残せしもの
挿絵 青空給仕様

グラドの侵攻に端を発した戦いは終わった。魔王の魂は再び封印され、その肉体は滅した。

最後の戦いの疲れを癒すため、そして翌日の戦勝報告に備え、戦士たちはロストンの王宮で客人としてもてなされていた。

明日、ロストン王に全ての報告を済ませたら、伴に戦ってきた者たちはそれぞれの故郷に帰る。戦禍に荒れ、魔物たちに蹂躙された祖国を立て直すために。

ルネス王子エフラムも例外ではない。父王を戦で亡くした彼は、この若さで、王として荒れ果てたルネスを建て直していかねばならない。

だが、今、彼は、祖国の先行きと同じほどに、その身の振り方が気にかかる少女がいた。

「ルネスに来ないか」

その返答を、彼はまだ少女からもらっていない。彼女の意を確かめたい。

いや、それは口実だ…

エフラムは独り言ちた。

理屈ではなく感情が、今、彼女の傍にいてやらずにどうするのだと告げていた。

闇の樹海での戦いの後、誰にも何もいわずに全て独りで耐えようとしていた彼女。エイリークには養父に会えたといい『無事に帰ってきなさい』と言ってもらったと告げていた…確かに彼女は養父の竜に会いはした、魔王に精神を食い荒らされおぞましき屍竜と成り果てた養父に…。一度魔に取り込まれた者の魂を解放するには、肉体の抹消を以ってする他はなく、彼女は自らその屍竜に止めを刺した。俺は、その全てが終わるまで、何も気付いてやれなかった。なのに、彼女は、皆、もっと辛い思いをしているからと言って独りで涙を堪えようとしていた。その哀しみも、その優しさ、健気さも知るのは、恐らく俺だけなのだから…。

エフラムは、目当ての部屋の前に立つと迷わずその扉をノックした。

「はい、どなたでしょう?」

間をおかず扉は開かれた。小柄で幼い顔立ちの少女が立っていた。その背には、小さな皮膜様の翼がある。

「エフラム…どうしたのですか?もう、夜も遅いです、人は眠る時間だと思います」

「ああ…だが、話したいことがある。入ってもいいか?」

「はい」

エフラムは迷いのない足取りで、その少女…ミルラの部屋に入るや、ミルラに真正面から向きあった。そして、その身をかがませて小さなミルラに視線を合わせると、単刀直入にこう切り出した。

「ミルラ…俺は明日ルネスに戻る…おまえも一緒に来い。おまえの返事を待つつもりだったが…おまえを1人で闇の樹海に帰すなど、やはり俺には考えられん」

ミルラは一瞬目を見張り、だが、すぐ瞳を伏せてしまった。

「エフラム、嬉しいです…でも、私は行けません。考えてみたけど、やっぱり行けません」

「何故だ?おまえは俺の妹なんだろう?なのに、何故俺と一緒にルネスにこない?闇の樹海に帰ったら…おまえは…あの森で一人になってしまうじゃないか…あの、瘴気渦巻く魔の森におまえを一人置くなど俺には…」

「だからです、エフラム。私は一人…この大陸にたった一人の竜です。おとうさんがやっていたように、今度は私が闇の樹海に生じる魔物を滅さなければなりません。さもないと魔物がどんどん増えてしまいます…人里にも降りていってしまうかもしれません。だから、私はエフラムとは行けません…」

「ミルラ…」

「エフラムが私の事を心配してくれて嬉しいです。だから、私、頑張れます…エフラムの大事なルネスに魔物が行ったりすることのないよう、私は闇の樹海で頑張りますから…だから、ルネスには行きません」

「おまえは…」

ミルラの静かな決意を知り、エフラムはそれ以上かける言葉を失った。

俺たちの…俺の国を脅かすものが来ないよう、おまえは闇の樹海に留まるというのか…人には想像もつかない長き時をたった1人で生きていく覚悟で…。

だが、それがわかってしまっては、俺にはおまえの決意を翻意させる術がない…エフラムは途方にくれた。

俺が守っていかねばならない愛する祖国ルネス、その、俺の大事な物のために、為すべき事を為すと静かに語るおまえの純粋な想いを前にしては、俺は…おまえを強引に連れてはいけない。それは…おまえの思いを無にすること…単なる俺のエゴでしかない。それに…おまえより遥かに早くに死んでしまう俺…その俺が、おまえを一時祖国に連れ帰っても…俺が死んだ後のことを思えば、おまえに、より哀しく居心地悪い思いをさせるだけかもしれん…。

「わかった…ミルラ、おまえの気持ちは…おまえが、ルネスのため…人間のためを思い下してくれた決断だ、俺も疎かにはできん」

「はい、エフラム…ルネスはエフラムの大切な国…だから、ルネスを私の力で魔物から守れると思うと、私は嬉しいです」

「そうか…ミルラ、礼を言う…」

エフラムは何ともいえぬもどかしさに苛まれる。だが、礼を言う以外にできることがない。

「それで、おまえは明日にでも闇の樹海に帰って…しまうのか?」

「はい、ポカラの里まではサレフが一緒に来てくれると思うので、心配ないです…」

「そうか…なら…せめて、今夜はこのまま俺と一緒に休まないか?…おまえは…以前、俺に一緒に寝てほしいと言っていただろう?だから…」

「ほんとうですか?エフラム。今夜は私と一緒に寝てくれるのですか?」

「ああ…おまえが…今も…そう望むなら…」

「…嬉しいです」

心なしか、ミルラの頬に朱が射したようにエフラムには見えた。

「私には…もう一緒に寝てくれる人はいないと思ってました…エフラムは…前、私と一緒に寝るのは好ましくないといいました。おにいちゃんは妹とは一緒に寝ないのだと…エイリークもエフラムと一緒に寝ていないのだと、その時知りました…。でも、今夜は特別に私と一緒に寝てくれるのですね…嬉しいです…」

私には、もう、おとうさんがいないから…明日から私はずっと一人だから…最後に…思い出ですね。私が思い出を大事に抱いて生きていけるように…

ミルラには、エフラムの意図がわかった。そして、ミルラの言葉から彼女が自分の意図を理解していることがわかり、エフラムは切なかった。

俺には、こんなことしかしてやれんのか…おまえを1人になどしたくないのに…おまえの決意がルネスのため、俺のためだとわかるからこそ、その気持を無碍にはできん。だが…おまえにしてやれることは、もっと他にないのか…

「とりあえず、横になろう…」

「はい…」

二人は、どちらからともなく肌着姿になると、どことなく、ぎこちない動作で共に床に入った。

ミルラが子猫のように身体を丸めて、エフラムの脇にその身を寄り添わせてきた。ミルラの小さな身体を労わり守るようにエフラムが腕を回して、更にその身を抱き寄せた。ミルラの頬がエフラムの胸板に乗る。

「エフラムはあったかいです…とくん・とくん…って音がします。とても…安心…します…」

「そうか…」

この言葉に、エフラムは激しい後悔に襲われた。こんなことで安心するというのなら、俺は、何故、快くミルラの頼みを聞いてやらなかったのだ。ミルラの『一緒に寝てほしい』という願いに勝手にうろたえ、度を失い…結果、寂しい思いをさせてしまった…こんなことなら、行軍の間中、なるべく一緒に眠ってやればよかったのに。そして、今、この夜を最後に、これからも…俺は、おまえにこの程度の安心感を与えてやることもできないのか…

エフラムは考えた。俺のため、人間たちのため、闇の樹海にただ1人で留まると言うミルラにしてやれることはないのかと、必死に考えた。

 

