Natural
イラスト 青空給仕様

一つの戦いが終わり、次の戦いへ向け全軍が暫しの休息を取っていた時だった。

おまえは俺の天幕にやってきた。

「特に用…というわけじゃないんだけど…」

少し躊躇いがちな口調で、今暫しここにいてもいいかとおまえは尋ねた。

俺が黙って頷くと、おまえはほっとした顔になり、幾分はにかんだ様子でこう付け加えた。

「あなたの傍にいると、なんだか落ち着くの…あなたの風を感じるから…あなたから吹く風は優しい…」

それきりおまえは黙って僅かに瞳を伏せた。

俺も黙っておまえを見つめた。おまえはやはり生粋のサカ、サカの女だ…そう思いながら。

俺たちサカは生まれながらに風を求める。俺たちの血脈を流れる風の声、果てない草原を吹き渡る風の匂いの記憶は消そうとしても消えるものではない。長い事風を感じられずにいると心が乾く。日向臭い草の香が無性に恋しくなる。

なのに、おまえは今はサカの地から切り離されて生きている、そのように生きていかざるを得ない。どれほど恋焦がれようと、今はあの地に帰ることはできない。今のおまえは草波をわたる風に思うさま身を浸すこともままならない…

だからこそ、より強く激しく草原を吹き渡る風を恋しく思うのだろう。風を感じさせてくれる存在に心惹かれるのだろう。

その胸中が俺にはわかる。俺もまた想いは同じだから。

おまえ自身はよくわからないかもしれないが、おまえのまとう風は、青い瑞々しさに満ちた初夏の風を思わせる。陽光に満ちた緑一面の草原を吹き抜けていくような、優しい活力に満ちた風だ。

そんなおまえの風を感じ、おまえの中に草の海をわたる風を見ていると、俺もまた安らぎを覚える。

おまえが傍らにいてくれると、俺も心地よかった。言葉はなくとも気詰まりな空気は微塵もない。何を話すでもなくとも、お前が傍にいてくれると気持ちが落ち着いた。

おまえの風を感じていると、自分がいるべき場所にいると感じられる。理屈ではなく心が安らぐ。

おまえも、俺の風に同じような安寧を感じてくれているのだろうか。そうであったら嬉しい…

唐突にそんなことを思った。

そう思うと同時に、もっとお前の風を近くに感じたいという衝動が、突然奔流のように俺の胸に湧き上がった。

俺はおまえを見詰めた。

おまえも俺を見ていた。

引き寄せられるように互いの距離が縮まっていた。

おまえの指と俺の指がふと触れ合った。

その瞬間、触れ合った指先から身体中に一陣の旋風が吹き抜けていったような気がした。

俺は信じられぬ思いでおまえを見つめた。おまえもまた、呆然としたように俺を見上げていた。

何かに導かれるように俺はしっかりとおまえの小さな手を握り締めた。解けぬように指と指とを絡めあわせた。今の感覚を確かめたくて。もう1度風を感じたくて。

おまえもまた自ら望むように俺と掌を沿わせ、俺が絡めあわせた指をきゅっと握り返してきた。

俺の瞳とおまえの瞳が交差した。

それはとても自然なことに思えた。

己の心が欲するまま、望むままに振舞うことこそ自然なことだと思えた。

もっと触れたい、触れあいたい、もっと近くでおまえの風を感じたい、全身でおまえの風を感じてみたい…

気がついた時はおまえをこの胸に思い切り抱きしめていた。無我夢中で唇を吸っていた。

そして、おまえの腕もまた俺の背を抱きしめていた、俺の唇を吸いかえしていた。

俺は驚かなかった。確信とそれに倍する喜びに圧倒されていた。

おまえもまた、俺と同じ想いを感じてくれていたのだと。

俺の風をもっとはっきりと感じとりたいと思ってくれていたのだと。

俺とおまえを隔てている邪魔なもの…肩当やら布やらを取り除くために絡み合わせた指を一度解かねばならぬことだけが、酷く腹立たしく、もどかしかった。

*  *  *

「ラス…もっときつく…もっと思い切り抱いて…」

「ああ…」

ラスは求められるままに、リンを抱く手に思い切り力を込めた。

もとよりリンに求められずとも、力いっぱい抱きしめるつもりだった。抱きしめずにはいられない、そんな気持ちだった。

きゅぅ…と音がするほどに細い身体を抱きしめながら、リンの肩口に顔を埋め、しなやかな首筋に唇を滑らせる。リンは幾分苦し気に息をついた。それでも力を緩めてくれとは口に出さない。むしろ自分の方からも懸命にラスの体を抱き返してきた。

「ラス…ラス…もっと…顔、よく見せて…」

ラスの唇から首筋にもたらされる柔らかな痺れにも似た心地よさに溺れそうになりながらも、リンはラスの頬を掌で包みこんで、その端正な顔立ちをまっすぐ見つめた。

触れ合えることを待ちかねてもいたけれど、同時に、自分の大切な人の無事な姿を…大切な人が今、自分の傍にいてくれることをこの目でしっかりと確かめたかった。激しい戦いの後だったから尚更に。

