Before it's too be late 13

普段ー週日は、寸暇を惜しみ勉学にいそしんでいる、ただ自分自身は、これを「努力」とは思っていない。自分には明確な目的があり、そのために必要かつ当然のことをしているまでだと思っている。一方で傍から見れば、自分は「努力家」に見えるだろうし、「努力」が数値化できるものなら、その絶対値は誰にも負けないだろうとも思う。しかし、自分が誇れるのは、その絶対量ではない。ただ闇雲で、がむしゃらな…量や時間だけを誇るような単純な勉強はしていない、無駄なく効率よく、焦点を絞った学問に集中して力を注いでいる、その点は自負している。

だからこそ、週末はアンジェリークと過ごすプライベートな時間を十二分に捻出できるのだし、その時間は、自堕落なまでに欲望に忠実に、己の情と愛に正直に過ごすとオスカーは決めている。人生は何事もメリハリが大切だ。全身全霊で、勉学にーこれはそのうち仕事という単語に置き換わることになろうー打ち込んでいるからこそ、プライベートでは、きっぱりと頭と気持ちと体を切り替えられる、全身全霊でアンジェリークを愛し抜ける。2人きりで過ごす時は、よそ事に気をとられることなく、彼女の良い香りのするやわらかな肉体に、すべらかな肌に没頭耽溺し、いかに彼女に喜びの声をあげさせるか、彼女を心地よくさせるかに全力・全神経を注げるのだ。その、彼女との愛の交歓が、自身の心身を、また、新たな活力で満たしてくれることを、オスカーは知っている。

そう、彼女を力いっぱい愛し、愛されることが、俺に力をくれる、彼女の愛から、俺は精力的に活動する力をもらっている、彼女への愛と彼女からの愛、この両輪が俺の力の源だ。愛あればこそ、俺は、たゆまず、ぶれず、頑張れるのだし、頑張っているという矜持と結果としての実績があるからこそ、自信に満ちて彼女に愛を告げられる、彼女を心行くまで抱ける。地道でストイックな日常と、彼女と過ごす蜜の時間は表裏一体、2にして1であり、どちらが欠けても俺の人生は成り立たない。

そして、2人でいる時、自分は全身全霊の思いをこめ、魂のありったけをこめてアンジェリークを愛する以上、彼女もまた、身も心も俺でいっぱいになってほしい、俺以外のことは何も考えないでほしい、感じるものは、俺の存在だけであってほしい。

そういう意味では、オスカーがアンジェリークに「俺と過ごすのは、気がかりになりそうなことを片づけた、そのあとでいい」というのは、彼女のためを思ってというのと同じくらい、自分のためだとも思っていた。謙遜でも譲歩でもない。俺は我儘で、嫉妬深い男なのだ、目の前に俺がいる時、何事であれ、僅かなりとも、お嬢ちゃんが、俺以外のことを考え、気を散らしたり、心を割くのは、我慢ならない。

だから、2人きりになるや否や、オスカーは、アンジェリークをきつく抱きしめ、降るようなキスを与え、彼女の全身をくまなく大きな手で包み込むように撫でさする。そうせずにはいられない、彼女が自分のことしか考えられなくなるように、自分を魂の全てで欲してくれるように。

今日もそうだった。久方ぶりの逢瀬ゆえ、彼女も熱く深く俺とのふれあいを欲しているのが、その口づけから伝わってきた。彼女の熱情を唇で感じる。思うに任せず密に触れあえなかった時間が、彼女の身の内の炎をより燃え上がりやすくさせていることを同時に感じる、だから、逢瀬を週末に限っているのは悪いことばかりじゃない、彼女がこんなにも情熱的に俺を求めてくれるなら、俺にはメリットの方が大きいとさえいえる、とオスカーは思う。

この計算自体が姑息と言えないこともない。だって、わかるのだ。深く触れあえない状態が続くと、日に日に強く深く激しく、アンジェリークが自分を欲する気持ちを募らせていく、その様が。その眼差しは微熱があるように濡れて潤み、あどけなくも艶やかな笑みの中に隠しようもなく「触れたい、触れてほしい」という熱がこもっていくことに。

そして、彼女の熱い思いを感じる度に、オスカーは、ぞくぞくと震えるほどの喜びと、今すぐにでも、彼女に応え、彼女が望む以上に、思う存分俺を与えてやりたいという焼けつく欲望に炙られる。が、その思いを堪える、欲望を無理にでも抑えつける、思いのままに触れあえるその時まで。不十分な時間で、中途半端に彼女に触れるのは自分が嫌だからーでも、だからこそ、ようやく2人きりの時間を迎えた時に、その募りきった思いはまさしく堰を切ったように、爆ぜるように、彼女へと一気になだれこむのだ。

今もそうだった。

以心伝心というのか、彼女が車に乗りこんできた時、いや、迎えに行った時から、互いに焼けつく程に求めあっているのはわかっていた。だからエレベーターに乗り込んだ途端、待ちかねたように深い口づけを交わした。今は、もう我慢する意味はない、今から1両日中は、文字通り2人きりで過ごせるのだ、何にも誰にも気兼ねなく存分に求めあい与えあえる、そのためにこそ時間を捻出しているのだ。