ただ横になっても眠ることなどできなかったし、エフラムに元々眠りに落ちる気はなかった。ミルラに自分がしてやれることはないのか、その答えが見つかるまで眠ることなど考えられなかった。

しかし、懸命に考えた末でも、エフラムはこんな単純なことしか思いつけなかった。

「国情が落ち付いたら…俺は、おまえに会いにいくから…可能な限り何度でも会いにいくから…」

顔は天井を仰ぎ見たまま、だが、ミルラの肩を抱く手には力をこめつつ、エフラムはぽつりと言った。ミルラからは突然の思いつきのように聞こえたかもしれない。

「エフラムは私の…おにいちゃんになってくれたからですか?…だから、私に会いに来ると言ってくれるのですか?でも、あれは、もう、いいんです。私は…少し、思い違いをしていました…それに気付いたので、もう、いいんです…」

「どういうことだ?」

エフラムは驚いてミルラの方に顔を向けた。

以前『兄と呼ばせてくれ』と俺に言ってきたのは彼女の方だ。ミルラは実際には俺より遥かに長い時を生きているから、本当は妹というのは変なのだが…とにかく肉親のように接してくれと俺に言ってきたミルラが、今はもう、俺が兄でなくてもいいという…もう、別れ別れになるから、肉親の振りも必要ないということなのか?

エフラムは自分でも不可解なほど強い焦慮に襲われた。ミルラの口から、自分との関係一切を放棄するような言葉が出るなど信じられない、いや、信じたくなかった。

色をなすエフラムに対し、だが、ミルラの態度は、哀しいほど静かだった。

「エフラムとエイリークがとても仲良しなのを見て…私はうらやましく思いました。…エフラムは私に優しくしてくれましたけど、私は、もっとエフラムに優しく仲良くしてもらいたかった。だから…私がおとうさんに優しくしてもらったみたいに、エフラムと家族みたいになれば…もっとエフラムと仲良くなれると思って…おにいちゃんになって欲しいと言いました…でも、それは間違いでした…」

「ミルラ…おまえの言葉の意味がわからない。俺を兄と呼んだことを後悔しているのか?」

「私は、人間のお兄ちゃんは妹と一緒に寝ないと知りませんでした。私は、エフラムと夜寝る時も一緒にいたかったのに…だから、お兄ちゃんになってもらっても…いつも一緒にいられるのではないと知って…思い違いをしていたとわかって…少しがっかりしました。それに、エフラムは、妹でもないのにラーチェルという人と、すごく仲良さそうに話していたので…私より仲良さそうに見えたから…私は胸が痛くなりました…エフラムは、妹になった私より、妹ではないラーチェルと仲良くしてたから…私は、何か間違ったのだと知りました…だから、もう、いいんです…」

「!…ミルラ…おまえ…」

それは…ラーチェルに嫉妬したということなのか?いや…まさか…ミルラは、養父と離れて寂しくて、俺に肉親の情を求めただけに過ぎない…そう思っていたからこそ俺は…

エフラムの動揺に気付かない様子で、ミルラはどこか言いにくげに、そして寂しげにエフラムにこう問うた。

「エフラムは、妹とは一緒には寝ないといいました。でも、ラーチェルは妹ではないから…エフラムはラーチェルとなら一緒に寝るのでしょうか…」

「!…いや…ラーチェルとも寝ない」

「では、エフラム誰となら一緒に寝るのですか?」

「それは…俺の妻になる女性と寝る…人間の男は…大人の男は妻と一緒に休むものだから…」

「妻…ああ、わかります。一緒に卵を…赤ちゃんを作る人ですね。私も…このことがなければ…お父さんときっと卵を作っていたと思います」

「!…なんだって?ああ、そうか…おまえとおまえの父は、血は繋がっていないから…その、おとうさんのことを、おまえは、一緒に卵を作る程に好きだったのか?ミルラ」

エフラムはミルラの言葉に一々動揺してしまう自分を持て余した。うわずるばかりの自分が腹立たしくさえある。今も、聞きたくないのに聞かずにいられない、そんな心境に苛まれた挙句、ミルラに養父のことを尋ねてしまった…養父のことを話題にするのは辛いかもしれぬのに…。案の定、ミルラは、寂しげで懐かしげな遠い瞳を見せた。

「はい、おとうさんと私は二人きりの竜でしたから。おとうさんは優しい人でした。両親のいない私を育てて、私が成体になるまで守ってくれました。竜は強い生き物ですけど、子供の竜は弱いです。守ってくれる人がいないと簡単に死んでしまいます。成体になるのに、とても時間がかかるからです」

「その…だったら、やはり俺の所に来ないか、ミルラ。大人になるまでは俺が守ってやる。おまえの決意は尊いものだが、おまえはまだ小さい。守ってくれる者がいなければ、竜といえど危ないのなら尚更、おまえを樹海に戻すことはできん」

「いいえ、私はもう成体です。竜石を使って変化できるようになったら竜は成体です。だから魔物も倒せます、きっと、もう、卵も産めると思います。こんなことがなければ…禍々しい気の正体を突き止め、その気を払ったら…おとうさんと私は卵を作っていたと思います。そうしないと、いつか、この大陸から竜がいなくなってしまいます。そして竜がいなくなったら、闇の樹海に生じる魔物を倒す者がいなくなってしまいますから…」

「それは…つまり…義務として子を作るつもりだったというのか、ミルラは…」

何故か安堵を感じながら、エフラムはミルラに確かめてみる。

「生き物は、そういうものではないのですか?雄と雌で子供を作らなければ、その生き物がいなくなってしまいます。人も同じではないのですか?」

「俺なら…好きな女と子供を作りたい。人間の男はそうだ。好きな女を妻にして、自分の子供を産んで欲しいと思うものなんだ。確かに、好きでなくとも…子供を作るためだけに交わることも…王族の婚姻は確かにそういう面もあるが、俺は、そんなのは嫌なんだ」

「では、エフラムはエイリークと子供を作るのですか?」

「いや、好きと言っても…妹は別だ。人は兄弟で子供は作ってはいけないんだ」

「そうなのですか?…ああ…だからですね…私は妹だから…だから一緒に寝るのは好ましくないのですね…妹は…色々不便です…」

ミルラは自分が泣きそうな気持になっていることに気付いた。

私はやっぱり間違えていました。エフラムは誰よりエイリークを大事にしているように見えました。だから、エイリークみたいに自分もなりたいと思って…自分もエイリークと同じ立場…つまり『エフラムの妹』になれば、エイリークみたいに大切にしてもらえると思っていました。だけど、エフラムは妹であるエイリークとは一緒に寝ない、子供も作らない。妻と呼ぶ人と一緒に寝て、子供を作るのだといいます。本当にエフラムとずっと一緒にいたいなら『妹』ではダメだったんですね…私はおとうさんといつも一緒にいたから、そういうものだと思っていたけど…人は違っていたんですね…

「エフラムとずっと一緒にいられるのは、その『妻』となる人だけなのですね、おにいちゃんと妹は…ずっと一緒にはいないのですね…わたしは、おとうさんとずっと一緒にいたから考え違いをしていました。おとうさんと卵も作っていただろうし、だから、エフラムにも、おにいちゃんになってもらえればいいのだと思い違いをしていました…」

「ミルラ、おまえ、それは…」

まるで、ずっと俺と一緒にいたかった、俺と子供も作りたかったと…言っているように聞こえるんだが…これは俺の気のせいか?勝手な思いこみか?