「リン…」

瞬間、胸が痛むほど「愛しい」という感情が互いの瞳から溢れ出して交じり合う。

ラスが弾かれたようにリンに覆いかぶさり、深々と口付けた。

改めて一分の隙も生じぬ程に、一糸纏わぬリンの身体をラスは抱きすくめる。

素肌の温もりを余す処なく感じたい、感じさせたい気持ちは二人同じだから、互いにもう何も身につけていなかった。

心を重ねあわせてから…あれから何度求め合い交じり合ったのか、もう数え切れないほどだ。

一つ戦いが終わるや否や、貪るように互いの温もりを求め合って、競って素肌をさらす。

何より大切な存在を守りぬけた喜びを、誰より愛しい存在が生きていてくれる喜びをこの手で確かめたくて。

熱い素肌で抱きしめあうこと、肌を隙間なく合わせて触れ合うことほど、互いに生きている喜びを感じさせてくれる行為は他になかった。二人にとって誰より愛しい相手と情を交わしあうことは、生きる喜びを謳いあげ感謝することと同義だった。

日ごとに激しくなる戦い、明日をも知れぬこの身、そしてこの身に変えても大切な存在だけは守りたい、守り抜いてみせると誓い合っているからこそ、今日も二人ともに生き抜けたその喜びを、ラスとリンは互いに全身全霊で確かあわずにはいられない。

二人ともに生き抜くことすなわち、互いの想いの証だから

どちらが犠牲になってもいけない。二人で一緒にこの戦乱の大地を生きていくと誓い合っているから。

だからだろうか。戦いが激しくなればなるほど、互いを求める気持ちも深く激しくなっていく。

その求める心のままに、ラスはリンの身体を隈なくまさぐるかのように、掌を縦横に滑らせた。

すべらかな背を、まろやかな臀部を撫でさすり、引きしまったウェストのラインを掌で味わうようになぞる。身体のライン全てを確かめるように掌を滑らせるうちに、その手は自然に二つの胸のふくらみを包みこむようにあてがわれる。

そのふくらみは決して豊満とはいえないが、とても綺麗な稜線を描いている。殊につんと上を向いた紅色の乳首は、いつ目にしても眩暈がするほど扇情的だとラスは感じ入る。即座に口に含んで転がしたい気持ちを今は堪え、すんなりとした首筋に唇を落として所々吸い上げた。同時に大きく手を回して張りのある乳房全体を撫でさするように愛撫する。ラスの掌は柔らかく乳首の先端を擦るように何度も乳房の上を行き来する。

「ん…」

流れるように自分の肌の上を滑るしなやかな掌の動きはラスの優しさそのもののようで、その穏やかな愛撫にリンの胸は暖かいもので満たされる。だが、穏やかだからこそ、焦れるようなもどかしい気持ちにもさせられてしまう。

もっと一杯触れて欲しいけど、このもどかしさを口にすることは躊躇われて。

優しすぎる愛撫にもどかしさを感じる自分が欲張りに思えて。

「ラス…」

この気持ちを、どんな言葉にすればいいのかわからず、もてあます。だから、リンは幾多の言葉の替りに、溢れそうな思いこめて恋しい男の名を呼び、硬くしなやかなその首に腕を回してきゅっと抱きついた。

ラスはリンの焦れに気づいているのかいないのか、落ち着いた様子で、手で乳房にゆったりとした愛撫を続けながら、首筋から鎖骨の窪みへ、そのまま乳房の形をなぞるように唇を滑らせていく。そして一度唇にキスしてから、おもむろにリンの乳房の谷間に顔を埋めた。

心の底で自ら望んでいたことなのに、リンは急に恥ずかしくなってしまって目を瞑る。

ラスは膨らみの裾野から頂へと乳房のそこここに雨垂れの様に口付けを落とし始めた。

乳房に唇を寄せると、触れた唇を弾き返すような肌の張りと、リンの胸の鼓動を同時に感じることができて、ラスの胸はじわりと熱くなる。

暖かく柔らかなふくらみの谷間からは、リン自身の香が立ち上ってくるようだ。青い草いきれの中に僅かに甘い花の香が混じっているような、そんな香だ。胸一杯に、そのリンの甘い香を感じながら、つんと尖って自分を誘いかけているような可憐な乳首を目にしたら、まさに花の蕾のようなその乳首を思う存分愛してやりたくなって、どうにも我慢ができなくなった。

待ちかねた褒章を漸く手にするような気持ちで挑発的なその頂を口に含んだ。輪郭をなぞるようにねっとりと舌を回すと、たちまち先端がしなやかな弾力を増したのが唇に感じられた。

「あ…」

くんっ…とリンが背筋をしならせた。

まるで更なる愛撫をねだるように乳房が突き出される。

その誘いに乗るように、ラスは更なる熱意を以ってリンの可憐な乳首を舐る。

乳首を際立たせるように右に左にと舌を回してから、立ち上がった乳首の感触をじっくりと味わうように根元から先端へと何度も何度も舐めあげる。敏感な天辺をくすぐるように、尖らせた舌先を小刻みに上下左右にとうごめかす。

舌で転がすように乳首全体を舐め回すと、その舌を弾き返すほどの張りを感じる。リンの乳首がこれ以上ないほど硬くなっているのがわかり、ラスの胸もどうしようもなく熱くなる。

