ジュリアスは指でそろそろと、アンジェリークの秘唇を押し開いて行った。
秘裂の入り口がはっきり見えるように、幾重にも重なる襞をかき分けて行く。
明るい陽光のしたで、アンジェリークのここをしげしげと眺めるのは、はじめてかもしれぬ、とジュリアスは思う。
アンジェリークは横を向いて目を閉じたまま、自分の膝をジュリアスに言われたとおり大きく開いている。
白いレースのガーターベルトと絹の靴下はそのまま残されて、普段秘められた部分だけが剥き出しにされているその様は、全裸のときより、より一層淫らに見える。
細かく震えているその腕が、その膝が、アンジェリークがこの恥辱に必死に耐えていることを如実に現し、そのことが更にジュリアスの被虐心を煽って行く。
窓からさしこむ柔らかい日差しに、濡れそぼったその部分はつやつやとまぶしいほどに輝いていた。
日の光の所為か、愛撫と視姦に高ぶっているからか、秘裂は常より、一層紅く充血しているように見える。
いや、あるいは・・ジュリアスは、ふと思いなおして顔をふせたままのアンジェリークに囁きかけた。
「おまえの、ここは・・いつもより、より一層濃く紅い色に染まっているぞ・・オスカーのものをずっと咥え込んでいたからではないか?」
アンジェリークの体がひくりと震える。横を向いたままでも頬が紅潮していくのがよくわかる。
秘唇を指で押し広げたまま、更にジュリアスはアンジェリークをおいつめる
「襞もぷくりと張れあがって、ほう、そのくせ入り口はぱっくりと口をあけて、何かで埋めて欲しそうにひくついているな・・・」
アンジェリークは唇をきつく噛んで、ジュリアスの言葉に耐える、が、ジュリアスの責めはなおも続く
アンジェリークの顎をつまんで、自分のほうに向かせ、いっそ優しいとさえ言える声で、囁きかける。
「ここがこんなになるまで、何度オスカーにつらぬかれたのだ?」
アンジェリークは瞳を閉じたまま、ふるふると細かく震えていることしかできない。
「言いたくないのか?それとも・・自分でも解らないほど犯されたか・・・ふふ、まあ、よい。おまえはここを触って欲しいのだったな?では、まずオスカーはおまえのここをどうした?」
アンジェリークが体同様、震える声で搾り出すように答えた
「指を・・指を入れられました・・・」
「一本か?」
「・・・いえ、二本・・です」
「いきなり、二本咥えこまされたか・・余程、おまえのここが物欲しげだったのか?今のように・・・」
そう言うとジュリアスは、アンジェリークの言葉通りに、自分の白く長い指を二本一度に、秘裂に差し込んだ。
「ひぁっ・・」
アンジェリークの体がびくんと大きく跳ねあがり、秘裂がきゅっとすぼまってジュリアスの指を締め付けた。
ジュリアスが、指を軽く曲げ内部の肉壁を探るように、ゆっくりと抜き差ししながら、片手で更に秘唇を押し広げ、花芽を露出させた。
金褐色の叢からちょこんと顔を出した花芽を、指の腹で軽くなであげると、
「ここは、どうされた?おまえはオスカーにどうして欲しいと強請ったのだ?」
見透かされている・・・アンジェリークはますますジュリアスに追い詰められて行く自分を認めざるを得なかった。
与えられる快楽への期待に、オスカーが愛撫する前に、自分から愛撫を求めたこともジュリアスには手に取るようにわかってしまうのだろう。
「そこも触って欲しいと、私からお願いしました・・・」
「ここに指を咥えこんだままでか?」
「・・・・・・はい」
「本当におまえのここは貪欲だな・・では私も同じようににしてやろう。」
ジュリアスは、こう言うと、花芽に添えていた指を激しく上下に動かし始めた。
秘裂に差しこまれていた指の抜き差しも合わせて、速度を速めていく。
「ああぁっ!」
透明な愛液がじゅぶじゅぶと押し出され、ジュリアスの白皙の指をぬらしていく。
ジュリアスの手全体を濡らしてもなお溢れ出す愛液が机の上にしみをつくる。
「あっ・・ああっ・・くぅっ・・・」