エフラムの動揺はますます酷くなる一方だった。何を言っていいかわからず言葉が上手く出てこない。

「でも…そのおとうさんも、もう、いませんから…私は…これから、ずっと1人で生きていくのだと思います…」

父と呼んだ竜は…本当の両親の替わりに自分を育ててくれた竜の長ムルヴァは、その精神を魔王に食い荒らされ、屍竜と化してしまった。その腐食した肉体を滅ぼさねば養父の魂は魔の頚木から解放されない…だから、ミルラは自分のなすべきことをした。

『私はセライナさんにもいいました。一度魔に取り込まれてしまった魂は、そのままでは決して救うことはできないと。その肉体を滅ぼさなければ、魔につながれてしまった魂は解放されないのだと。その残酷さを考えることもせず。だから…同じ立場に立たされた時、私は思いました。これは…私が自分でしなくてはならないことなのだと。おとうさんを救うのは…私の役目なのだと…』

養父の優しさに、こんな形でしか報いることができなかったことが、哀しくてたまらなかった。でも、あの変わり果てた養父をそのままにしておくような残酷な真似はもっとできなかったし、その役目を他者には任せたくなかった…。

「……私はこれからずっと一人で生きていくことになります。だからなのでしょう?エフラム…本当は一緒に寝ない妹と、今夜は一緒に寝てくれるのは…ありがとう、エフラム。私、大丈夫ですから…エフラムがこんなに優しくしてくれた思い出があるから…この思い出があれば…これからずっと1人でもだいじょう…」

「だめだ!ミルラ、思い出だけと寄り添って生きていくなど、そんな寂しいのは…ダメだ!」

「でもエフラム…私は闇の樹海に帰らねばなりません。竜はもう私一人しかいないから…闇の樹海に生じる魔物を私が消さないと、人里に降りていってしまいますから…」

「だが、俺は本当はおまえを一人になどしたくないんだ!…くそ!俺はいったいどうすればいい…」

そう、俺はおまえを一人にしたくない、だが、命短き人の身では、ずっとおまえの傍にいてやることはできない。今おまえを連れ帰っても、俺の死後は、結局、長い長い時間おまえを1人にしてしまうことになる…どうにか、おまえを一人きりにせずに済む方策はないのか…せめて竜が他にもいてくれれば…

その時、エフラムの脳裡にある考えが閃いた。

一瞬の間の後、エフラムは怖いほど真摯な瞳でミルラをじっと見つめ、重々しく問うた。

「ミルラは…俺を好きか?」

ミルラは一瞬、びっくりしたように瞳を見開いたが、すぐさま、こっくりと頷いた。

「はい、エフラム。私はエフラムが大好きです…だから…エフラムがエイリークに接するように、接してほしくて…一生懸命考えて、妹になりました…妹になったら…もっとエフラムに好きになってもらえると思っていたから…ああ、そうだったんですね…今、はっきりわかりました…。私はエフラムが好きだったから…妹になりたかった。妹になれば1番に好きになってもらえると思って…それは、私がエフラムを大好きだったからなんですね…」

「なら…俺ではだめか?」

「何がですか?エフラム…」

「おまえが、子を産めば…竜の子を作ればおまえは一人じゃなくなる。その役目、俺ではだめか?」

「私が1人ぼっちにならないよう、私に赤ちゃんをくれるのですか?…でも、エフラムは…さっき、好きな女と子を為したいといいました。私のために、無理に私と赤ちゃんを作ろうとしなくてもいいです…」

「違う!俺は…!俺もおまえのことが…おまえが好きだから!おまえに俺の子を産んでほしいんだ!」

「だって、エフラムは妹とは…」

エフラムはとてつもなくバツの悪そうな顔をした。怜悧で端正な顔立ちに朱が射していた。

「だから、俺は…最初からおまえを妹と呼ぶことを躊躇していただろうが…妹とは子を為さないからな…なのにおまえは俺を兄と呼ばせてくれというから…俺は…とても…とても困ったんだぞ、ミルラ…おまえが…俺に肉親の情を求めているだけなのだと思って…人は肉親は大事にしても…交わりはしないから…」

「エフラム…」

「なのに、おまえは俺に一緒に寝てくれと言うし…おまえは俺のことを兄としか思っていなくとも、俺は…おまえと一緒に寝たりしたら…その…妹とは思えなくなりそうでな…だから、はぐらかしたのに、おまえは俺の気も知らずに…」

「知りませんでした…ああ、私、やっぱり間違えていたのですね…」

「そうだ…俺を好きなら…俺を兄などと呼ばずに、ただ俺を好きだと言ってよかったんだ。俺がおまえを好きなように…妹と呼んでしまったら…逆に好きだなんていえなくなってしまうんだぞ」

「はい、ごめんなさい、エフラム。私、馬鹿でした、とても…馬鹿でした…私…エフラムが他の人と仲良くしている処を見ると胸が痛くて…でもどうして胸が痛むのかわからなくて…エフラムの妹になればきっとこの胸の痛みは消えると思って…でも、妹になってもずっと胸は痛いままでした…けど…不思議です…今はもう胸が痛くないです…ただ…ドキドキして胸の奥が…熱いです…」

「好きだからだ、ミルラ…俺がおまえを…おまえも俺を好きだからだ…」

「エフラム…嬉しいです…あんまり嬉しくて…夢を見ているみたいです…」

「子を為すぞ、ミルラ。俺と…おまえの子だ」

「はい、エフラム]

エフラムは、ミルラの顎をつまみあげ、そっと口付けた。

「俺は…人の…男のやり方でおまえを愛し…子を為す…」

竜はどうやって子を為すのか、エフラムにわかろう筈がない。だからエフラムは男が愛しい女を抱くそのままにミルラを抱くつもりだった。

エフラムはミルラの簡素な肌着を手をかけると、躊躇なく、しかし、優しくそれを取り去った。

 

ミルラの竜の証である背の羽は、人でいえば丁度肩甲骨の辺りから生じている。自分が重みをかけて寝台にその背を押し付けたら、羽の付け根が痛むかもしれない、そう思ってエフラムはミルラを横向きにしてからきゅっと抱きしめ、幾度も唇を合わせた。

最初は唇と唇を触れ合わせるだけだった口付けを、エフラムは徐々に深めていこうとした。

花びらのようなミルラの唇は芳しく、柔らかく、いくら触れても触れたりない気にさせられる。が、舌を差し入れても、ミルラの歯列は固く閉じたままだった。

「ミルラ、少し口をあけてくれ」

その意味がわかっていたとは思えない、が、ミルラは何の躊躇いも見せずエフラムの言葉に従った。その素直さが、信頼が嬉しかった。漸くできた歯列の隙間からエフラムはいささか強引に舌を差し入れ、ミルラのそれを絡め取って、吸った。