この可憐な頂が愛しくてたまらず、深く乳首をくわえ込んで唇を鳴らすように吸い上げた。手は乳房をこねるようにきつく揉みしだく。

「あんっ…」

リンが苦しげに頭を打ち振るが、ラスは愛撫を緩める気にはならない。むしろ、リンはもっと激しい愛撫を望んでいるような気さえして、ラスは根元に軽く歯を立てた上で乳首をきついほどに吸い、舌で縦横に弾くように転がした。

「あっ…あぁっ…」

リンは首をのけぞらせ、ラスの背にあてどもなく手を滑らせた。

物静かだけど、内にふつふつと燃えるような激しさを秘めているラス、ラスの愛し方はラスという人をそのまま体現しているかのようにリンには思える。

私が激しいくらいに触れて欲しいって思ったことをわかっているから、こんなに情熱的なの?…私から抱きついただけでわかってくれたの?…ラスは優しいから、優しすぎるほどだから、いつも私が望むようにしてくれる。『おまえがそう望むなら』と言って。きっと、だからこんなに熱く激しい…

その時、ラスの手がそっとリンの股間を割った。

リンはすぐに足の力を意識して緩めた。むしろ待ちわびていたと言っていい。

すると、リンの気持ちはわかっているといわんばかりに、ラスはふっくらと柔らかくもりあがるリンの花弁を、自信ありげに、だが、この上なく柔らかな指遣いで愛撫し始めた。

閉じた花弁の合わせ目をそっと割っていくようにうごめく繊細な指の感触に、リンは思わず熱い吐息をこぼした。触れられて初めて自分の股間が粘度の濃い液体で溢れかえっているのがわかった。そのぬめりを指先で味わっているかのように、ラスの指は花弁の浅いところゆっくりと上下している。くちゅり、ぬぷりと粘り気のある水音が自分の耳に届き、恥ずかしさにいたたまれない。なのに、そっとまさぐるようなラスの指の感触がじれったくて、足先まで細かな震えが走る。

「…すごく濡れている」

「や…」

リンは駄々っ子のように頭を振った。そんなことわかってる。ラスがあんまり私を気持ちよくしちゃうから、こんなに濡れちゃうのに…ラスだって、わかってるくせに…

「ラス、意地悪しないで…」

「意地悪などしない…」

「いや…ラスの意地悪…わかってるくせに…なんで私がこんなに濡れてるのか…」

「気持ちいいのか?そうなら俺は嬉しい…」

「や…もう、ラスの馬鹿…」

リンはすねたように横を向いてしまう。恥ずかしくて正面からラスの顔が見られない。でも、こんな風に言われたら、恥ずかしくても、素直な気持ちを告げずにはいられない。その方がきっとラスも喜ぶ気がするから…

「ん…ラスに触ってもらうと気持ちいいの。だから…もっと触って欲しいからこんなに濡れちゃう…わかってるくせに…ラスの意地悪…」

幼女のように口を尖らせたリンに、ラスはふっ…と瞳を和ませた。

「おまえが望む通りに…」

言葉と同時にラスの指先が、リンの敏感な肉芽に触れた。

「あ…」

リンの身体が緊張で硬くなる。だが、その緊張は心があまりに逸っていることの表れかもしれない。

そのリンの緊張すら楽しむように、ラスは指先にたっぷりと愛液をのせてから、そのぬめりをまぶすように殊の外ゆっくりと肉芽全体を転がすように指を回した。

「あぁっ…」

電気が走り抜けたような鋭い感覚に、びくんとリンの身体が跳ねた。鋭くて、いたたまれなくて、逃げ出したくなるような切なさもあるのに、もっと感じたい、感じさせて欲しいと願ってしまう不思議な感覚に。

ラスはリンの身体があまり動かぬように、己の体躯でリンを押さえ込む。同時に肉芽全体を転がしていた指先は徐々にその円を狭めていって、今は長い中指がその天辺を小刻みに爪弾いていた。もう片方の手は、花弁の合わせ目に僅かに差し入れられ、そこを間断なく上下に擦り上げ、穏やかでやるせない刺激を与えている。その指の動きで、リンの肉芽は愛液で更に潤う。

「あっ…あんっ…」

リンの切なげな喘ぎを耳にしながら、ラスは徐々に身体を下方にずらしていき、己の体躯でリンの足を割って閉じられないようにした。

見下ろせば、とろりとした蜜に塗れたつややかな花弁が眼前にひくついていた。ふっくらと豊かに盛り上がった花弁を見ていると、そこに己の怒張が包みこまれた時のあの喩えようのない熱さきつさ柔らかさがまざまざと脳裡に思い出され、ラスは今すぐここに己をねじ込みたい誘惑に一瞬激しくかられた。

だが、リンの全てを味わい尽くしたい、リンが何もわからなくなるほどの快楽に浸らせてやりたい気持ちも同じ程に強い。

サカの地に焦がれる気持ちを抑え、決して戦い自体を好きではなかろうに自ら先頭に立って剣を振るい、兵たちの支柱となっている彼女に、この一時でいいから何もかも忘れさせてやりたい、ラスは心の底からそう願っている。

そう思うからこそ、躊躇いなく、大きく足を手で押し広げた。羞恥からリンが反射的に足を閉じようとするのは承知で、わざと羞恥を煽るかのように殊更に大きく、ぐっと足を押し開く。この程度の羞恥はすぐに忘れ去ってしまうほどの悦楽を与えたい、与えてみせると己に言い聞かせながら。だから足を開くや、リンの足の付け根ごと指で押し開げるように肉芽の鞘を剥いた。ひっそりと隠れていたかわいらしい小さな肉の突起をむき出しすると、舌を差し出してそれを丁寧に舐めあげた。

