭をちょこんとのせたアンジェリークの体は、柔らかく、暖かく、

その重みはクラヴィスに今まで経験した何よりも生きている実感を、彼に与えてくれた。

しかし、だからこそ、クラヴィスは懸念が消えなかった。

アンジェリークはジュリアスとオスカーの間で、このような安らぎを感じているのだろうか・・・

「アンジェリーク、おまえは本当に・・・」

そこまで言ったとき、クラヴィスの唇に、アンジェリークが指で触れた。

「何も言わないで、クラヴィス。今はお互いのことだけを考えて。」

「アンジェリーク・・」

「そして、明日になったら、また、私は女王、あなたは守護聖、それだけに戻るの」

「・・・ならば、明日の朝までは、私とともにいてくれるか?・・・」

「ええ、あなたのそばにいるわ、クラヴィス・・・」

2人はまたどちらからともなく、唇を重ねた。

聖殿の窓から、少し欠けた一六夜の月が見えた。

『私たちの逢瀬の証人はあの不実な月だけ・・・か』

アンジェリークの唇を味わいながら、クラヴィスは頭の片隅でふと思った。                               FIN


これも、「禁断の果実」のオーナー、マダム・オスカー・あゆみん様に無理を言って書かせてもらった話です。
秘密って必ず、どこかから漏れるもの。
そして、光&炎に2人に対抗するために闇様に登場して頂きました。
私が闇さま好きなのももちろんですが、りん太郎様の「闇様は金髪フェチ」の一言が闇さまを対抗馬にするための決め手になりました。
これ書いた当時は塩沢さんがご存命でいらして、その後の早すぎる別れなんて想像だにしてませんでした。今となっては絶対書けない話です。
この話のテーマはただひとつ。
気持ちの伴わないHより、気持ちの伴ったHのほうが、絶対いいぞ!ということで・・(爆)


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