「んんっ…んふぅ…んくっ…」

幾度も舌を絡め直す長い接吻をしかけると、ミルラが苦しそうに頭を振って口付けを解いてしまった。

「ミルラ…キスをしている間も普通に息はしていていいんだ」

スベスベとした頬にちゅ…と軽く口付けて諭すと、ミルラは紗のかかったような瞳でエフラムに問い返す。

「エフラム…どうして唇を合わせるのですか…?」

「おまえを好きだからだ。男は…好きな女には触れたい、抱きしめたい、そして口付けたいと思う。こんな風にな…」

ミルラのもう片方の頬にも口付ける。その頬は熟れきった白桃のように柔らかい。唇がミルラの肌から離れたがらないのをエフラムは感じる。

「唇に…だけじゃない、俺は…おまえの全身くまなく口付けてやりたい。この唇でおまえの隅々にまで触れたい。おまえは…俺が口付けるのは嫌か?」

「いいえ……でも、私、変です…エフラムの唇は柔らかくてあったかくて…触れられると頭がふわふわして…ぽーっとして何も考えられなくなります…」

「嫌じゃないんだな?」

ミルラはこくんと頷いた。

「なら…その感覚に浸りきれ。俺は決しておまえが嫌がることはしない。俺を信じられるか?」

「はい、エフラム」

寸分の逡巡もない応えが嬉しく、この真っ直ぐな信頼に応えたいと切に願った。エフラムはミルラの身体をきゅっと抱きしめ、再度口付けた。

だが此度の接吻はすぐに解かれ、エフラムは唇をミルラの顎のラインから首筋へと徐々に下ろしていった。ミルラがくすぐったそうに首をすくめる。かまわずエフラムは首筋に幾条もの唾液の線を描き、時折軽く吸いもする。

そして小さな鎖骨の窪みに舌を這わせ始めると同時に、ミルラの乳房にそっと手をあてがってみた。

どこもかしこも小作りなミルラだから、乳房も小振りで膨らみはほのかだ。掌に触れる感触は瑞々しい張りのせいで生硬でさえある。

エフラムはその張りのある乳房をやんわりと捏ねるように揉みしだく。僅かでも痛みを与えることのないよう、丁寧に丹念に。

ミルラがくふん…と小さな吐息をつく。

乳房を捏ねながら、唇をもう片方の乳房の稜線に滑らせようとした処で、二人ともに横向きのままでは、身体を下方にずらしていくのが面倒なことにエフラムは気付く。かといって背に小さな翼を持つミルラを寝台に組み敷くのはやはり躊躇われる。

「ああ、そうか…」

エフラムは一度上体を起こすと、寝台の上で胡座を組み、それからミルラのことも抱き起こした。突然抱き上げられた子猫のようにきょとんとしているミルラを、エフラムは自分の組んだ足の上に横抱きにして乗せた。エフラムの組んだ足の窪みに、あつらえたようにすっぽりとミルラの小さな身体が収まった。

「俺の膝の上においてしまえば、おまえの背中の羽を痛める心配もない、俺も…おまえに口付けやすい」

言うやエフラムは横抱きに抱きかかえているミルラの上に身をかがめ、その乳房の先端にちゅっ…と口付けた。

「ひゃん…」

びっくりしたようにミルラがエフラムの膝の上で跳ねた。

エフラムはかまわず唇で乳房の先端を挟み込んだ。ミルラの乳首はやはり可憐なまでに小さく、軽くでも歯を立てることや、きつく吸う事も躊躇われた。エフラムは唇で乳首を食み抑えたまま、舌をゆっくりとその先端で回し始めた。

「ふぁっ…」

ミルラが軽く背をのけぞらせた。かわいらしい乳房をエフラムに見せ付けるように。

エフラムは突き出された乳房を大きく口に含んで唇を乳房全体に滑らせ、最後にちゅっ…と音を鳴らして乳首を軽く吸った。吸うや、間をおかず、じっくりと味わうようにミルラの乳首を再び丁寧に舐め転がす。右に左にと舌を回す内に、乳首が硬く尖ってきたのが唇にわかる。その硬い弾力に胸が騒ぐ。エフラムは一層の熱心さで、両の乳首を交互に舌で弾いてはじっくりと舐めあげ、その張り詰めた感触を己の舌に存分に味あわせた。

「はっ…あんっ…やん…エフラム…エフラム…」

エフラムにしっかと横抱きに抱かれたたまま、ミルラが悩ましげに頭を振る。柔らかな弧を描く眉根も心なしか、切なげに寄せられている。

「やっ…変です…私…胸…じんじん痺れて…ぞくぞくして…」

「ミルラ…おまえはかわいいな…」

エフラムは、ミルラを安心させるように優しく口付ける。昂ぶる性感にミルラが戸惑っている様がいじらしく愛らしい。

「何も変じゃない。それに痺れる感じは…嫌なものではないだろう?」

「は、はい……もっとして欲しい…気もします…」

「ああ…俺も、もっとおまえを気持よくさせてやりたい」

エフラムはミルラの身体を改めて抱きなおすと、花の蕾のような乳首を再び口に含んで、丹念に舌を回し始める。

同時に軽く投げ出されたようになっているミルラの足の間に空いていた方の手を忍ばせてみた。

控えめな恥丘を覆う、やはり控えめな柔毛は、春先の若草のようにほんの生え染めたばかりという風情だ。淡い柔毛を透かして花弁の合わせ目がうっすらと見える。その紅色の合わせ目に沿って、エフラムはそっと指先を滑らせてみた。

「あ…」

ミルラが更に戸惑ったような声をあげた。

つ…と、エフラムが自分の股間に指を滑らせているのをミルラは感じた。エフラムの指先が何かを割って、自分の中に僅かに分け入った…そう感じた途端、ぞくりと狂おしい戦慄が走った。そのエフラムの指がすごく滑らかに股間を滑ることに驚き、そこが粘度の高い液体で満ちているからだということに、ミルラはこの時初めて気付いた。

「や…エフラム…私、どうしてしまったのですか…」

何故、股間がしとどに濡れているのかわからない。自分で気付かぬ内に、何らかの体液を零していたことなんて今までなかった。ミルラは自分の身体がどうかしてしまったのかと、酷く慄いた。

「ミルラ、大丈夫だ、ミルラ…」

エフラムは微かに震えるミルラの身体をぎゅっと抱きしめた。

「何も心配しなくていい、これは、おまえが俺を求めている証、おまえが俺を受け入れるための準備だから…」

「準備…?」

ミルラがおずおずと顔をあげてエフラムを見上げる、エフラムは何故かとても嬉しそうに笑んだ。

「ああ…俺とおまえが一つになって、子を為す準備だ」

エフラムはミルラの反応が人と変わらないことに安堵していたし、それ以上にミルラが豊かに愛液を湧き出させてくれていることが嬉しくてならなかった。それはミルラの心も身体も開かれている証、エフラムを待ちわびている証だったから。

エフラムはミルラの花弁の合わせ目をくすぐるように指を躍らせた。

「おまえのここに俺が入って…俺とおまえは一つになるんだ」

「ふぁあっ…」

エフラムの指が妖しく蠢いた。ぞくぞくとする、それでいて甘やかな戦慄が走り、ミルラはエフラムの膝の上で震えた。

「エフラムが…私の中に入る…?あ…」

ミルラはエフラムの言葉を半分も理解できていなかった。でも、身体の感覚がそれを補ってくれていた。エフラムの指が少しづつ少しづつ、探るように自分の内部に入ってくるのを感じたからだ。

『本当に…私の中に…入ってます…エフラムの指が…入って…』

不思議でならなかった。エフラムの指が極自然に自分の内部に入り込んでいることが。それは、エフラムの指が動く度にぬちゅくちゅと音をたてる液体に助けられてのことであり、自分の身体が無意識の内にエフラムを受け入れるために溢れさせたものなのだと、理屈ではなく身体が理解した。

「俺もおまえの中に入る用意はもうできている」

優しく笑うと、エフラムはミルラの手を取って胡座を組んだ中央に屹立する己の男根に、その小さな手を導いた。

「これがおまえの中に入り、俺たちは一つに繋がって…子を作るんだ…」

「すごく硬くて…熱いです…エフラム…」

ミルラの小さな手指はエフラムの男根に回りきらない。が、その手は吸い付いたようにエフラムの男根から離れようとはしなかった。ミルラは不思議そうな顔でエフラムを見上げた。