「あああっ…」

リンが切羽詰った声をあげた。

その声に力を得て、ラスは紅玉のように濡れ光る突起全部を口腔内に含んで、ちゅくちゅくと音を立てて吸い始めた。唇で挟み込むと、その小さな珠が痛いほど硬くなっているのがよくわかる。その珠を愛液ごとすするように吸ってやると、リンの生命そのものを味わっているような気がして胸が熱くなる。ちゅっと突起を吸いながら、周囲に舌を回す。ねっとりと下から上へと舐め上げたり、尖らせた舌先でつつきもする。こりりとした珠の感触が愛しくてかわいらしくて、何でもしてやりたいと思う。

「あっ…はっ…や…そんな…あぁっ…」

ラスの舌が蠢くたび、リンは全身が痺れて、どうしようもなく頭の中が真っ白になっていく。

押さえ込んだリンの太腿が小刻みに震えているのが腕に伝わり、ラスの胸も満たされる。全てを曝け出しているのに、リンは羞恥も自我も置き去りにして快楽に浸りきっている、それが何より嬉しい。

もっと気持ちよくしてやりたい、心からそう思って、更に足を広げようと抑える太腿に力を込めた時だった。

リンのわき腹から腰へ、そして太腿へと続いている稲妻のような鋭い形状の瘢痕に気づいた。周囲の肌より僅かに白く色素が抜けているだけなので、よく見ないとわからないが、かなりの長さだった。

「……」

傷跡?…治癒魔法で綺麗に治ってはいるが新しいもののようだ……刀傷?いや…雷撃…電流が身体を通りぬけた跡か…?

そうだ…今日の戦いでは敵に魔導師が多数いたのではなかったか…

ラスは小さな濃紅色の突起から唇を一度外し、傷跡が走る内腿にそっと唇を押し当てた。

「あ…いや…」

リンは慌てて身体をよじろうとした。ラスの唇が触れた部分に思い当たる処があった。そこをあまり見られたくなかった。

「や、ラス…傷跡…残ってた?すぐ治してもらったんだけど…」

大きく花弁を押し広げられる羞恥は深い官能に忘れていられるのに…逆巻く奔流のような快楽に私を巻き込んでもみくちゃにして…自我も羞恥も全て押し流してしまって…と、そう自ら望むほどなのに、身体に残った傷痕を気にして我に返ってしまった自分の心の動きがリンは我ながら不思議だった。

「いや綺麗に治っている…少し色が抜けているだけでほとんどわからない…俺も今初めて気付いた」

ラスにはその理由がよくわからなかったが、足に口付けた途端、リンの体の線が少し強張ったことを腕に感じた。リンの口調に不安が滲んでいることにも気付いた…そんなリンを安心させるようにラスはリンの頬を手でそっとなでた。

「ただ、この傷を受けた時のおまえの痛みを思ったら、勝手に身体が動いた…口付けずにはいられなかった…」

ラスは傷跡と思われる部分に丁寧に舌を這わせて唾液の痕をつけ、ちゅ…と音を立てて痕に沿って軽く吸いあげていった。

「あ…ラス…」

花弁や肉芽を舐められるより、恥ずかしい気さえした。なのにそこを舐められた時と同じように身体にぞくりと震えが走った。

「これだけの傷だ…辛かっただろう…」

「…ううん、平気…皆、似たような思いはしてるし…慣れてるから…ラスこそ怪我しなかった?…」

「ああ…魔法にはあまり耐性はないが、幸い…」

「よかった…」

そのリンの言葉に、ラスは、はっと思い当たった。

騎兵は魔法への耐性が低い、本来なら真っ先に狙われるはずなのに、俺は先の戦闘で魔法の直撃を食らうことはなかった…

「もしや…その傷は…魔法攻撃から俺を守ろうとして…か?」

ラスの言葉にリンの視線が一瞬危うげに泳いだ。

「あ…だって魔導師は近接でも離れても攻撃してきてやっかいだから…ラスが倒すのも私が倒すのも危険は一緒だし、ラスが近接されないよう私が倒したほうがいいかと思って…」

今とっさに考えた理屈だったが、ラスは納得してくれただろうか。本当は魔導師が先行しているラスを狙っていると気付いた瞬間、勝手に身体が前に飛び出していたのだ。そして敵を一撃では倒せずに反撃で一回エルサンダーを食らったのだった。

「無理をさせたか…すまない、ふがいないな、俺は…」

「違う、私が勝手に…私、ラスを守りたくて…自分の力でラスを守れるのなら…少しくらい痛いのなんかどうってことないの…ほんとよ」

「リン…」

「あ、でも、傷跡はあまり見ないで…やっぱり恥ずかしい…」

恥らってうつむいたリンをラスは思い切り抱きしめた。

「恥ずかしがることはない…これはおまえのくれた愛の証なのだから…むしろ誇りに思え…だが、頼む、俺のために無理はするな。俺の方こそお前を守りたいのに…これでは…」

「そんなことない、近接戦闘しないで済む相手には私もラスに頼っているもの、だからお互い様、ね?だって私知ってる、敵に襲われる時があっても、必ずその敵は手負いで、あまり力のない私でも大抵一撃で倒せるの、いつもよ…ラスがダメージを与えてくれていたからでしょう?私が知らないうちに…」