アンジェリークの肩をしっかりと抱きよせ、思い切り顔を上向かせて、口づけながら、エレベーターを降りる。自身との接吻に応えることで精いっぱいのアンジェリークの足元はふらつき、足取りはもつれる寸前なので、オスカーは腕に力を込めてアンジェリークを半ば運ぶがごとくリードする、アンジェリークもまた、口づけを解きたくないと思ってくれているようで、懸命にオスカーに寄り添ってくる、そんなアンジェリークの様子が尚一層オスカーの喜びと愛しさと欲望を掻き立てる。部屋のドアに向き合う。口づけは解かずにドアの10キーを解除するが、その時間さえもがもどかしいほどだ。

まろびこむように玄関ホールに入り、彼女の肩を抱いたまま、寝室に直行しようとして…一瞬だけ、口づけを解いて、彼女の意を問うように瞳を覗きこんだ。

翠緑の瞳は潤み、口づけを交わし続けていた故に唇は濡れ濡れと艶めいて、愛くるしいあどけない顔立ちだからこそか、くらりと酩酊しそうな程の色香を放っていた。その濡れた唇が、軽く開き「好き…」という形を象ったと思うや、アンジェリークはピンクの舌先を極僅かだが、差し出してきた。

十分…いや、それ以上だった。

オスカーはアンジェリークに覆いかぶさるように口づけて、遠慮なく、その舌をとらえ、きつく絡める、きつく吸う。十全の喜びに満たされながら、アンジェリークをひょいと抱き上げる。改めて角度を変えて口づけ、確固たる足取りで寝室に向かう。そのドアを肩で押して開け入った。

この上なく大切そうにアンジェリークををベッドに降ろし、自身は彼女の前に跪く形で、幾度も触れるだけの口づけを与えながら手探りで彼女のローヒールを脱がす、そのさなか、アンジェリークもオスカーの首根っこに腕を回し、自らオスカーを抱きよせるように口づけてきた。

負けてられん。

反射的にそんなことを思い、アンジェリークを両腕ですっぽりと抱え込むように、力をこめて抱きしめ、吐息ごと飲み込むような口づけを返す。

瞬間、苦しそうに身じろぎしたアンジェリークを、尚一層強く抱きしめる、が、すぐさま、腕の力を緩めると、彼女が安堵したようにくったりと己が胸にその体を預けてき、その機に、背のファスナーを下まで一気におろす。片手を頬を包み込むようにあてがってから、その手で髪を梳き、再び頬そして耳朶を撫で、すんなりとした首筋を指先でなぞる。触れるだけの口づけを、髪に、額に、頬に、無論唇にも、幾度となく繰り返す、時折、唇で耳朶を食み、耳孔に舌を差し入れ、首筋に舌を這わす。そんな愛撫をランダムに繰り返すうちに、服の袖から彼女の腕を抜いてしまう。と、ワンピースの下から、清楚な小花模様のランジェリー姿が現れる。だが、オスカーは自覚する、今、愛らしいランジェリー姿をゆっくりと愛でる余裕が己にない、一刻も早く彼女を生まれたままの姿にして、その肌を、直に余すところなく触れたい、全身で感じたい、と。

それでも彼女に忙しなさは感じさせたくない、なので、ブラの上から乳房のふくらみに手をあてがい、大きな動きでやんわりと揉んだ。これから、君の乳房を思う存分愛するぜ、という予告のつもりだ。すると、アンジェリークが甘えるように、くふんと鼻をならし、何かを強請るような瞳で、オスカーを見上げた。豊かなまつげがオスカーを誘うように揺れる。

俺が君に触れたいと思う気持ち、君が俺に触れてほしいと思う気持ちは、多分、まったくの等価だ、そう感じさせてくれるアンジェリークの振る舞いだった。オスカーは迷いのない手つきで、アンジェリークのブラをはずす。この年齢にしては豊かな、真っ白で、この上なく柔らかそうな膨らみが、ふるりと震えて零れおちる。何度も目にしている光景ではあるが、幾度見ようと、美しいものは美しい。わけても真っ白な膨らみの先端を彩る淡紅色の乳首は、つんと挑発的に尖って、愛らしくもなまめかしく、オスカーの目を奪わずにはおかない。可憐の極みでありながら、扇情的でもあって、思わず、唇をよせて愛でずにはいられない。

ちゅ…と先端に口づけ、すぐさま乳首全体を口に含み、ころころと舌先で転がした。2、3度周囲に舌をまわしただけで、乳首があっという間に硬く立ち上がったのが、オスカーの舌先に伝わってきた。その硬い弾力がなんとも嬉しく、唇に心地よい。オスカーは悦びをもって、屹立した乳首の輪郭を舌でなぞる。舌先で掬うように舐めあげる。

