お嬢ちゃん、君の瞳に俺はどんな風に映っているんだろうな。軽いだけのプレイボーイか?
危険な香りの大人の男か?
頼り甲斐のある兄貴…ってことだけはないだろうな。
俺もそんな立場は望んじゃいない。
お嬢ちゃん、本当は、君もわかっているはずだ。
認めない振りをしているだけなんだ。
俺に惹かれていることを。
だから、俺から逃げようとするんだ。
瞳から押さえようもなく溢れ出してしまう想いを、俺に気付かれてしまうと思っているんだろう?
熱に浮かされたような瞳で俺の姿を追っているくせに、視線が合うと真っ赤になって俯いてしまう。
手を伸ばして捕まえようとすると、可哀想なほどに睫を震わせる。
隠そうとしてもだめだ。一目でわかるさ。
その想いが熱すぎ、深すぎ、激しすぎるから、自分でも持て余してしまってどうしていいかわからないんだろう?
愛を目の前にして怯えるニンフ。
君が恐れているのは、何だ?俺か?違うだろう?
君が恐れているのは、知らない世界をしること。そのことで自分が変わってしまうこと。
一歩を踏み出すことは確かに勇気のいることだろう。
だが、恐れることはない。俺がいる。いつでも、君をみている俺がいるんだ。
新しい世界に君一人で行くんじゃない。俺がいつも一緒にいるんだ。
無理やり君をこの腕に閉じ込めるのは簡単だ。
だが、そんなことをしたら、君はもっと怯えてしまうだろう?
だから…早く気付いてくれ。
俺も君をみていることに。
両手を広げて君がこの胸に飛び込んでくるのを待っていることに。
だが、今は、今しばらくは待っていてもいい。
君の不安が大きいのはそれだけ俺に惹きつけられている証拠だから。
その気持ちに抗えば抗うほどに、無理に押さえた思いはより強く反発する。
閉じこめた思いが押さえられなくなったときに、その分激しい反動で君は俺を強く求めるはずだから。
さあ、だから、俺を見ろ。
どうしようもなく俺をほしいと思うまで。
自然とからだが動き出してしまうまで。
俺はその時を待っている。
その時まで君を見つめ続ける。
瞳に君への想いを熱く燃やしながら。