「…ああ」

「だから…私もラスを守りたい、いつもいつも、ラスは優しいから、私が望むのならって何でも言うことを聞いてくれて、黙っていても守ってくれて…でも、私、守られてるだけじゃ嫌、大事にされてるだけじゃ嫌なの、私もラスを守りたい、ラスが大切だって気持ちを表したい、伝えたいんだもの…」

大切にされていると思う。慈しまれてると思う。そう思うと幸せが胸にこみあげる。無理するなってラスがいう気持ちもわかる。私も同じだから。ラスが怪我をするのは嫌、怪我をしたら心配するもの、無理はしないで、ってやっぱり思う…だからこそ、自分の働きでラスが無事でいられるなら、守れるものなら守りたいって思ってしまうんだもの…

だってラスが好きだから。自分もまたラスに同じだけの気持ちを返したいと切に願う。どれほどあなたを大切に思っているか、愛しくて仕方ないか、言葉をいくら重ねても足りない、届かない気がしてならない。

「リン…」

「私、私もラスが大好きなのに…私もラスが大好きな気持ちを伝えたいのに、いつも助けてもらって、優しく守られているばかり…今も、気持ちよくしてもらってるばかり…それじゃ嫌なの…ラスのことが大好きで大切な気持ちを伝えたいの…わかってほしいの…だから…」

そう、言葉で表しきれないのなら、行為で伝えればいい。私があなたをどれほど好きか…

「私にもさせて…」

リンは腕を伸ばしてラスの首に巻きつけ、そのままラスの首筋に口付けた上で軽く歯を立てた。

「っ…」

ラスが軽く眉を顰めた。

リンは思わずぞくりと震えるような快感を身の内に覚えた。

痛みを感じるほどに噛んではいない。ラスの身体は一見、見るからに逞しいという風ではないが、その筋肉はしなやかな鋼を束ねたような強靭さを持っている。自分が少し歯を立てたくらいで痛みを感じるわけがない。

なのに、ラスが切なげな顔を見せた。それを見るとリンも胸が苦しいほど切なくなり、同時に同じくらい深い悦びを感じた。

この悦びをもっと貪欲に追求したくなって、リンはラスの滑らかな胸板に、薄茶色の胸の突起に唇を寄せていく。

口付けながら改めてラスの身体の美しさに感じ入った。緩みやたわみは微塵もない、鞭のように細身でしなやかで奇跡のように端麗な肉体だと思う。見惚れてしまう。あまりにラスの身体が綺麗だと感じるからこそ、自分の肌についた微かな瑕疵がどうにも気にかかってしまって引け目になったのだと、この時、リンは思い当たった。

でも、今は平気…ラスがむしろ誇りに思えって言ってくれたから…

「ラス…好きよ…本当に好き」

自ら口付けながら、確かな意図を持ってリンはそろりと下方に手を伸ばした。

引き締まった腹部にそって手を滑らせていくと、すぐに触れた。硬く屹立しきった逞しいラスの怒張に。

締まった腹筋とはまた違った硬さを持つその部分は、やんわりと握ってみると、微妙に柔らかな弾力がある。節くれだつ幹の部分が熱い…掌にラスの熱が染み入ってくるようだった。

「ラスの…すごく硬い…」

「ああ…」

心なしか、ラスの声がかすれて聞こえた。

リンは怒張をやんわり握り込んだ掌を、軽くしごくようにそっと上に動かした。あまり強く擦ったら痛いかもしれないと思い、張り出したカリの部分も軽く掠めるくらいの力加減で手を動かす。節くれだつ幹の部分と対照的に、先端はすべるように滑らかなことが指先に感じられる。張り出した雁首をそっと撫でさすってみたら、とろりとした粘液が指先にまとわりつき、図らずもリンの指はその液体を雁首の先端に塗り広げることになった。

「う…」

ラスが低いうめきをあげた。

ラスの声に、リンの身中をぞくりとした快感が…先刻より更に強いそれが、走った。

「ラス、ここ、気持ちいいの…?」

掌の窪みに滑らかな先端をあてがって、触れるか触れないかという微妙な加減で手を回しながらリンが尋ねると、ラスは目を細めて黙って頷いた。

ラスの切なげな表情にぞくりとした快感は更に強まる。

リンは身体をずらして、改めてラスの怒張をまじまじと見つめた。見つめていると、どきどきして、頭がかーっと熱くなる。先端の割れ目からは、透明な液体が僅かに滲んでいた。

「男の人も濡れるのね…」

「ああ…」

不思議に思う気持ちと、慈しみたい気持ちが同時に胸に溢れた。口付けたい…と、何のためらいもなく思った。

「私が綺麗にしてあげる…」

リンは、ラスの怒張の根元に手を添えて軽く支えてから、おずおずと舌を差し出して根元の方から先端へと、つ…と舌を滑らせた。一度では全体を舐めきれないから、幾度も舌を上下させて。

ラスがまた僅かに眉を顰めた。大きな掌がリンの髪をそっと撫でた。

褒められ、肯定された思いでリンの胸中は更に熱く満たされる。

此度、舌先が雁首に達すると、リンは滑らかな先端にそのまま舌を回し始めた。懸命に舌を回すあまり、時折、ぴちゃりと高い水音が立つ。先端の割れ目に尖らせた舌先を差し入れ、ちゅっと吸い上げてもみた。微かに潮のような香がする。ラスの生命力そのものを口にしたような気がした。

