光輝の虜囚 2                                              

「うるさい唇だ・・」

そうつぶやくと、再度己の唇で、アンジェリークの唇をふさぎ、アンジェリークを抱きかかえたまま、

仮眠用のベッドがある続きの間に入っいった。

ベッドに投げ出すように、アンジェリークを降ろすと、逃げる隙を与えぬよう、全身でアンジェリークに覆い被さる。

アンジェリークの両手をひとつに束ね、片手でやすやすと、ベッドに縫い付けるように押さえる。

もう片方の手は乱暴にアンジェリークのブラをたくし上げ、白い乳房を露にして激しく揉みしだく。

唇はアンジェリークに噛みつくようなキスを繰り返す。

細い指が、アンジェリークの乳房の先端を捉え摘み上げると、アンジェリークの体がクラヴィスの下でがびくりと震えた。

そのまま、指で先端を転がすように、愛撫する。アンジェリークの白いのどがのけぞり、胸元に刻まれた紅い跡がはっきり見える。

他人の所有のしるしを見せ付けられたクラヴィスは、さらに強暴な思いに突き動かされる。

このしるしを全て、自分の物に、塗り直したい、自分だけの刻印を、彼女の肌に刻み付けたい。

アンジェリークの唇を開放すると、クラヴィスはアンジェリークの首筋から鎖骨のくぼみ、白い胸元のそこかしこに

唇を押し付け、強く吸い上げた。

「いや・・やめて・・クラヴィス・・・なんで、こんな・・・」

アンジェリークが力なく、抗議する。クラヴィスから顔を背け、ぎゅっと閉じた瞳には涙が滲んでいる。

「なぜ?わからぬか?わたしはいつもおまえのことを見ていた・・・おまえのことを考えていた・・気付かなかった筈はなかろう・・・」

そう、クラヴィスはいつも、アンジェリークに気遣わしげな、それでいてやるせないような視線を投げかけていた。

アンジェリークはそれに気づかない振りをしていただけだ。女王然と振るまうことで、クラヴィスの思いを跳ね除けていたのだ。

しかし、いま、女王の仮面は剥がれ落ちてしまった。ここにいるのはただの女だった。

クラヴィスの唇が薄紅色の先端を口に含んだ。

「あっ・・・・」

クラヴィスの口中で、そこがみるみる硬くたちあがって行くのがわかる。

クラヴィスは、その弾力を楽しむかのように、舌先でつつき、転がし、吸い上げる。

アンジェリークは声をあげないよう必死に唇をかみ殺し、その感触に耐えているが、

紅潮したほほの色でその感触を決して不快と思っていないことがわかる。

休日ごとに、ジュリアスとオスカーの2人から快楽の何たるかを徹底的に叩きこまれている体は、

与えられる愛撫を、素直に快楽として受けとってしまう。

抗議の声より、悦びの声をあげてしまいそうで、口を開くことができない。

両の乳首を交互に嬲りながらクラヴィスは片手を下腹部に伸ばし、下着の上から秘裂にそって指を滑らせた。

アンジェリークの体が、びくりと跳ねる。

そこは、下着の上からもわかるほど、潤っていた。

アンジェリークの反応に薄笑いを浮かべ、クラヴィスは、下着を一息に引き剥がすと、秘唇に指をあてがう。

つぷりと指がのみこまれ、愛液が絡み付く。

愛液を秘唇全体に伸ばすように、指を上下させ、花芽を探り当てると、そこに愛液を塗りたくるように指を動かした

「ああああっ!」

その刺激に耐えきれず、アンジェリークが声をあげる。

クラヴィスの指の動きにあわせて、花芽もかたくしこり、愛液があとから、あとから溢れだす。

クラヴィスはわざと大きな水音をたてて、アンジェリークの花芽をすりあげる。くちくちと言う音がアンジェリークの耳にはいるように。

「ふっ・・こんなに濡れて・・・、自分の蜜の音が聞こえるであろう?・・おまえがこんなに淫乱だったとは・・・な?」

アンジェリークは硬く瞳を閉じたまま、頭を振った。自分の心とは裏腹に反応してしまう体が恨めしい。

クラヴィスに与えられる快楽に体から力が抜けてしまい、もう、抵抗する気力も無い。

その様子を見て取ったクラヴィスは、それでも、アンジェリークが正気を取り戻さぬよう、指で愛撫を続けながら、

自分の長衣を手早く脱ぎ去り、アメジストのサークレットをはずした。

そして、アンジェリークにもう一度覆い被さると、今度は己の舌を秘唇に這わせた。

「んんっ・」

アンジェリークが、自分の手を噛んで、声を押さえようとしているのを見て、クラヴィスはアンジェリークの手を払いのけた。

「だめだ・・・自らが快楽に溺れる姿に目を背けるな・・そして、あの2人にどんな声を聞かせているのか、教えてもらおう・・・」

そして、アンジェリークの手を自分の体で押さえ込むと、秘裂に激しく舌を抜き差しし始めた。

時折、愛液を全て吸い取ろうとせんとばかりに、激しく吸い上げる

指は花芽を縦横に嬲り、はじき、摘み上げる。

あまりに強い刺激に、アンジェリークが途切れ途切れに、切ない声をあげる。それはまるで悲鳴のようだ。

「あああっ!!いやっ・・・・ああ・・・んん・・くぅっ・・・」

押さえようとしても自然と声がもれ、体はうっすらと紅く染まり、腰が淫らに揺れ動くさまはクラヴィスを誘っているかのようだった。

クラヴィスは痛いほど張り詰めている己を感じていた。

アンジェリークの嬌態に、我慢も限界に近づいていた。