「あ…ぅうん…」

舌を動かすたびにアンジェリークが悩ましげな吐息をこぼす。

もっと熱っぽい、悩ましい声を聞かせてほしい。

オスカーは乳首の根元から先端へと丁寧に何度も舐めあげてから、たどり着いた先端で小刻みに舌先を躍らせる。唇で乳首を挟むように咥えて、ちゅくちゅくと音をたてて乳首を吸う。両の乳首を交互に口に含み、舌でねぶる。執拗なまでに舐めまわす。

「あっ…あん…ふぁ…んっ…」

舌の動きを変える度、アンジェリークの上げる声も、微妙にその色合いを変える。

唇を一旦離してみれば、愛らしい薄紅色の乳首は吸われたことで、より固く尖り、濃い紅色に色味を増していた。何より自らの唾液に濡れて光る様が、なんとも淫らに妖しく、より一層の愛撫を誘わずにはおかない。

オスカーは乳輪ごと口に含むと、むきになったように激しく、力強く、乳首を舌で上下左右に弾き、同時にもう片方の乳首を指先でくりくりと捻り、指の腹で先端を撫でさする。時折、捏ねるように荒々しく、乳房全体を揉みしだく。

「あぁん…んっ…せんぱ…」

乳首に舌を絡ませる度に、アンジェリークの小さな手が闇雲にオスカーの背中を這いまわる。その手の動きが何かもどかしい。

「オスカーだ、お嬢ちゃん、ちゃんとオスカーと呼べたら、もっと気持ちよくしてやるぜ?…」

注意を促すように、乳首の根元に軽く歯をたて、そのまま歯先を滑らせて乳首をしごくように愛撫する。

「あぁっ…噛んじゃだめ……」

「いい…の間違いだろう?お嬢ちゃん。お嬢ちゃんのおっぱいは、こんなに硬く乳首を尖らせて、喜んでいるぜ…」

「んっ…だから…気持ち良すぎちゃうから…もっとしてって言いたくなっちゃうから…」

「ふ…かわいいな、お嬢ちゃんは…いいんだ、もっと…欲張りになって…さ、どうしてほしい?お強請してごらん」

誘うように、促すように、乳首をきつく吸い上げる。

「あんっ…うれし…オスカー…なら、私も、私からもオスカーに触れたい…もっと…オスカーを素肌で感じたいの…だから…」

アンジェリークは潤んだ瞳で、悩ましげにオスカーを見上げ、こう訴えた。触れてほしいではなく、自ら触れたいという言葉と共に、アンジェリークの手が、ぎこちなくオスカーのシャツをつかみ、もどかしげにボタンをはずそうとしはじめた。

「ああ、すまない、俺としたことが…」

アンジェリークに触れたいと思うあまり、やはり、気が急いていたのだ、と、オスカーは自身を省みた。自身の着衣は一切緩めることなく、アンジェリークのみをほぼ裸身にしてしまっていたのだから。つまりは、一方的に求め、一方的に愛していたということだ。これでは互いに肌の温みを交換しあう、というわけにはいかない。

オスカーは僅かに身を起こし、乱雑なまでに手早く自身の着衣を取り去って放りだし、改めて己の裸の胸にアンジェリークをかき抱いた。

アンジェリークが心から嬉しそうな笑みを浮かべ、オスカーの胸板に頬を擦り寄せた。

「うれしい…オスカーに、こうして直に抱きしめてもらうの、好き…オスカーに包まれてるみたいで、とても幸せで、でも、すごくどきどきして…」

アンジェリークは真摯に、自ら俺に触れたい、俺の肌を自分の肌で感じたいと訴え、その喜びを率直に示してくれる。一方的に愛されることに甘んじないアンジェリークの愛情深さ、細やかな誠意が、オスカーの胸を熱い喜びで満たす。互いに、惜しみなく求めあい与えあってこそ、情交はこの上ない喜びをもたらし、心満たすものになることを、アンジェリークは、いつも、自然に俺に教えてくれる、誠実にして豊かな愛情をもって。

「お嬢ちゃんは、かわいすぎる…こんなにも俺を欲し、求めてくれて…」

「だって、オスカーを全身で感じたいの、オスカーの肌を、ぬくもりを、オスカーの匂いも何もかもこの肌で感じたい…私、欲張りなの、こんなに愛してもらってるのに…私からもオスカーに触れたい、抱きしめたい気持ちが抑えられない…」