「う…」

先端を吸うと、ラスが切なげなうめきをあげた。リンはちろちろと先端を割るように舌を遣いながら、上目遣いにラスを見やった。

「ラス…気持ちいい…の?」

「ああ…」

「もっと…声聞かせて…?」

心の底からそう思った。ラスの声を聞いていると、どうしようもないほど胸が熱くなる。もっと声をあげてほしい、声が我慢できないほど気持ちよくなってほしいと、痛いほどに願う。

その思いに突き動かされて、リンは思い切って、だが、ゆっくりと雁首の部分を口腔内に含んでいった。慎重にしないと口が一杯にふさがれてしまって苦しそうだったから。可能な限り口腔に収めたいと思ったが、でも、実際は半分も入っていないようだった。

「く…リン…」

ラスが苦しげにリンの名を呼んだ。リンは少しづつ、唇を上下させてみた。口腔を出入りさせたり、雁首に舌を回すことを無秩序にくりかえす。上手くできていないかもしれないけど、全部はとても入りきらないけど、でも、ラスに気持ちよくなってもらいたい一心で。

ラスにも、その気持ちは痛いほど伝わってきた。

当たり前だが、リンの舌遣いは巧みとはいえない。たどたどしくさえある。商売女の技巧も知っているから、その差がわかる。だが、この懸命さに、健気さに勝るものなどありはしない。何人とも換えたいなどと決して思わない。俺のモノを愛撫したとて、リンが心地よいわけではない。なのに、小さな口で、本当に懸命に、苦しそうですらあるのに唇で快楽を伝えようとしてくれている…この気持ちこそが尊いものなのだから。

熱い舌で先端を嘗め回されると、身体の奥底からどうしようもなくこみ上げてくるものがある。雁首をリンのすぼめた唇が擦る時、ちゅぷ、ぬぷと粘りつくような水音が時折響く、その淫靡さにもう堪えきれない。

「っ…リン…だめだ…もう…」

「んふっ…いい…ラス…いいの…」

だが、ラスは静かに首を横に振り、リンの顎をつまんで上を向かせた。リンは自らの行いに昂ぶって頬を染めていた。

「いや…俺はおまえの中に入りたい…おまえの中で果て、おまえに全て受け止めてもらいたい…」

「ラス…」

リンは下腹部にずしんと重い衝撃が走ったような気がした。

自らの言葉に偽りも強がりもなかった。ラスが心地よいのなら本当にこのままでいいと思っていた。でも、ラスの言葉にまざまざと思い出されてしまった。ラスのこの熱くて硬いものが、私の中心をじわじわと押し広げていくあの待ち遠しいような感覚。苦しいほどに満たされていく喩えようもない充足感、そして、突き上げられた時の、あの全身が貫き通されたかのような白熱した恍惚…全ての感覚が、一時にはっきりとよみがえり、リンは体中の力が抜けてしまったような気がした。

同時に、自らラスに求められた喜びに圧倒された。眩暈がした。

いつも「おまえが望むなら…」と、私の願いやわがままを聞いてくれることで優しさを示すラス。そんなラスが自分から私の中に入りたいと言ってくれた。自分から私を欲しいと言ってくれた。その喜びは自分でも思いもよらぬほど、深く激しかった。

そして、ラスがほしい、ラスで自分を埋め尽くしてほしいと自分も切望していることにも気付いた、気付かされた。

「ラス…私もラスが欲しい……」

「おまえも俺を欲してくれるか…」

ラスが嬉しそうに軽く微笑み、リンの身体を抱き起こして、改めて寝台に横たえ軽く口付けた。だがリンは口付けされる間にさえ焦れてしまう。

ラスが欲しいと自覚してしまったら、もうどうにも抑えが効かなかった。

「ラス…早く来て…早く、ラスをちょうだ…」

皆まで言う前に、ラスが覆いかぶさってき、彼の怒張の先端が己の花弁の合わせ目にあてがわれたのがわかった。リンが思わず自ら導いてしまいたくなったその時、ラスがゆっくりと押し入ってきた。

「ああ……」

リンの唇から安堵とも満足ともつかない吐息が零れた。

ラスの灼けるように熱く、この上なく硬い肉楔が己の中心を割り開き押し入ってくる感触に身体が震えた。

根元まで納めきった処で、ラスの唇からも、何かを堪えているかのような長々とした吐息が零れた。

「リン…おまえの中は暖かい…」

リンの複雑に折り重なった柔襞を雁首でかき分けるように挿入を果たすと、隙間なく包み込んでくるような柔肉の感触に陶然とした。それでなくとも、リンから受けた口戯に何時になく昂ぶっている。深く息を吐いてやりすごさないと、今にも爆ぜてしまいそうだ。

「ラスは…熱い…」

その存在感は苦しいほどに圧倒的だった。もう、こなれているはずなのに、溢れんばかりに濡れているから、軋んだり引きつるような処は微塵もないのに、それでもラスのものを全部納めると息苦しいような気持ちになる。でも、それは決して不快な苦しさではないのだ。そして、この息苦しさが強いほど、この後もたらされる快楽もそれだけ深いことを、もう、リンは知っている。