「こんな…こんな大きくて硬いものが…私の中に入りますか?」

「怖いか?ミルラ…」

ふるふると、寸分の躊躇も見せずにミルラは首を振った。

「不思議だけど…怖くはないです…エフラムが入るというのなら入るのだと思いますし…それは、エフラムが私に赤ちゃんをくれるためだから…怖くはないです…」

「ミルラ…」

エフラムは胸がきゅぅ…と絞られるような気がした。

この小さな身体で俺を受け入れることに躊躇いも恐怖も見せないのは…性交の本質を知らないからもあるだろう、しかし、それ以上に、ミルラが俺を十全に信頼しているからだ。俺が…おまえが嫌がることはしないと言った言葉を信じ、俺がおまえに子を授けたい想いの意味を理解してくれているからだ…

「ミルラ…俺は…おまえが好きだ」

「私もです…エフラムが大好きです」

「ああ、だから…なるべく辛くないようにしてやる…一杯よくしてやるからな…」

「?」

ミルラはエフラムの言葉の意味がわからない。

エフラムが私を辛い目になど合わせるわけがないのに…

そう思った時だった。エフラムはミルラを抱き上げてその体の寝台に横たえなおすと、その背と寝台の間にありったけのクッションを押し込んだ。ミルラの腰が頼りなげに宙に浮いたところをエフラムがしっかり両手で支えた。

「ミルラ…こうすれば背中は…翼は痛まないか?」

「え?…はい、エフラム…大丈夫です。どこも痛くないです…」

エフラムは、私が羽を痛めないよう、気遣ってくれているんですね…

エフラムの優しさに、ミルラの胸の奥がじんわりと暖かくなったその時だった。

「そうか…それなら…」

エフラムは、やにわに、ミルラの腰を抱えて少し持ち上げた。ミルラの秘部がエフラムの眼前に大きく開かれた。

「きゃ…」

ミルラは、臀を持ち上げられた反動で頭がクッションに沈み込み、少し驚いた。

が、エフラムの意図をいぶかしがる暇はなかった。

エフラムが大きく開いた自分の股間に顔を埋め、濡れそぼる花弁を丁寧に舐め始めたからだった。

「ひぁっ…ふぁああっ…」

エフラムの舌が自分の襞の合わせ目を割っているのがわかった。尖らせた舌先が合わせ目を下から上へと滑っていく。時折熱い舌が、今までになく奥深くまで自分の内部に進入してくる。

「あっ…はぁっ…あんっ…」

何故、エフラムがこんなことをするのかミルラはわからない。でも、エフラムの熱い舌が自分の中に分け入ってくる感触は決して嫌ではなく、むしろ、狂おしく胸がざわめき、妙に待ち遠しくさえある。そして、エフラムの舌を身の内に感じるたび、鼻にかかった甘い声がひっきりなしに出てしまう。けれど、ミルラは身をよじってエフラムの口戯から逃れようとした。

「だめ…だめです、エフラム…そんな舐めちゃ…あぁっ…」

「嫌か?ミルラ…」

「だって…舐めたらなくなってしまいます…」

「?…何がだ?」

一瞬、エフラムが不思議そうに顔をあげた。

「せっかくの『準備』が…エフラムが入って来易いようにせっかく溢れてきたのに、このとろとろしたものを舐めちゃったら、エフラムが私の中に入ってこれなくなってしま…」

「ふ…それなら心配ない…」

腰を支え持ち上げられているミルラには、エフラムの顔は良く見えなかった、でも、この時、エフラムはこの上なく嬉しそうに笑ったようにミルラには思えた。ミルラは何故、エフラムが嬉しそうなのか訳がわからなかった。

「え?あ……」

と、エフラムが再度ミルラの股間に顔を埋めた。ただし、今度は合わせ目には舌を差し入れず、そのもっと上の方…花弁の合わせ目の突端辺りを尖らせた舌先で丹念に探った。そして、こりっとした感触を舌先に感じるや、エフラムはその部分を勢いよく舌で舐った。

「ひぁあっ…」

ミルラの反応は激烈だった。エフラムが抱え込んでいる小さな臀がびくびくと跳ねて、エフラムの舌が花弁から外れそうになる。エフラムはそれを許さず、さらにしっかとミルラの腰を抱え、肉芽に舌先をあてがった。

「心配しなくていい、ミルラ、ここを舐めたら…俺が舐め取る以上にあふれ出る…」

エフラムは更にミルラの股間の付け根をしっかと両手で掴んで、花弁を大きく押し広げた。艶やかに濡れる淡い色合いの花弁が惨い程に開かれると、その奥の媚肉の妖しく濃い紅色が僅かに垣間見え、エフラムを昂ぶらせた。

「心配せずとも、もっと…濡らしてやる。おまえが熔けてしまうと思うほどにな…」

エフラムは開かれた花弁の突端にちょこんと顔を覗かせている肉芽を見つけると、再びその部分を舌先で突つき、縦横に弾きだした。

「ひゃんっ…」

ミルラの背がくん…と、しなる。

迷わずエフラムは舌先で肉芽を覆う莢を剥いた。小さな小さな突起がおずおずと顔を出す。エフラムは愛しそうにその肉の珠を一瞬見つめてから、おもむろにその珠全体を口に含み、ちゅくちゅくと吸った。

「あぁああっ…」

肉の珠は硬く張り詰めきっていた。先刻愛撫していた乳首よりもっと硬い弾力が、エフラムの舌と唇を楽しませてくれる。思う存分に舐めまわし、舌で転がし、弾いてやる。下から上へと丹念に舐めあげもする。

「あっ…あぁっ…やっ…痺れて…溶けそう…私…溶けそうです…エフラム…」

ミルラは眦に涙を浮かべ、切なげに眉を顰めて、闇雲に頭を振る。エフラムの舌から、体中が熱く白熱するような刺激が息つく暇もなく与えられ、もう、何がなんだかわからない。股間の一点から迸る鋭い感覚は、全身を痺れさせるようで、自身がとろとろに溶けてなくなっていくような気にさせられる。

「ほら、わかるか、ミルラ…さっきよりもっと溢れているのが…」

エフラムは肉珠の先端で尖らせた舌先をちろちろと素早く躍らせながら、ミルラの花弁につぷりと指先を差し入れると、浅い部分をゆっくりと指でかき混ぜた。

「ふぁあっ…」

花弁をかき回した拍子に、ミルラの秘裂から溢れた愛液が内に留まりきれずに臀の方まで滴っていった。ミルラにも温い液体が肌を滑る感触がわかった。

「ほら、俺が舐める程にむしろ溢れてくるだろう?」

「あぁ…」

それなら…このまま舐めてもらっててもいいの?私…エフラムを受け入れられるの?ううん、舐めてもらうほうが入って来易いの…?