アンジェリークはオスカーの背に腕を回すと、己が身をぴたりと添わせるようにオスカーを抱きしめ、はにかみながらオスカーの胸元に口づける。

「っ…かわいすぎる…かわいすぎるぜ、お嬢ちゃん」

ああ、まったく…抱けば抱くほど虜になる、肌を合わせ重ねる程に、俺は君に溺れる、それが、また心地よくてたまらないんだ。

オスカーは噛みつくようにアンジェリークに口づけ、彼女を懐に抱き抱えたまま、自らの体を倒す形でベッドに横たわった。

そのまま闇雲に素肌のそこここに口づけを繰り返し、舌を這わせる。手は乳房を捏ね、乳首を摘み転がす。

「お嬢ちゃんこそ、どこもかしこも、すべすべで、柔らかくて、いい匂いがする…食っちまいたくなる…」

言いながら、乳房の麓から先端へと舐めあげ、乳首全体を舐めまわす、軽く噛み、吸い、しゃぶる。

「あぁ、美味いぜ、お嬢ちゃんのおっぱいは…たまらない…」

「やん…恥ずかし…でも、嬉し…あぁん…」

執拗なまでに乳房をねぶりながら、オスカーは未だ残っていたレースのショーツに手をかけ、一気に引き下ろそうとして、次の一瞬、その手をとめた。それは、両脇がリボン結びの愛らしいデザインで…つまり、リボンを解けば1枚布に戻ってしまうものだとわかったからだ。

オスカーは1度ショーツにかけた手を外し、アンジェリークの背に回すと、華奢で柔らかですべらかなその身を、思い切りきつく抱きしめた。

「は…」

それこそ息もできぬほどに抱きしめられ、アンジェリークが、少し、切なげに息をこぼす。

オスカーはすぐさま腕の力を緩めーしかし、抱擁は解かず、両腕でやんわりと包むように彼女の抱いたまま、彼女の甘い香りを胸いっぱいに吸いこみながら、首筋、鎖骨のくぼみ、乳房の先端へと、流れるように唇を滑らせていく。オスカーの唇は、アンジェリークの乳房の稜線をなぞり、そのままなだらかで滑らかな腹部へ、きれいなS字を描くウエストへと、極自然に滑っていく、そして、綺麗に張り出した腰のラインを唇で撫でさすりながら、ショーツをショーツたらしめている絹のリボンを口の端に咥え、くいっ…と引っ張って、それをただの布に戻した。唇を押し当てる肌が乳房から腹部へと移っていくにつれ、オスカーの腕も自然に下がっていき、彼女の腰回りを抱く形になっていたので、オスカーはそのまま、彼女の腰の下に手を差し入れて、小さなレースの1枚布を恭しく取り去る。布はすでに、露を含んで、しっとりとした重みを増していた。はかなげのレースの下のほわほわとした金の繊毛から、熟した果実と花の香の混じったような、甘く芳しく、オスカーを酩酊させる香りが立ち上る。

誘われるように、手を股間に差し入れてみる。

オスカー自身の体躯も少しづつ、自然に下方にずらしていた。その間に、やはり、自然な流れで、アンジェリークの膝頭を己の膝で割って、足を交差させてあったから、無理な形で彼女の足を開かせるようなことはしない。が、オスカーの手を感じると、アンジェリークは、おずおずと、でも、待ちかねたように、自らも足の力を緩めた。一刻も早く触れてほしい、でも、気恥かしい、そんな気持ちがせめぎ合っている様子が手に取るようにわかり、オスカーの胸に愛しさがこみ上げる。

ふっくらとした花弁の表面を、揃えた指の腹で、すっと撫であげると、それだけでとろりとした蜜が指先にまとわりついた。

「お嬢ちゃん、もう、滴るほど…溢れるほど濡れてるぜ」

オスカーは、蜜の助けを借りて、花弁の表面に指を滑らかに行き来させる。花弁の弾力を楽しみつつも、指は表を撫でさするのみで、奥へはまだ分け入らない。襞の奥までかき回したくとも、この蜜を思い切り味わいたくとも、今は、まだ堪える。

「あぁ…オスカー…」

アンジェリークが焦れたように、腰を蠢かした。

「もっと触ってほしいか?お嬢ちゃん」

オスカーは僅かに指の先で、花弁を割り、ゆっくりと指を前後させた。アンジェリークの腰が小さく浮きあがる。何かをせがむように。

「ん…いっぱい、いっぱい触って…ずっと、触ってほしかったの、オスカーに…」

「ああ…俺も、君に触れたかった…触れたくてたまらなかった…」

オスカーは、ゆっくりと動かしていた指をいきなり根元まで、ぐっと飲み込ませた.

彼女の中はとろりと濃厚な愛液に満ち、オスカーの指を溶かさんばかりに熱い。肉襞は、ぬめぬめと妖しく、オスカーの指にまとわりついてくる。その感触を楽しみながら、指で中をかき回す。