「ラス…もう…」

柔襞の感触を堪能しているかのようなラスに、リンが甘えてせがんだ。

「ああ…もう、俺も待てない…」

言うや、ラスは思い切り腰を突き上げた。己の剛直でリンを刺し貫かんばかりの勢いで。

「あ…あぁっ…」

リンがのけぞった。さらされた白い喉笛に噛み付くようにラスは口付けた。首筋に、肩に、歯を立てながら、渾身の力で容赦なく突き上げる。もう、律動を止める気は愚か僅かに緩める気もなかった。一度放たれた矢は、あらん限りの勢いで突き進むだけだ。的を確実に射抜くまで。

「あっ…はぁっ…あぁ…」

リンは声らしい声もあげられず、闇雲にラスの背中に手をさまよわせている。

ラスはリンの腰の下に手を回し、片足だけを持ち上げて肩にかけさせた。そのまま臀部を鷲掴みにするように抱えながら、抉るように鋭い律動を放つ。

足を抱えられることで密着度が更に高まり、奥の奥まで貫かれるような衝撃に、リンはもう息をつくこともままならない。

「やっ…あぁっ……」

苦しげに頭を振る。眦には涙さえ滲む。

身体のもっとも深い処に響き渡るずん…とした衝撃があまりに力強く、あまりに矢継ぎ早に繰り出されるので、受け止めきれない。

脳天までラスに貫き通されているようで、体中ラスで満たされているようで。

「も…いっぱい…ラスで一杯…」

官能の渦があまりに深く激しく逆巻いているので、苦しいのか、心地よいのかさえもう判然としない。でも、このままやめないで、もっと、もみくちゃにしてほしい気さえして、リンは、無意識にラスの肩にツメを立てる。

「まだだ…リン…」

そう言ってラスは一度己を引き抜くと、リンの背に腕を回して手早くリンの身体を裏返した。

「あ…」

リンの戸惑うような声には頓着せず、豊かに張り出した白い臀部を高々と持ち上げる。自然と寝台に突っ伏した形となったリンに、ラスは獣の姿勢で覆いかぶさり、腰をしっかと抱えると改めて思い切りよく貫いた。

「あああっ…」

そのまま、背中側の肉壁を意識してすりあげるように角度をつけて腰を打ち据える。湿った肉を打つ音が容赦なくあがる。

ラスの打ち付ける力強さに、リンの身体は前につんのめりそうになってしまう。

だから、ラスはリンの身体が逃げないよう片手で腰を支え、もう片方の手で、前に投げ出されていたリンの両腕を手首ごと一まとめに握りこんだ。

「やぁっ…すご…い…すごいの…」

殊更に抉りこむように、最も深いところまで貫き通されている。腰を打ちすえられる振動そのものが狂おしく、時折、ラスの揺れる果実が勢よく自分の花弁を叩くのまで感じられるのが、あまりに淫らな気がして、もう、何もわからない。

ラスはラスで、自分が引き抜くたびに名残惜しげにリンの肉襞が捲れかえって己の肉柱に絡みつく様がまざまざと目に入り、頭が沸騰しそうになっている。

きゅうきゅうと絞り込まれるような肉壁の感触に、腰の辺りからせりあがってくるものがある、もう、そう長くは押しとどめられないと、わかる。

「リン…」

腰を抱いていた手を横に滑らせ、前からリンの股間に差し入れた。己のモノが突き刺さっているすぐ上…容易に知れた。自分の肉柱にこれ以上はないほどリンの花弁は大きく押し開かれているから、肉芽ははっきりと顔を覗かせていた。ぷくりと膨らんだその部分をラスは指先で摘んで捻るように擦った。

「ああっ…」

鋭い快感にリンの腰が一瞬引けようとしたが、ラスは当然それを許さない。指の腹を肉芽にあてがったまま、今まで以上にすばやく、力強く腰を打ちつけた。

重く全身を揺さぶるような律動の快感と、肉芽からもたらされる鋭い快感に同時に翻弄され、リンの意識は白熱した。

「やっ…だめ…も…わたし…いっぱい…はっ…」

「ああ…もっと満たしてやる…リン…おまえを俺のありったけで…」

「あ…あぁっ…ラス…ラス!」

「くっ…」

ラスの内部で、ぐぅっと膨らみきったものが弾け爆ぜた。迸り、なだれこむように注がれる熱情。目の前が真っ白になり、世界が音を失うようなこの一瞬。掛替えのない愛しいものと一つに溶けて混じれたような幸福感に酔いしれる瞬間だった。

リンの柔襞も小刻みに無秩序に震えていた。その余韻を暫し堪能してから、ラスはゆっくりと己を引き抜いた。

リンの秘裂から、白濁した精が僅かに溢れ零れているのが見えた。己の生命の証が余すところなくリンに受けいれられたと思うと、この上なく暖かく幸せな想いに胸が一杯に満たされた。