「ふふ、おまえのここは正直だな。私の指をきゅうきゅうしめつけて離そうとしない。蕾もほら、このように大きくなって・・・」
ジュリアスが花芽を指の腹できゅっと抓った。
「ひぃんっ」
アンジェリークが背中を大きくのけぞらせた。豊かな乳房がぷるんと揺れて、ジュリアスの前に突き出される。
「ああ、こちらの蕾もほうっておいては可哀想だな・・」
ジュリアスは少し体を傾け、アンジェリークの乳房を大きく口に含んで唇で乳房を食むように味わいながら、固くそだったままの乳首を舌で弾いた。
片方の乳房を存分にねぶってから、もう片方の乳房も口に含んで、執拗なまでに乳首を舐めあげ、時折歯を立てた。
その間、手は休むことなく、秘裂と花芽を嬲りつづける
「やあぁっ・・・・はぁっ・・・あっ・・・あっ・・」
敏感な場所全てに途切れることなく激しい愛撫を与えられ、アンジェリークはここがどこか、自分が何をしているのかもよくわからなくなっていく。
アンジェリークの手は、 自分の膝を抱えたまま、ぶるぶると震え、開かれたままの足は、いまにも攣りそうなほど力が入って緊張していた。
秘裂が不規則に収縮をはじめたのを、指に感じ取り、ジュリアスはアンジェリークが絶頂の間際にいることを悟る。
ジュリアスは乳房から口を離し、あくまでも優しい声で尋ねた
「このまま登り詰めるまで、嬲られたか?それとも、我慢できずに挿れてくれと、泣いて縋ったのか?」
アンジェリークは苦しそうに眉を顰めたまま、ふるふると、力なく首を振った。ジュリアスの唾液に濡れた乳房に空気が冷たい。
「答えよ。アンジェリーク」
すぐに答を返さないアンジェリークに、ジュリアスは峻厳な口調で命じるとともに、花芽をきゅっと捻った。余りに強い刺激に眦から涙が零れる。
「ひぅっ・・・あ・・・・オスカー様を・・・」
「オスカーをどうした?」
「・・・・・オスカー様を愛してさしあげました・・・・」
「オスカーに奉仕を命じられたか?」
「・・・・・いえ、私が・・・私が自分から・・・・」
「ほう?」
ジュリアスの秀麗な眉がわずかに動いた。その瞳に暗い光が瞬いた。
「では、どのようにオスカーを愛したのか、同じようにしてみせよ。・・・ああ、その姿のままではできまいな。もう、手は放してもよい・・さて、場所をかえるか・・・」
ジュリアスはアンジェリークの体を机から抱き上げ、仮眠用のベッドが置いてある続きの間に向かった。
「あのまま、机の上でおまえを抱いても良かったがな・・ふふ」
ジュリアスは、こういうと、横抱きにしたアンジェリークに口付けた。
アンジェリークは、しどけなくシュミーズを腰にまとわりつけたまま、ジュリアスの腕の中で、その身を固く縮こまらせていた。
ジュリアスは、ベッドにそっとアンジェリークを降ろすと、自分の長衣を手早く脱ぎ捨て、額のサークレットとともにベッドサイドに置いた。
アンジェリークの隣に座り、もう一度軽く口付けながら、アンジェリークの体に残っていたシュミーズや靴下をとりさり、アンジェリークを全裸にすると耳元で囁いた。
「さあ、どのようにオスカーを愛したのか、私にしてみせるがいい」
アンジェリークは、観念したように、ジュリアスの首に腕をまわすと、その形のよい耳朶を唇で食んだ。
そのまま、唇を首筋から、胸元に滑らせて行き、胸の突起を口に含み、丹念に舌で転がした。
ジュリアスの胸元はオスカーに比べると、若干厚みに欠けるが、その白皙の肌は絹のように滑らかで、飽かずに撫でさすりたくなるような触感だ。
胸の突起もオスカーのものよりだいぶ色も淡く、しかしその生々しい色あいは、アンジェリークに自分が淫らな行為をしていることをなおさら強く自覚させずにはおかない。
鳩尾のあたりまで舌を這わせたときに、ジュリアスのものが、軽く手に触れた。
それはもう、いつでもアンジェリークを貫くことができるほど、固く屹立している。
アンジェリークは、そのままジュリアスのものを小さな手でやんわりと握り締めた。
ためらっても、ジュリアスに厳しく叱責されるだけなのだからと思い、どうせなら、昨晩オスカーに奉仕したときのように