同時に、もう片方の手で花弁の奥の花芽を探りあて、肉の錘を指先で転がした。無論、指には彼女自身の蜜をたっぷりとまぶしてある。

「ひぁんっ…」

小鳥のさえずりのような嬌声と共にアンジェリークの腰が別の生き物のように跳ねた。オスカーは己が体躯で、彼女を抑え込みながら、秘裂に指を抜き差し、肉襞をかき回し、肉壁を指の腹で擦る。特に腹側のざらついた部分を狙って擦りながら、揺れる乳房の先端を唇でとらえて挟み込み、きつく吸い上げる。アンジェリークのあげるさえずりが、だんだんと小さな悲鳴のようになっていく。恐らく無意識にであろう、彼女の秘裂は、オスカーの指が媚肉をかき回し、中で蠢くほどに、お返しのように、きゅっと締めつけてくる。同時に、内部から噴出といっていい程の勢いで、愛液が豊かにあふれ出てくるのが、手指にわかる。愛液の助けを借りて、アンジェリークの中で、オスカーの指はますます自在に動ける。わざわざ指先に掬ってまぶそうと意図せずとも、豊かな愛液は肉芽を弄っている片手も十分にうるおしてくれる。指先で花芽を軽くつまんで捻るように愛撫しながら錘の先端で指を回す。と、莢の中で、肉の珠がくっきりと痛い程に屹立しているのが、指先に感じられた。

この豊な愛液で唇をうるおしたい、健気に、触れてほしそうに立ち上がっている肉の珠を、一刻も早く、思い切り、愛撫してやりたい。

オスカーは、1度上体を起こすと、アンジェリークの膝頭をつかんで思い切りよく脚を開かせ、蜜をしとどに滴らせている花弁に、顔をうずめた。舌で合わせ目を割るように丹念に舐めあげ、花弁を唇で食み、とがらせた舌を秘裂の奥に差し入れる。舌を幾度も抜き差ししては、押しだされた愛液を、音をたてて啜る。

「あぁぁっ…はっ…あっ…オスカー…オスカー…」

「舐められるのは好きか?お嬢ちゃん…」、

「ん…好き…オスカーの唇も舌も、熱くて、柔らかくて…気持ちいい…」

「ああ、かわいいな、お嬢ちゃんは…もっと気持ちよくしてやりたい…」

オスカーは鼻先で器用に花芽の莢を剥く。濃い紅色の肉珠が顔を覗かせた。珠はつやつやと濡れ光り、痛いほど張り詰めて、オスカーの愛撫を待っている。早くこの唇で触れてくれ、舌で舐ってくれと強請っているようだ。いじらしく、健気で、たまらなくかわいらしい。

「お嬢ちゃんのここも…はちきれんばかりに膨らんで…早く触れてと言わんばかりだ…」

形のいい鼻の天辺で肉珠の先端に触れたまま囁くと、肉珠には熱い吐息がかかり、舌も今にも触れそうでー無論、オスカーは意図してやっているーアンジェリークの身が細かく震えた。

「や…オスカー…意地悪しないで…早く…キスして…」

「ああ…いっぱい口づけて、いっぱい舐めてやろう…この愛らしくも美しい紅玉を…」

オスカーは誘われるままに、愛情込めて、肉珠の先端に口づけ、根元ごとそれを口に含み、含んだまま、舌先ではじき、転がした。

「ひぁああんっ…あっ…あぁっ…」

オスカーは肉珠の根元に舌を回し、全体を舌先でつつき、舐めまわし、ちゅっと先端を吸った。

「あぁっ…やぁっ…」

そのまま唇を鳴らして、ちゅくちゅくと愛しげに珠を吸う、優しく丁寧に執拗なまでに舌を上下左右に回して、肉の珠をしゃぶる。舌に感じるそれは、オスカーが舌を回す程に硬さを増して、痛々しい程に張り詰めている。その硬い弾力が愛しくて。舐める程に更に溢れて敷布をぐっしょり濡らしている愛液の豊かさも愛しくて。

オスカーは剥き出しにした肉珠を舌で間断なく転がし、秘裂の奥にまで中指を呑みこませては肉壁を擦り、時折、手をのばして、やはり固く尖りきったままの乳首を指先で摘んで捻り、指の腹で天辺を撫でた。

舌での愛撫だけでは単調になるかと思い、時折、唇を離して、肉珠の先端に触れるか触れないかといった微妙な加減で指を回しもする。アンジェリークの身体が劇的なまでに、跳ねる。

「ひぁあっ…だめ…もう…いいの…気持ち良すぎて…あぁんっ…も…も…許して…」

アンジェリークは、幾度か小さく気をやっているようだった。時折、小さな震えが、オスカーの身体に伝わってきていたから。その震えも、悩ましく切なげな声も、オスカーを煽る、啜る愛液の香りも一層強く深くなるようで、オスカーをたまらない気持にさせる。自身はすでに痛いほど張り詰めて、先走りをにじませている。本当は、先からずっと、一刻も早く彼女の中に入りたい、力いっぱい自身を打ち込み、そして、彼女に隙間なく包まれ、溶けあいたい、そんな想いがオスカーの胸を灼いていた。