この幸せな想いは何者にも侵すことはできない、侵させはしない。

そのためなら何だってしよう、どんなことがあってもおまえを守ろう

まだ、肩で息をしているリンに表を向かせ、ラスはそっと口付けた。

「リン、お前が何よりも大切だ…」

まだ霞のかかったような瞳で、それでもリンは嬉しそうに微笑んで答えた。

「ラス…私もよ、ラスが好き…何より大事…」

そんなリンの頬をラスは両手でそっと包み込んで語りかけた。

「だから…本当にもう無理はするな…俺たちは互いのために生きているのだから…一人でがむしゃらになるな、俺のためにこそ、おまえには生き抜いてほしいから…」

「ラス…」

「俺がこの身を盾にお前を守ろうとしたら、おまえはきっと酷く怒るだろう。おまえが同じことをしたら俺もまた酷く怒る、そういうことだ」

リンがはっとしてラスを見つめ返した。その瞳に理解と感謝と愛情と、ありとあらゆる暖かな感情が浮かんでいた。リンは涙ぐんでさえいるように見えた。

「ん、もう…心配かけないようにする、無理もしない、約束する…」

「ああ…明日もまた戦いがある。もう、寝もう…」

ラスは改めてリンの肩を抱き、寝む姿勢をとった。リンがラスの胸元に顔をすりつけるように抱きついてきた。

「私ね、ラスと眠るとサカの草原に帰ったような気がするの…雄大な地平線に抱かれ、満天の星に包まれて眠るような、そんな気持ち…」

「俺もだ…おまえを抱いていると…もう微かな記憶しかない草原が目に浮かぶ…おまえとめぐり会わせてくれたことを、俺は天なる父に感謝せずにはいられない…」

言葉を終えた時には、もう、静かな寝息が聞こえてきた。疲れているのだろう。この華奢な身体に最近の連戦に次ぐ連戦はどれほどの負担となっていることだろうと思う。

それでも、俺はリンを抱くことを止めはしない。リンも単に静かに休息することなど望まないだろう。

死があまりに身近な今だからこそ、自分とリンと二人ともに生ある喜びをこの手で確かめずにはいられない。

それに…

何と言おうと、結局、おまえは俺の前に出てしまうだろう。隣接されると反撃が難しい俺を案じ、考える前に飛び出してしまうだろう、おまえが危ないと思えば、俺もまた考える前に飛び出してしまうだろうことを思えば…

だからこそ、おまえが俺を守るため血煙を浴びることも辞さぬなら、それは俺が全て拭いさってやる。血なまぐさい風の匂いは俺が全て払ってやる。戦いで荒れた気持ちは俺が忘れさせてやる。せめて二人一緒に抱き合えるその時だけでも…

そんな思いで、きっと俺は明日もリンを抱く、それこそ、その次の朝を二人ともに無事迎えられるかわからないからこそ、渾身の想いをこめてリンを抱くだろう。

そんなことを思いながら、ラスもまた眠りの手に意識をゆだねたのだった。

FIN

骨董甲子園の青空給仕さんは、リクエストに関して、そりゃもう太っ腹なお方です(ご本人はプリティスレンダーレディでいらっしゃるのですが・笑)エロ萌えリクエストということで、ある一定期間ではありますが、定期的に早い者勝ちかつワールドワイドにイラストのリクを受け付けてくださってます(2004年春現在・ただし、シチュには制限があります。詳しくは青空さんのサイトでご覧になってくださいね)当然、私も機会があるごとにリクさせていただいて、萌え萌えのラス×リンを描いていただいてます(笑)
そして、話中に挿絵としてあります『リンがこってりとラスのお宝にご奉仕している』イラスト、これが私がリクしたシチュだったんです。リンのご奉仕はとーっても健気でかわいくて、感激だわ嬉しいわの私は、以前もイラストを描いてくださったお礼の気持ちも表したくて「このご奉仕リンをモチーフにしたSS書きますので、読んでいただけますか?」と、青空さんにお願いしてあったんです。
でもって、できあがりましたのがこの「Natural」です。私はラスとリンは、抗いがたく惹かれあい、気がつくと「自然に距離が近づき」「自然に触れあい」「自然に結ばれている」カプだと思ってます。つーか、この2人は結ばれてこそ自然だと思ってまして(他カプも好きなので、至上主義ではないですが)なので、愛し合う最中も2人は互いに自然に体が動いて、自然に相手を慈しんでる…みたいな光景が書きたくて、なのでタイトルを「Natural」にしました。
そしてお約束通り、青空さんにお送りしましたら、青空さんが、さらにイメージイラストとして冒頭のラス×リンの激甘めちゃラブイラストを書き下ろしてくださいまして!お礼の気持ちで差し上げたお話だったのですが、私の方が倍以上に幸せにしていただいちゃって、もーどーしましょー!でも、めっさうれしいいい〜!と、天にも上るような気持ちでした。
こちらも「Sincerely]同様、自サイトにアップするつもりはなかったのですが(青空さんのイラストをモチーフに書かせていただいたものなので)青空さんのご厚意で、青空さんのイラストともどもウチに飾らせていただくことになりました!
やはりWINDFALL用に、若干ソフトに修正していただいてあります。またTOP絵は色彩の印象を変えてくださいましたので、元々のオリジナルイラストをごらんになりたい方は、青空給仕さんの「骨董甲子園」にいらしてみてくださいねー。
余談ですが、青空さんと私は『ラスはとっても情熱的で愛情深い人なので、Hもそりゃもう激しく情熱的』だということを布教したい、略して「ラスの激しさ伝え隊」を結成してます。お仲間募集中です(笑)


青空給仕さんの「骨董甲子園」へ

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