朦朧とした覚束ない思考は、すぐにまた、白熱する鋭い快楽に断ち切られた。エフラムが、再び、むき出しの肉珠を舌で舐め転がし始めた。

「ひんっ…ひぁっ…やん…あぁあっ…」

エフラムの舌が熱い、ぬめぬめとした感触が狂おしい。その動きに翻弄され、ミルラは意味のない甘い喘ぎをあげることしかできない。頭の中は無数の真白い閃光が弾けているみたいで、何もわからない、考えられない。

しかも、その甘い声に煽られるように、エフラムの舌遣いはより大胆になっていく。きつく吸っては優しく撫でるように肉珠を舐めあげるという、緩急をつけた愛撫を繰り返す。

「やっ…も…ぁあっ…えふら…はっ………」

「頃合か…」

ミルラの身体が小刻みに震えていた。エフラム自身も限界が近かった。エフラムは口の周囲についたミルラの清冽な愛液を舐め取ると、上体を起こし、ミルラの膝頭を割って、己の体躯を滑り込ませた。

「ミルラ…入れるぞ……」

エフラムは勃起しきった男根の先端をミルラの潤びた花弁に、ひたと据えた。

「は…い、エフラム」

息は荒くとも、ミルラの身体に強張った部分がないのを腕に感じ、エフラムは粛々とミルラの花弁を割り入った。

「あ…」

「そのまま…力を抜いていろ…ミルラ…」

色の淡い可憐な花弁を無骨な男根が少しづつ押し開いていく。透明な蜜が押し出され節くれだつ肉茎にまつわりつく。その滑りに助けられ、ゆっくりと、だが着実にエフラムは男根を奥へ進めていく。徐々に、紅色の媚肉が亀頭を締め付けてくる。複雑に重なり合う柔襞が男根に絡み付いてくる。

男根が半ば過ぎまでミルラの内部に没した頃、

「う…くふ…」

ミルラが喉を鳴らすような喘ぎを発した。

「辛いか?辛かったら言え…ミルラ…」

「へ…いき…です…」

「そう…か…」

エフラムは締め付けてくる媚肉をなだめるように努めてゆっくりと挿入していった。辛いといわれたら、休止する気はあった、が、エフラムはこの情交自体を止める気はなかった。淡い色合いの可憐な花弁が男根で押し開かれていく様は、いかにもきつそうで、痛々しくさえあったが、それでも、エフラムは交合を解く気はなかった。

俺はミルラを1人にしたくない。思い出だけを縁(よすが)に生きていくなんて、寂しいことを言わせたくない。だが、ずっと一緒にはいてやれない俺がミルラに残してやれるものは、これだけだから…ミルラも…俺との子を望んでくれているのだから…

だから、エフラムは決然と身体を押し進めていき…そして根元まで男根を収めきった。ミルラの花弁は痛々しいほどに押し広げられ、なのに懸命にエフラムの男根を包み込もうとしているようだった。まとわりつく媚肉は火傷しそうに熱い。

「ミルラ…わかるか?俺とおまえは、今、一つに繋がっている…」

「は…はい…わかります…私の中、エフラムで一杯です…苦しいくらい…一杯です…」

「…辛いか?…」

「いえ…嬉しいです…エフラムをこんなに一杯感じられて…エフラムと一つに繋がっているなんて…幸せです…」

「そうか…なら……」

エフラムは、ミルラの身体に重みをかけないよう上体を起こしたまま、ミルラの膝の下に腕を回して足を抱えあげ、少しづつ腰をストライドさせ始めた。

「え?…あっ…あぁっ…」

自分の身体が内側から擦りあげられ、かき回される初めての感触にミルラは驚き戸惑った。

「あっ…エフラムのが…中で暴れて…あぁっ…やっ…何?…擦れて……やぁ…」

「動くと…痛むか…?」

「ちが…でも、変…変です…私…うく…ぅ…」

ミルラの戸惑いは酷くなる一方だった。

熱くて硬いエフラムの物で、体中埋め尽くされたみたいで、息をするのも苦しいくらいだった…なのに、それがどんどん身体の奥深くまで入り込んでくる。少しづつ勢いと速さを増して。でも、1番奥まで辿り付くかと思うと、引き抜かれて…何故か僅かな落胆と物足りなさを感じると、その次の瞬間、それは、さらに強さと勢いを増して、自分の内側を擦ってはかき混ぜる。身体を内側から擦られ、掻き出されるような感触に頭が灼ける。

「や…変…エフラム…擦られると…ぞくぞくして…私…あぁ…あんっ…」

エフラムが秘裂をかき回し、意識して肉襞をカリで擦り行く毎に、ミルラの頬が紅潮していく。きつく眉が顰められていく。

「いいんだ…ミルラ…もっと…俺を感じろ…」

エフラムは僅かに安堵する、ミルラは戸惑ってはいても明確な苦痛は感じていないようだ、人の形態を模してはいても、竜には破瓜の痛みは…存在しないのかもしれないと。それを見てとり、エフラムは律動の抑制を外した。力を込め、思い切りミルラの最奥を狙って男根を突きいれた。

「あぁっ…」

ミルラは背をしならせ、いたいけな乳房を突き出して白い喉を露にした。

エフラムがものすごく深くまで入ってきたその瞬間、ミルラの体の芯にずしん…と、未知の衝撃が貫き、波がわたるように走り抜けていった。身体の奥深くを叩いて響くその重い衝撃が全身を痺れさす。身体がきん…無意識に張り詰め、つま先が反り返る。

「くっ…」

突き入れたエフラムも思わず呻いてしまう。激しく突き上げた途端、ミルラの秘裂がきゅっとすぼまり、男根を柔らかな襞でしごかれたような気がした。溢れる愛液に助けられ、挿入自体は驚くほど滑らかだったが、ミルラの秘裂は今、想像以上のきつさで男根全体を絞るように締めあげてくる。引き抜く瞬間、カリが酷くめくられる感触に眩暈さえ覚える。

が、エフラムはその締め付けに逆い、敢えて快楽を振り切るように、ミルラの柔襞を屈服させんばかりの力強く素早い律動をくりだした。勢いよく、そして容赦ない苛烈さで秘裂の最奥に亀頭をたたきつける。

「きゃふっ…あぁっ…やっ…ふぁあっ…」

『こんな…こんなの知らない…』

ミルラはエフラムから与えられる感覚に翻弄されきっている。エフラムに身体の最深部を貫くように力強く突かれると、痺れるような狂おしい感覚が漣のように全身に広がっていく。突き上げを感じる度に身体が高い処に押し上げられていくような、どこかに飛んでいってしまいそうな浮遊感が募りゆく。息は苦しくなる一方で、閉じた瞼に火花が散るようで、なのに…怖くない、嫌じゃない、止めないで欲しい、このままどこまでも押し上げて欲しい…

「あぁっ…エフラム…もっと…もっと…」

「ミルラ…気持いいのか?」

「い…い?…あぁ…はい…いい…いいです…エフラム…すごく…あぁっ……」

「…ミルラ……」

衒いなく快楽を表すミルラに、愛しさが爆発しそうに膨れあがった。ミルラを渾身の力で抱きしめたい衝動に駆られ、エフラムは、繋がったままミルラの背に腕を回してその身体を抱き起こそうとした。抱き起こされたミルラも無意識のうちに手を差し伸べ、エフラムに抱きすがろうとする。その、エフラムの手がミルラの翼の付け根に触れた時だった。

「あ…あぁああっ…!」

エフラムの腕の中でミルラがびくびくと小刻みに震えた。

「ミルラ…ここがいいのか…?」

エフラムは腰の突き上げは緩めぬままに、ミルラの翼の付け根辺りを優しく撫でさすった。

「きゃぅっ……」

ミルラの小さな手がエフラムの肩に食いこんだ。

『そう…か…翼は柔らかで弱い部分だから…』

過ぎる力を加えたら痛む…つまりは敏感ということだ、ならば…。

「ミルラ…」

エフラムは抱き寄せたミルラの唇に軽く口付けると、その身をくるりと反転させ、ミルラを背中から抱きしめる形でその身体を再び己の男根の上に下ろしていった。

「あ…あぁ…」

天に向かって屹立するエフラムの剛直がミルラを貫き縫いとめていくと同時に、エフラムはミルラの翼の付け根に口付け、ねっとりと舌を這わせた。

「ひぁあああっ…」

エフラムの男根にその身を縫い付けられているというのに、ミルラは飛び上がらんばかりにエフラムの膝の上で跳ねようとした。エフラムはとっさにミルラの膝裏から腕を回して足を大きくMの字に開かせた形で押さえ込み、ミルラが自身の重みでより深く貫かれる姿勢をとらせた。