それでも、オスカーががむしゃらに逸らずにいたのは、アンジェリークが本当に欲しくて欲しくてたまらなくなった時に思いきり、力いっぱい貫き、満たしてやりたい、それが、彼女にとっても深い快感になるはずだからだ。意地悪で、ぎりぎりまで追い詰めたいのではない…と自分では思いたい、心の底から、我慢できないくらい強く激しく彼女に求められたい、という欲望も、無論、否定はしないが。何より、互いが互いを欲っして、今にも心が焼けただれてしまう、もう焼き切れてしまいそうだというその瞬間に、与えあい、一つにつながって、溶けあえるのなら…それは何にも代えがたい喜び、至福となろう。これ以上はないほど強く深く激しく互いを求めあい、求める気持ちが頂点に達した時、互いを与えあう、これ以上の喜びがあろうか、と、オスカーは思う。そして、今がその頃合いだと、アンジェリークの反応が、自分の欲望が告げていた。

「お嬢ちゃん、俺も、もう、君が欲しい、欲しくてたまらない…」

オスカーは、アンジェリークの花弁を掌で焦らすようにもみつつ、指の腹で肉珠の先端を極軽くタッピングしながら、熱い吐息混じりの声で告げる。そして「君はどうだ?俺が欲しいか?」と問いを発するより先に、アンジェリークが

「私も…私もオスカーが欲しいの…お願い…もう…」

『来て』という形にかたどられた唇を見、オスカーの心は、瞬間、情欲に沸騰した。

熱に浮かされたような頭で、それでも避妊具はきちんと手早くつける。

アンジェリークの脚を恭しい手つきで、だが思い切りよく大きく開かせる。アンジェリークが待ちわびたように、じれたように、腰を僅かに浮かす。オスカーはその機を過たず、己が体躯をその間におくや、彼女の花弁を一気に最奥まで貫いた。

「あぁあっ…」

そのままの勢いで彼女の上に倒れこむように覆いかぶさり、その身をきつく抱きしめる。

「んっ…ふぁっ…」

間髪入れず、小さな悲鳴のような嬌声をあげかけた唇をふさぐ。舌をむりやりのように捻じ込む。そのまま勢いに任せて抜き差しを繰り返す。

「んんっ…んふぅ…」

体を密着させたままのストライドは小刻みで素早い、その早い動きで奥を突く度に、アンジェリークがくぐもった吐息を零す、その吐息の全てをのみこむような激しい口づけはそのままに、オスカーは、律動も緩めない、否、緩められない。

秘裂は溢れ変える愛液で潤み切っており、滑らかなことこの上なく、いくらでも強く早い律動が可能だから、これでもかと、動きたくなる。容赦なく叩きつけたい気持ちが募る。なのに、オスカーの遠慮のない律動を受けとめるアンジェリークの媚肉はどこまでも柔らかく優しく、温かい。なので、オスカーは却って煽られる。嗜虐的な気持ちが頭をもたげ、更に惨いほど激しく深く、己を突き立ててみたくなる。

「ふぁっ…あぁんっ…」

アンジェリークが息苦しさに耐えかねたのか、口づけを解く。その呼気は火を宿したように熱い。

オスカーは、もう、無理にその唇をふさごうとはしなかった。これを機に上体を起こし、アンジェリークの膝頭をつかむと、その脚をきつく折り曲げた形で彼女の身に押し付け、抑えつける、その反動で、アンジェリークの腰が若干もちあげられるように上向きになる。その、己に向かって開かれた潤びた花弁を、穿つように、オスカーは容赦なく男根を突き立てる。

「ひぁあっ…」

アンジェリークが甲高い悲鳴にも似た嬌声をあげて、白い喉をさらした。反射的にその首筋に口づけ、軽く歯を立て、縦横に舌を這わせて唾液の跡を新たにする。無論、リズミカルな腰の動きはそのままに。

「あっ…あぁっ…ふぁっ…」

思いきりよく自身を奥めがけて突き立て、突きあげる度に、アンジェリークが悩ましくも切なげな、でも悦びも感じさせる声をあげる、アンジェリークの肉壁も、きゅうきゅうと絞りこむようにオスカーの肉茎全体を隙間なく包みこんでくる。アンジェリークの媚肉は、男根の何分の1の太さしかない指にすら締め付けを感じさせるほどの弾力に富む、が、アンジェリークの秘裂は、ただ、きついとか、狭いのではない、青硬さは微塵もなく、限りなく柔らかくこの上なく優しくオスカーの全てを密に包み込んでくる、その媚肉は豊かな愛液で熱く潤び、潤み切っている。とろりとして温かく溢れるほど豊かな愛液はまさに豊穣の極みであり、そのまま、アンジェリークがオスカーを欲する思いが泉のごとく溢れていることを示している。彼女の豊かな愛液が、きついほどの弾力を、この上ない快楽にしてくれる。自ら絡みついてくるような柔襞も、アンジェリークがオスカーを強く欲し求めてくれている証に思える、その柔襞を雁首でこそげとるように、掻きだすように引きぬいては、返す刀ならぬ男根で、肉壁を激しく擦りあげざま、先端で最奥を叩く。