自分からジュリアスを悦ばせたいと思うようにしようと、自分に言い聞かせる。
思いの質こそ多少異なるものの、自分がジュリアスに抱いている感情も愛としか呼べないことも事実なのだから。
愛しているから、悦ばせたい・・そう思って行う奉仕なら、ジュリアスに心ごと蹂躙されるような今の辛さが減じるだろうかと思う。
肉体的に苦痛を与えれたわけでは無かったが、ジュリアスがことさら自分を辱め、貶めようとしているようなきがして、それがつらかった。
アンジェリークはジュリアスの股間にかがみこみ、ジュリアスのものに手を添えて、そっと、それを口に含んでいった。
ジュリアスのものはオスカーのものに比べると、若干ふうわりとした感触で、しかしその分、径において勝るような印象をアンジェリークは受ける
ジュリアスに口で奉仕しながら、アンジェリークは今日のジュリアスがなぜここまで自分を追い詰めるのかをつい考えてしまう。
オスカーとの情事が原因なのは理解できたが、いつもジュリアスの目の前でオスカーに抱かれても、ここまで支配的に扱われたことは無かった。
オスカーだけに、身を任せたことへの怒り?でもそれなら、なぜ、敢えてオスカーの情事の足跡をいちいち辿る様強要するのだろう。
そこまで考えて、アンジェリークはやっと気付いた。
オスカーもジュリアスも自分を愛していると、言ってくれている。
自分たち自身で選んだ関係とはいえ、自分以外の男が愛する女を組み敷いている姿に心が波立たないわけは無いのだろう。
納得づくの関係だからと言って、感情はそんなに簡単に割り切れるものではない。彼らがそのことを口にしたことは一度たりともなかったが・・
それでも目の前で行われる情事は、まだ忍びやすいのかもしれない。
お互いに同じ立場であり、お互いがどのように自分を愛したかは一目瞭然なのだから。
しかし、今ジュリアスを苦しめ、自分を追い詰めるよう、振舞わせているのは、実際の情事そのものではなく、その想像なのだと気付く。
オスカーがどのように自分を愛したかわからないから、その想像が、心の中にだけ存在する自分とオスカーの情事の光景が
大きく膨らんでジュリアスの気持ちをいらだたせ、ジュリアスは強迫的にオスカーと自分との情事を追認せずにはいられないのだ。
『ジュリアス様は苦しんでいらっしゃる・・・それも、元はといえば、私が・・・』
オスカーとジュリアスに、等価の思いを抱いてしまい、どちらにも行けずに立ち竦んでいた自分。
オスカーの優しさと情熱に包まれ酔いしれたいと願う一方で、厳しくも眩い光に自分の行く先を照らしてもらい、導いて欲しい自分もいた。
心が二つに引き裂かれそうだった自分を、でも、彼らはそのまま受け容れてくれた。
二人とも欲しいという、手前勝手な思いに二人をともに失う事だってありえたのに、オスカーもジュリアスもそれでいいといってくれた。
それなのに、堂々と恋人といられない自分を心のどこかで哀れんでいたことに気付き、アンジェリークは自分を恥じた。
自己憐憫の甘く生ぬるい海に浸っていたから、彼らがどんな思いで自分を抱いているのか、考えが及ばなかった。
いま、ジュリアスが自分を責めさいなむことを、少しでも酷いとおもった自分がひどく傲慢におもえて恥ずかしかった。
なぜ、ジュリアスが今日にかぎり、惨いまでに自分を責め立てるのか、ジュリアスがそうせざるを得ない心のうちが自分への憐れみで、見えなくなっていた。
最初にわがままを通したのは自分なのに。本当に惨いことを強いているのは、自分のほうかもしれないのに。
『ジュリアス様、オスカー様、ごめんなさい・・私、自分が幸せじゃないかもなんて、ちょっとでも思ってしまった・・
それなのに、ありがとう・・私を愛してくれて・・・』
なんでもジュリアスの望む通りにしたい。せめて今だけでも、ジュリアスの心の飢えを潤したい。そのためなら、なんでもできる。なんでもする。
アンジェリークの心と体は柔らかくほどけていった。