「か…は…」

ミルラは虚しく口を開けるだけで声も出せなかった。脳天までエフラムに貫き通されたみたいだった。エフラムの脚の上でふるふると小刻みに震えることしかできないミルラに、エフラムはぐりぐりと容赦なく腰をグラインドさせ、ミルラの秘裂の最奥を亀頭で小突きまわした。唇は羽の付け根押し当てたまま、そこをきつく吸あいげた。

「ひぃい…んんーっ」

ミルラが狂ったように頭を振る。

エフラムが腰を回すたびに、ぴくんぴくんとミルラの身体が大きく震えた。

「やぁああっ…だめ…あぁあっ…」

エフラムはミルラの悲鳴のような嬌声にも動じない。ミルラの脚を抱えこんで己の腰に打ちつけると同時に、ぐりぐりと最奥を抉っては、時折、思い切りよく腰を突き上げる。ミルラの両の羽の付け根に舌を丹念に這わせながら。

「だ…め…も…私…エフラム…一杯で…あぁっ…んんーっ…」

体中がエフラムで一杯に満たされているみたいだった。突き上げられるたび、気が遠くなる。羽の付け根にキスされると頭が真っ白になってミルラは全身が弾け飛んでしまいそうだ。

「ひぁあっ…やぁあっ……も…だめ…私…跳ぶ…あ…あぁ…」

ミルラは何を口走っているか自分でもわからない。ものすごい勢いで果てない高みに駆け上がり、登りつめていく気がする。

そして昂ぶる一方のミルラの秘裂は、無意識のうちに蠕動してエフラムをきゅうきゅうと締め付けていた。秘裂を突き上げ、かき回すエフラムの男根を時に慰撫するように優しく包み込み、時に懲らしめるかのようにきつく絞り上げる。

「ミル…ラ…」

エフラムも自身が際限なく膨れあがっていく錯覚を覚えていた。苦しいのか心地よいのか、もう、それすらも判然としない、ただただ、身体は一瞬の解放目指して駆け抜けていく。

「くっ…」

思い切りミルラの最奥を突き上げた瞬間、エフラムの目の前に火花が散った。極限まで張り詰めていた自身が内側から爆ぜた。

一瞬のホワイトアウトの後、どくどくと脈打ちながらエフラムの精が迸り、ミルラの中心を叩いて染みわたっていった。

「あぁあああっ…」

ミルラは体の芯に熱いものが叩きつけられ、溢れ返るのを感じた。その瞬間、果てない高みに舞い上がったと思うや、ミルラはまっさかさまに何も見えない奈落まで落ちていくような気がした、だが、その落ちていく感じは怖いどころか、とてつもなく甘く、慕わしく、全身がふんわりと温かいものに包まれているような優しさも伴っていた。

瞳を閉じたまま、その、柔らかく落ちていく感覚に身をゆだねていると、くいと顎を捉まれ上を向かされた。前髪が汗で濡れたエフラムが、自分と同じように息を荒げているのに、それでも唇を塞いできた。少し息苦しかった、でも、ミルラは、その唇を振りほどきたくはなかった。エフラムの口付けは蕩けるように優しかった。

 

長い長い接吻の後、エフラムはミルラに問うた。

「ミルラ…その…身体に辛い処や痛むところはないか?」

「あ…はい…エフラム…痛い処は……無いと思います…」

いまだ、夢から覚めやらぬ口調でミルラが言葉を探し探し答えると、エフラムはあからさまにほっとした表情を浮かべた。

「すまん…俺は、かなりおまえに無茶をさせた…気がしてな…」

「いえ…すごく…不思議な気持でした…苦しいのに…気持よくて…飛んでしまいそうなのに…落ちていくようで…でも…エフラムが一杯…体中に一杯感じられて嬉しかったです…」

「そうか…俺も…おまえと一つに交われて…幸せだ…」

「本当に…?あの…エフラム…」

「何だ?」

「エフラム、昔、おとうさんは言ってました。竜は魔と人と狭間の生き物だからと人と交わってはいけないと…竜は魔の力を持つ者だからと…エフラム…あの…私と…竜と交わったこと…それでも…幸せだと思ってくれますか?」

おずおずと自分を見あげるミルラの肩を、エフラムは安心させるようにきゅっと抱いた。

同時に、エフラムはミルラの養父の気持を斟酌し、僅かに顔を曇らせもした。

人は…疾く生きぬける。竜の生に比べ儚いほどに。そんな生き物と心を通わせ、思いを通じ合わせてしまったら、その人間が死んだ後、竜は、その後長い生を寂しく辛い思いをして生きていかねばならない。ミルラの養父は、ミルラにそんな思いをさせたくなくて、そう言ったのではないだろうか。もしかしたら、遠い昔、自分自身が命短い人間と、そんな切ない別れを経験しているのかもしれない。ましてや、その当時、養父は魔王の復活も自分の死も想像だにしていなかったろうから…実際、魔王の依り代があの魔力の強いリオンでなければ、ミルラの養父は復活しかけていた魔王を依り代の肉体ごと、葬り去れていただろう、他の魔物と同様に…。そして、ミルラと二人で竜の子を為し、人と交わることなどない生をミルラに送らせるつもりだったのだろう。

だが…ミルラを守る養父はもういない。

エフラムは心の中でそのミルラの養父に語りかけていた。だから、あなたの替わりに俺がミルラに子を授ける。俺は…どれほどミルラを愛しく思っても、先に逝かざるを得ない。だから、子を残してやりたい。ミルラが一人にならずに済むように。長い竜としての生を思い出だけをよすがに生きていかずに済むように…儚い人間の身でおこがましいことと思うかもしれんが、竜の長よ、どうか俺がミルラを娶ることを許して欲しい。

俺ならわかってやれると思うから。ミルラの哀しみ、胸の痛みを…ミルラと同じように、己の大切な存在を魔に犯され、己の手でその魂を穢れから解放した俺なら…ミルラの哀しみに寄り添ってやれると思うのだ、だから…。

「ミルラ…おまえは、俺たちと知り合ったこと…人と心を通わせあったこと、後悔してるか?」

「いいえ…エフラムたちを知ったから…私は竜として魔物を滅する、その気持を強く持てるようなりました」

「そんな優しいおまえに魔の部分など欠片もあるはずがない。おまえはどの人間と比べても、優しく美しい心を持っている。ミルラ、案ずるな、人と竜が交わってはいけないなど…そんな迷信は俺が…俺が打ち砕いてやる。だから、おまえは…安心して俺の子を産め」

「はい…エフラムの赤ちゃん…すごく、すごく楽しみです…」

「1度でできるとは限らんから…これでダメなら…何度でもおまえの許に行くさ、子ができるまで。いや…子ができても、俺はおまえに会いたい時に、会いにいく。だから、俺の訪れを待っていろ、ミルラ」