クラヴィスはアンジェリークの膝を立たせ、自分の体を膝の間に割り入れると、ゆっくりと己を突き刺して行った。

「あっ・・や・・・」

一瞬、逃げようとするアンジェリークの腰をしっかりと押さえつけ

アンジェリークの内部を味わいながら、じわじわと、己を奥に推し進めて行く。

アンジェリークの中に己を根元まで飲み込ませ、クラヴィスは、深い息をついた。

アンジェリークの中はきつく熱く、それでいて柔らかくクラヴィス自身を包み込み、クラヴィスを溶かそうとする坩堝のようだ。

アンジェリークとひとつになった悦びにクラヴィスはめまいを覚えた。

「ああ・・・アンジェリーク、愛しているのだ・・この時を何度夢見たことか・・・・」

「・・・ジュリアスさま・・・オスカーさ・・・」

アンジェリークが瞳をぎゅっと閉じて、顔を背けたまま、消え入るような声でつぶやいた。

アンジェリークが漏らした一言に、クラヴィスはかっとなって、アンジェリークを激しく責め始めた。

アンジェリークの腰を持ち上げるように引き寄せ、深々と己を突き刺しては引きぬく。

「なぜ、あんな者の名を呼ぶ!あの者らは、おまえに愛も誓わず、おまえの体を2人して弄んでいるだけではないか!」

アンジェリークの最奥を容赦無く突き上げながら、叫ぶように、アンジェリークに問いただす

アンジェリークはクラヴィスの突き上げに翻弄されながらも、苦しげな息の下でクラヴィスを見あげて答える。

「んんっ・・ちが・・悪いのは・・わたし・・・あのお2人がわるいんじゃ・・な・・・ああぁっ」

「なぜ、なぜ、あの者らをかばうのだ!私なら、私だったら、おまえにあのような悲しい瞳はさせぬ!

おまえ一人を愛し、永遠に慈しんでやろうものを・・・・」

「ん・・選べなかったのは・・わたし・・・だ・・から・・・。お2人の・・・手を・・どち・・らも・・離せなかっ・・・くぅっ・・」

そう、アンジェリークにはわかっていた。今の状態を招いたのは自分であることを。

ジュリアスとオスカーの2人に手を差し伸べられたとき、一人を選ぶこともできたのだ。

しかし、彼女にはそれができなかった。

2人のうち、どちらを選んだとしても、もう一人の愛は永遠に失う。

選ばなかったほうに、嫌われるのが、怖くて、嫌で、曖昧な態度をとった結果なのだ。

そしてその間に彼女は変わった。変えられていった。

まばゆい光に、目はくらみ、燃え盛る炎に焼き尽くされ、もう自分一人ではたっていることもままならない。

純白の翼は、光と炎の色に染めあげられ、もはや、飛び立つちからは残されていない。

「しかし・・おまえはそれでいいのか?私にはおまえがしあわせそうには、見えぬ・・・・」

アンジェリークを貫きながら、クラヴィスの瞳は涙を流していた。

「クラ・・ヴィス・・泣いて・・いるの?」

アンジェリークは、不思議そうにクラヴィスのほほに手を伸ばした。

クラヴィスはアンジェリークが自分のほほに触れるまで、自分が泣いていることに気づいていなかった。

アンジェリークはクラヴィスの涙を自分の手でやさしく拭い去った。

「私のために・・泣かないで・・クラヴィス・・・私はいい・・・の・・今の・・ままで・・」

「今からでも、遅くない・・私の手を取ってくれ・・アンジェリーク・・・」

搾り出すようなクラヴィスの言葉が、クラヴィスの慟哭にも似た思いをアンジェリークに伝える。

だが、アンジェリークは、ふるふると、首を横にした。

「だめ・・私はもう・・・あのお2人がいないと・・あのお2人を愛しているの・・・」

「アンジェリーク・・」

やりきれない思いをぶつけるかのように、クラヴィスは、腰を激しく打ちつけた。

アンジェリークの細い足首をつかんで足をたかだかと持ち上げ、さらに深く己を埋め込む。

最奥を激しく突き上げられ、アンジェリークは乱れた。

「ああああっ!!だめ・・そんな・・あっ・・あっ・・・くうぅっ・・・ん」

「今だけでいい・・私の名を呼んでくれ・・・」

クラヴィスが苦しげな表情で、アンジェリークに懇願する。

「あああっ・・んん・・ク・・ラヴィス・・・クラ・・・ヴィス・・・」

「ああ、アンジェリーク・・愛している・・愛しているのだ・・・」

クラヴィスは切なげにつぶやくと、溢れ出す思いそのままに、アンジェリークに唇を重ねた。

舌をさしいれると、アンジェリークが舌を絡めてきた。夢中になって、その甘い舌をむさぼる

腰の動きをさらに早め、アンジェリークを高みに追い詰める。

締め付けのきつさに、クラヴィスの眉が顰められる。アンジェリークももう、声が声にならない

「ああっ・・クラヴィ・・ス・・お願い・・わたし・・わたし・・もう・・・ああああっ!」

「くぅっ・・・アンジェリーク・・・」

クラヴィスがアンジェリークの中で、情熱をほとばしらせた。

その瞬間、アンジェリ―クはクラヴィスの闇のサクリアが体いっぱいに広がって行くような感触を覚えた。

しかし、それは決して不快なものではなく、むしろ・・

クラヴィスのアンジェリークに対する、愛しさ、せつなさ、哀れみの気持ちに満ちあふれ、

アンジェリークに安らぎをもたらしたいというクラヴィスの願いが感じ取れた。

クラヴィスの思いを受けとめ、アンジェリークの両眼から、涙がどっとあふれ出た。


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