「あぁっ…やっ…すご…はげし……」

「気持ち…いいか…?」

「んんっ…いい……いいの…ぁっ…」

「ああ、もっともっと気持ちよくしてやる、よくしてやりたい…」

オスカーはアンジェリークの手をとり、彼女の脚を自分で支えさせると、彼女の手の上に自身の手を重ねて、アンジェリークを激しく揺さぶりつつ、力強くスピードのある律動を放った。

「あぁっ…や…すごい…すごい擦れて…奥まで来る…」

「お嬢ちゃんの中も…たまらなくいい…柔らかくて、きつくて、熱くて…」

「オスカーも…オスカーのも熱い…苦しいくらい…大きくて…も…私いっぱい…オスカーでいっぱいで…もう…弾けちゃう…」

「なら…一緒にいくか?」

「ん…一緒がいい…一緒がいいの…」

いじらしい言葉に、彼女への愛しさが更に募る。

オスカーはアンジェリークの乳房を乱暴なほど強く揉み、これでもかと言わん勢いで、がむしゃらに腰を打ちつけ、思いきり引き抜く。雁首がめくりかえされ、狂おしく鋭い快楽が背筋から脳天へと駆け上がり、つきぬけていく。頂点まで、解放まで、あと少しで、たどり着いてしまう、もう、長くはもたない。ここまできたら、一刻も早く駆け上がってしまいたい、アンジェリークもたぶん、そう望んでいる、下手な引き伸ばしは、むしろ、苦痛になるだけだ。

「いく…ぜ」

「来て…来て、オスカー…あぁぁっ…」

「くっ…」

アンジェリークの媚肉がぐぅっとせりあがるように蠕動し、震えるようにわなないた。ほぼ同時に、オスカーも自身を解き放った。

目のくらむ、閃光のような快楽が爆ぜて、迸る。とてつもない開放感と共に、小刻みに震える腕の中の存在への愛しさも頂点に達する。

オスカーはアンジェリークの眦にうっすら滲んでいた涙をなめとり、優しく髪を梳き、撫でてから、両手の指と指とをからめながら、アンジェリークに限りなく優しくキスをした。

 

彼女の中にいつまでもとどまっていられないのが、少し物足りなく、寂しい気もする。が、オスカーはすぐさま自身を引き抜き後始末をした。きちんとした避妊は男の誠意であり、何より、女性に安心感を与える。安心できない状況でのSEXではー妊娠の可能性をおののきながらの情事で、女性は快楽に酔いきれないし、愛する女に快楽を極めさせてやれないSEXなど、しない方がましだ。その気構えのないやつは、女性に迷惑をかけないよう、自慰行為に耽るがいいとオスカーは思う。

愛する女に喜んでもらうこと、快く幸せを感じてもらうことこそが、セックスの喜びだー自分の肉体的快楽はあくまで副次的なものでーと、オスカーは思っている。だって、アンジェリークとの情事は、いつも、この上ない幸せ、恐いほどの満足感と充実ー無論それに比例した快楽もーを、オスカーにもたらし、与えてくれる。彼女を知る前の情事や自慰行為などとは比べものにならないー射精の快感自体は、そう違いはないはずなのにだ。それは無論、彼女がとりわけ素晴らしい存在であるから…と、同時に、心から愛する愛しい女に、自分が快楽を極めさせてやれた、これ以上の喜び、これ以上男の自尊心を満たすことは、そうそう他にないからだ。逆説的だが、愛ゆえの無私の精神こそが最大極上の快楽と充足を男にもたらす。利己的で自分勝手な排泄だけの行為を快感だと思っているおろかものは、その「快感」がいかにお寒く、貧弱で、惨めなものか、わからない哀れな存在だとオスカーは思うー自業自得なので同情には全く値しないが。

ただ、今の情事ではオスカーはそれほど凝った体位はとらなかったー取る余裕がなかったというのが正直なところだ。射精までの時間もそう長い方ではなかったと思う。が、久方ぶりの情交で、アンジェリークの身体も反応も素晴らしすぎて、とても、長時間堪え切れるものではなかったし、何より、アンジェリーク自身も、かなり燃えていた。2人で溶けあうような喜びの極みを目指し、まっしぐらに、思い切り疾駆するのは、本当に楽しく心地よかった。彼女の中にとどまっていられないなら、その分後戯として、ベッドの中で、存分にいちゃいちゃべたべたすればいい。俺もそうしたいし、アンジェリークも喜ぶだろう。なにせ、アンジェリークと過ごす週末は始まったばかりだ。彼女にせねばならない話もあるのだが、これから凡そ40時間くらいは一緒にいられるだろうから、焦ることはない。まずは、彼女と思う存分、愛を確かめあわねば、自分の方が落ち着いて話もできないしな。

そんなことを思いながら、オスカーはアンジェリークを己が胸にそれはそれは大事そうに抱きよせ、その髪に口づける。

「かわいかったぜ、お嬢ちゃん。久方ぶりのデートなのに、俺の部屋に直行しちまってすまなかったな、でも、俺は、お嬢ちゃんが欲しくて、もう、一刻たりとも待てなかったから…あそこでお預けを食らってたら、俺は、どうにかなっちまってた…礼を言うぜ」