「はい、エフラムが来るのを待ちます…ずっと…待ちます…」

一点の曇りなき信頼のままざしを向けられ、エフラムの心は僅かに逡巡した。

これは俺のエゴだろうか?俺が死んだ後長い時間が経っても俺を忘れてほしくなくて、俺は俺とのよすがにミルラを縛りつけようとしているだけではないのか…

いや…エフラムはすぐに思いなおした。

他に竜が見つかれば…ミルラと共に生きていく竜が見つかるのなら、心配はない。だが、万が一…この大陸に他に竜がいなければ、ミルラはずっと一人だ、一人ぼっちだ。信じられないような長い時間を1人で生きていかねばならないのは…心を持つ生き物には、耐え難い寂寥、苦痛ではないのか…だが、子がいれば…寂しくはないのではないか…きっと、ミルラの養父も…ミルラを育て守ること自体が喜びだった筈だから…。

「でも、闇の樹海は危険だから…エフラムが会いに来てくれるなら、私、大婆さまに頼んでポカラの里で暮らすようにします。赤ちゃんが産まれたら、赤ちゃんもポカラの里で育てます。そうしたら、エフラムも来易いですか?」

「ああ、それはいい…それなら安心だ…」

『俺が死んだ後も…』と言いかけて、エフラムは寸前で思いとどまった。自明であっても、今は言わずともよいことだから。そして、竜を竜人様と崇め、大切にしてくれるあの里でなら…遠い将来、安心して俺はミルラと子供を残していける…と。

エフラムは、改めてミルラの肩を抱き、優しく接吻した。ミルラも幸福そうに瞳を閉じ、その接吻を受けた。

「ミルラ…俺はおまえを一人にはしない…決して…」

接吻を解いた後の誓いの言葉にミルラからの返答はなく、エフラムの耳には、替わりにすぅすぅという穏やかな寝息が届いた。

エフラムは優しく笑むと眠るミルラの額に口付け、改めてミルラの体を抱き寄せて自分も眠りの手に意識を委ねた。

FIN


まずは声を大にして言わせていただきたい!
ミルラは1200才の《竜》です!
支援会話見てなくてご存じない方もいるかもしれませんが、公式設定1200才は本当です。人間ではないのですから外見で判断してはいけません、というか、しないでください。自分でもちょっとヤバ目なのはわかっていますけど!(をい)
(以下、色違い部分はエムブリャーの方は飛ばして結構です、FE未プレイの方へのミルラの一族についての解説ですので)
FEでは、作品により舞台は違えど根本の世界観とか生息生物とか文化レベルははほぼ一緒です。飛び道具は弓矢と魔法のみ、騎乗用生物として馬同様に天馬と飛竜が生息し、それ以外に人外の生物としてマムクートと呼ばれる竜人がおります。このマムクートは高い知性と人間には及びもつかない長い寿命を持つ生き物ですが、絶対数は少なく、通常人間とはあまり関わりを持たず生きておりますが、実は交配可能です。FEには竜の血を引く登場人物が良く出てきます。普段は、背にドラゴンの翼を持つ人間の形態を取っており(これは竜形態が非常に消耗するためらしいです、ウルトラマンみたいなものだと思ってください)戦闘時および攻撃を受けて身を守る時だけ竜石という竜の能力を封じ込めた石を使って本来の竜の姿に戻ります。
そして、この話の元になります聖魔の光石では、エフラムはミルラと公式支援会話で物語中にあるような会話を交わし(おにいちゃんになって欲しい&一緒に寝て欲しいといわれ、うろたえて断る)戦争終了後は、自分の国ルネスに来いと誘い、しかし、ED後は『ミルラはルネスには赴かず、エフラムがせっせとミルラの許に通った』という後日談が示されます。
ですが、どういう経緯でエフラムが通い夫になったのかの説明は一切なしです。つまり、その空隙を埋めたくて書いたのがこのお話なのです。
ですから設定はほぼ公式通りなのですが…私は、とにかくはっきりとミルラを幸福にしてあげたかった!
ミルラはたった1人で変わり果てた養父の死に耐え、1人涙を堪えていたところ「まさか、この竜はおまえの…」と気付いたのがエフラム一人だけで、それでも懸命に涙を堪えようとしたミルラに「泣いていいんだ」とエフラムが慰めていたのが、私にはもうツボ直撃でして!
しかし、手をこまねいていては、ミルラはたった1人で思い出だけ抱いて長い竜生を生きていかねばなりません。
エフラムが好きでたまらないのに、でも、1200年も養父の竜とだけ暮らして暮らしてきたから、自分の感情の正体が自分でよくわかってなくて、エフラムの妹になりたいと言ったり、一緒に寝て欲しいといったり…この健気なミルラの愛を!その不器用な一生懸命さを報わせずにおらりょうか!
しかも、公式後日談で、エフラムはせっせとミルラの元に通ったというお墨付きもあるので、エフラムにはミルラを一人ぼっちにしないため子作りに励んでもらうことにした次第です。
ミルラの見た目がちょっと(?)幼いのが難ですが、なせにマムクートは長寿ですから1、2年どころか10年待っても外見がそう変わるとは思えませんから、今子作りしても10年待っても見た目のヤバさはどっちにしろ一緒ですし(爆)それなら、受胎率を上げるためにも早めに回数をこなしておく方が結果的にミルラには幸せだと思ったんですよ、私は。
子供ができない間に、エフラムは(竜の時間感覚からすれば)あっという間に死んじゃって…じゃかわいそうすぎますもん。
ミルラだって生物としての義務で子供作るより、好きな男の子を産むほうが充実感あると思うし。
で、以下は私が作った勝手設定なのですが、まず、竜は元々の個体数が少ない、しかも養父とミルラは血が繋がってないのをミルラも承知してたので、養父ムルヴァは恐らく、ミルラに竜という少数種族の宿命として「そのうち私と子供を作るぞ」ということを重々言い含めていたんじゃないかと思ってます。
故にミルラはセックスを純粋に生殖のために(竜を絶滅させないための)義務として捉えていたというか、そういう知識というか心構えはさせられていたのではないか、と、私は考えているのです。
でも、セックスが愛情表現とか愛情確認の手段になることも、それが快楽を伴う行為であることも知らないという、知識がすごくアンバランスな状態と設定してます。
それと、これは究極の勝手設定なのですが、哺乳類でも処女膜という面倒なものがあるのはもぐらと(何故だろう?)人間だけだということなのでマムクートであるミルラには処女膜なし!という設定にしてみました。
ちなみにマムクートが卵生か胎生かは、FEでも明記がなくてよくわからないのでミルラの台詞は卵と赤ちゃんの2通りにしてあります。純粋マムクートは卵生で混血なら胎生かもしれないと青空さんもおっしゃっていたし。
ででで、そう、その青空さんが、またも素晴らしい挿絵をくださったのですよ!
「策謀の王子」にリンクしてる話だからという理由で無理矢理のように押し付けたお話なのに、もう感謝感激ですわー。
挿絵もあまり危なげのない(笑)エフラムとミルラのラブ度高いシーンを選んでいただいて、そのご配慮にも感謝です。うちのエフラムはミルラにめろきゅーですが(この健気さだ、無理もないけど)いかにミルラを大切にしてるか表情とか手つきからひしひし伝わって参りますよ!また、エフラムに必死にしがみつくミルラがかわいくてねぇ…ミルラって本当にエフラムのことが好きなのですが、その好きな気持がこちらもびしびし伝わってまいります。エフラムにこんなに固くぎゅーっ!してもらえて良かったね!と言ってあげたくなりますね。
青空給仕さまの骨董甲子園では、セピア調に色調を抑えたイラストが挿絵として挿入されておりますので、是非、そちらもご覧になってくださいねー。
幸せなエフ×ミルをいただけて、本当に嬉しかったです、ありがとうございましたー。

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