Will you …?

作 合歓様


お嬢ちゃん・・。

お嬢ちゃんは今、何をしている?

まだベッドの中か? 曙光がカーテンを染め始めるのも知らずに、夢の世界をさまよっているんだろうか・・。

それとも、学校に遅れそう!とか言いながら、朝食を摂っているところか?
お嬢ちゃんが好きなのは、甘いカフェオレと柔らかいオムレツ・・だったよな。
それと、オレンジジュース。
俺が朝のカプチーノを飲まないと、しゃんと目が覚めないのと同じように、お嬢ちゃんは一杯のオレンジジュースがないと、萎れた薔薇のようになっちまう。
よく覚えているだろ?

・・それとも、今は授業中か?
真面目に勉強しているだろうか―――ああ、これは確実だ。
いつだって、育成には真剣勝負だったお嬢ちゃんだから、授業中に居眠りなんてことは間違ってもないだろう。ゼフェルじゃあるまいしな。

放課後、お嬢ちゃんは何をして過ごしてるんだ?
ジュリアス様と俺とでレクチャーした乗馬は続けているか?
確かスモルニィには乗馬クラブもあったはずだが・・。
クラブ活動じゃなくて、友達とお茶でも飲んでいるだろうか。


聖地でもお茶会にばかり出ていたよな。
ルヴァかオリヴィエの部屋を訪ねると、そこには必ず、お嬢ちゃんの姿があった。
俺はそのたびに少しばかり嫉妬していたんだ、ルヴァやオリヴィエに。
いつも同席しているリュミエールやマルセルに。
知らなかっただろう?
お嬢ちゃんがやつらと何を話し、何を笑うのか、気になって仕方なかった。
覗くだけのつもりが長居しちまって、俺を捜しに来たジュリアス様までがその席に混ざりこんじまって・・。

―――お嬢ちゃん、俺は嫉妬ばかりか、お嬢ちゃんの背にある白い翼を意識しないではいられなかった。
これだけ、守護聖のみんなを惹きつけるお嬢ちゃんだ・・。さぞ、すばらしい女王になるだろう・・。俺のこの想いなどで縛ってはいけないと、きつく自分を戒めていた。

だが・・。
お嬢ちゃんは試験に破れた。
意外だったが、お嬢ちゃんたち二人は本当によくやったし、どちらが女王になってもおかしくない、立派な育成ぶりだったと思っている。

そして俺はあの日が忘れられない。
お嬢ちゃんが泣き腫らした目をして、俺の執務室へ「サヨナラ」を言いに来た日を。
当然、補佐官になるものと思っていたから、スモルニィへ帰るというお嬢ちゃんの言葉に、俺は耳を疑った。
なぜだ・・と俺が聞いても、お嬢ちゃんは理由を教えてはくれなかったよな。
またあふれてきた涙を拭おうともせず、もう一度別れの言葉を呟くように言って、執務室を出て行ってしまった。

お嬢ちゃん・・・。

俺は、あの後、聞いたんだ。
お嬢ちゃんがいなくなったのを一番嘆いている、あのお方から。
お嬢ちゃんがどんな気持ちで去っていったのか、を。

お嬢ちゃんの気持ちに気づけなかった、俺はなんて迂闊なやつだったんだ・・。
しかも、俺の方だってお嬢ちゃんが気になって仕方なかったというのにな。

お嬢ちゃんが俺の前から去ってしまってはじめて、いろんな枷がはずれたような気がしている。

お嬢ちゃん・・、いや、こんな風に呼ぶのはやめよう。
、そう名前を呼ばせてくれ。
そして、今夜、君を訪なうことを許してくれ。

君の部屋を訪ねて、いにしえの恋人たちがしたように、窓辺に立って俺を見下ろしている君に、花を捧げてこう聞こう。

「君がスモルニィを卒業したら、もう一度ここへ、俺の元へ来てくれないか?」

そのときこそ、、君と俺は生涯を共にする伴侶として、互いを慈しむ誓いを立てよう。
病めるときも、健やかなるときも・・という、あの誓いを。
いいだろう?

、愛してる。

君は「Yes」と言って、頷いてくれるよな?
その答えしか受け付けたくない。
我が儘だろうが、強引だろうが構やしないさ。

今日は俺がこの世に生を受けた日。
すばらしい贈り物をもらう権利があるのさ。



私的には、ほんのちょっとしたことしたにすぎないのですが、その返礼として、合歓様秘蔵のお話を飾らせて飾らせていただく権利をゲットしてしまいましたー。
なんていうか、えび鯛?わらしべ長者?(笑)
今は表に出されていないお作ということなので、貴重品でございますよー、ありがたいことでございます。
と申しますのも、私にはこういうアプローチの作品は絶対書けないなーとわかるからです。
合歓さんのオスカー様のかっこいいことと言ったら、ないのですが、私にはこのかっこよさは描けない、私も偶にかっこいいオスカー様を描こうと尽力したりしますが(笑)同じかっこいいでも少しタイプが異なる気がするんです
こういうのが2次創作の醍醐味といいますか、書き手によってカラーが出るのが
趣深いといいますか。
そして、オーナーでは書かない、書けないタイプの作品をUPらせていただけるのが、いただきものを飾らせていただく醍醐味だなぁなんて思うのです。
というわけで、うちの通常展示物とは、一味違う、味わい深きオスカー様のお話をお楽しみいただければ幸いです