アンジェリークがとろんと蕩けるような表情で、嬉しさを隠しきれぬ様子でオスカーの汗ばんだ胸板に頬を擦り寄せてきた。

「そんな、オスカー、私の方こそ、早く二人きりになりたい、オスカーに触れたい、触れてほしいって思ってたから、嬉しかった…まっすぐにオスカーの部屋に…そのままベッドに連れていってくださって…きゃ…」

アンジェリークが照れてオスカーの胸に顔をうずめる。そんなアンジェリークの髪から背を、オスカーは大きな手でゆっくりと撫でる。

「ああ、お嬢ちゃんは、いつでもかわいいが、今日はいつも以上に、情熱的で敏感で、最高に素敵だったぜ」

「恥ずかしい…私、すごく夢中になっちゃって…とろとろに溶けちゃうかと思うほど、気持ちよくしていただいたから…やん…」

「俺もさ、お嬢ちゃんの中が良すぎて…いや、お嬢ちゃんの何もかもが素晴らしすぎて…正直、お嬢ちゃんの中にずっととどまっていたいくらいだ…お嬢ちゃんは、暖かくて、柔らかくて、とろとろで、きゅうきゅうで、いい匂いがして…何より、俺が触れると素直に悦んでくれるのが、俺もうれしくてならないから…」

「だって、オスカーに触れてもらうと、本当に幸せなの、気持ちよくて、ドキドキして、胸が熱くなって…好き…大好き、オスカー」

「俺もだ、愛してるぜ、お嬢ちゃん」

キスを交わしながら、オスカーは、アンジェリークにある提案、というよりは彼女への頼みごとへと考えを巡らせた。いつ、どのように切りだしたものか、思案のしどころだが、とりあえずは、こう尋ねてみる。

「さて、お嬢ちゃん、少し休んで落ち着いたら、せっかくのデートだし、2人でどこか行きたいとか、何かしたいことはあるか?」

アンジェリークが、今日のデートをとても楽しみにしてくれていたのは、オスカーにもよくわかっていて、それはとても嬉しいことだ。ただデートに期待するものが男と女では、少々異なる、ということも、オスカーは経験則から知っている。男であるオスカーはせっかくのデートなら、ただひたすらに2人で親密な時間を持ちたいと思う。限られた時間しか一緒に過ごせないからこそ、一緒にいられる間中、ずっと裸で抱き合い、ふれあい、温もりを交わし合っていたいと思う。彼女を愛しているからこそ、そうしたいと思うのだ。しかし、女性は違う。外に出かけて、SEX以外のイベントを2人でこなすことが女性には重要らしいのだ。そして、オスカーは、独善的な男ではないし、何より、アンジェリークの望むことは叶えてあげたいと思う。彼女にしたい話はあるが、いますぐにと急ぐ必要もない、アンジェリークがしたいこと、行きたいところをまずは優先だ、とオスカーは考えた。

が、アンジェリークはこう応えた。

「いえ、あの、オスカーに会える、2人きりになれるって考えたら、それだけで嬉しくて頭がいっぱいで、正直、何をしようとか、どこに行こうとか、考えてなくて…ごめんなさい。私は、こうして、オスカーの肌を感じて、オスカーの温もりとか匂いに包まれてる時間が1番幸せだから…でも、オスカーはそれじゃ、つまりませんよね?せっかくの貴重なお休みだもの、オスカーのしたいこと、しましょうよ。普段のオスカーは勉強でお忙しいから…体を動かしたいんじゃありませんか?スポーツジムに行きます?それとも馬に乗りにいきましょうか?」

「君と2人でいることが、つまらないなんて、絶対にないさ。ジムには先週行ったし、それに…全身運動なら、今、したばかりじゃないか」

オスカーは苦笑しながら、アンジェリークの額にちゅと口づけると、オスカーの言葉を解したアンジェリークの頬がかわいく上気した。

「むしろ、貴重な休みだからこそ、俺も君と思う存分、触れあっていたいと思ってた、君の門限まで、ずっとこのベッドの上で過ごしたっていいと思ってるぜ?」

「んもう、オスカーったら…あ、なら…今、ちょっと、おしゃべりしてもいいですか?オスカーにちょっと、聞いていただきたい話っていうか、オスカーの意見を伺いたいなって思ってる話があるんですけど…あ、もしかしたら、大したことじゃなくて、私が神経質になってるだけなのかもしれないんですけど…」

「どうした?お嬢ちゃん?」

少し逡巡しているのか、頭の中で言葉を探している様子のアンジェリークの肩をオスカーは我知らずしっかと抱きよせ、懸念顔で、彼女の顔を覗き込んだ。その時、オスカーの脳裏に、あの得体のしれない留学生の姿がなぜか、浮かび上がった。自分も彼女に話したいことがあったが、それよりは、彼女の懸念をはらしてやるのが先だと、オスカーは考え、アンジェリークの言葉を待った。

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